Kids in JUSCO
俺達は皆、JUSCOの一部であった。
JUSCOは毎日心と扉を開いて俺達を迎え入れてくれた。
あぁ、JUSCO。それはピンクに白字の看板の聖地であった。
Only at JUSCOは聖歌の如く。婦人服と紳士服を横目にゲームコーナーやおもちゃ売り場、そして本屋に食品売り場。
屋上には車が並ぶ。
フードコートでは赤に白の武骨なフォントのマクドナルドが出迎え、寝具売り場近くの葦の新たな匂いが心を踊らせた。
右にSEGAのレールチェイスを並べるJUSCOがあれば、左にジュラシックパークを並べるJUSCOも表れる。油圧の故障と共に、JUSCOと共に彼等も消えた。
思春期になれば島村楽器でギターを買い付け、初恋と共にギターはホコリにまみれた。
本屋では広技苑が平積みされ、季節の移り変わりを思い起こさせ、ゲーム売り場で試遊のためのブラウン管を眺めた。
大きなゲームボーイが鎮座した時もミニ四駆のコースができたときも、ポケモンが流行ったときも、JUSCOはいつも受け入れた。
イオンを福音とし、モールをもたらした。
無知なる我々はそれを受け入れ、新たな時代を祝った。
だがそれはJUSCOとの永久の別れも指す。
さらばJUSCO、永遠となれ。
商店街ジャナイ山のある近郊へ我々は脱出する。
商店街は2つに割かれ、間を車が過ぎ去るだけの土地になった。
さらば商店街。
現在の我々は幸せなのだろうか?歩いても歩いても先が遠いモールを駆け回り、消費社会の歯車として過ごす。ガソリン代だけは嵩むがJUSCOの温かさは感じられない。
しかし、思いを馳せれば馳せるほど望郷の思いだけが募るのであった。