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【熱田】生まれ育った街~前編~

生まれ育った街、これは神様に与えられた偶然である。
たまたまなんだけど、その偶然は生き方次第で、必然になるんだ。

僕の出身は、尾張国熱田領北部。
現代の言葉で、名古屋市熱田区金山。
小さくて下品な歓楽街がある、利便性が高い、総合駅として発展しているが、昔はJR・名鉄・地下鉄・バスターミナルが点在する、何でもない街だった。

そこから西へ、台地の縁にある住宅街、名古屋城の堀川沿いの鉄骨ビル2階に住み、坂の途中にある空き地の土管周りで、鬼ごっこをする幼少期を過ごした。

空き地は住宅地に替わったが、近くには神社や公園があり、変速ギアの自転車ロードマンに乗り、野球にサッカーに、草舟にフィールドゴルフに、小学校区をはしごする毎日だった。

今でも、街の空気感はそんなに変わらない、現代と古き汚き昔が入り交じる街。
この金山駅から、日本や世界各地へ出発した。
そうか、僕の旅好きの所以なんだな。

台地の突端に、熱田神宮が鎮座する。
神宮は、三種の神器でも圧倒的に格好いい、草薙の剣を祀る、尾張国三宮。
第12代景行天皇の時代に創祀、景行天皇は日本武尊の父、草薙の剣は日本武尊の装備品、そもそも素盞嗚尊がヤマタノオロチを退治した時に尾から生まれた、伝説の聖剣である。
怪物ヤマタノオロチを祀っているとも言えなくもない。

景行天皇は、4世紀前期大和政権の大王で、天皇の庇護を受けた尾張氏が、神宮の近くにある県下最大の断夫山古墳(5世紀末)に祀られ、白鳥古墳や高蔵遺跡など、古代の痕跡が多数ある。
日本武尊の妻である宮簀(みやず)媛は、尾張氏の娘で、熱田神宮の創建に大きな関わりがある。

景行天皇は、東西交通の要衝で、かつ大切な息子が関わる熱田の地に、その剣を祀って、東国への守りとしたかったのだろう。

そんな数々の歴史ロマンが眠る、熱田神宮の地で、僕は生まれ育ったのである。

次回へ続く…


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