昇降機/運搬機械など大型電気機器の『重電・産業用機械』*日本経済68業界
日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。
機械・エレクトロニクスの
『重電・産業用機械』
重電とは「重電機器」の略語で
具体的には、発電機、発動機(エンジン)、変圧器、
遮断機、昇降機(エレベーター/エスカレーター)
運搬機械(クレーン/コンベア/フォークリフト)など、
産業用の大型電気機器のことです。
対義語は、家電などの軽電機(家庭用)。
▼業界動向
2014年→2023年 横ばい
▼業界平均
・売上高 :7631億円
・営業利益率 :6.86%
・自己資本比率:46.33%
・ROE :9.21%
・ROA :5.44%
※用語の詳しい説明は文章下段の
【経営の基礎知識】から確認できます。
◆--------------------------------------------
1位 本田技研工業株式会社
増収増益:売上20兆4288億200万円/24年3月期
1946年、本田宗一郎が静岡県浜松市に開設した
「本田技研研究所」が起源。
エンジンなどの内燃機関や
各種工作機械の製造、開発を行い、
A型自動車用補助エンジンの開発に成功。
1948年に本田技研工業株式会社を設立しました。
本田技研工業株式会社は、
1963年は、ベルギーに二輪車生産拠点を設立。
同じ1963年には、四輪車業界に参入し、
1982年には日本の自動車メーカーで初めて
アメリカで四輪車生産を開始するまでに成長。
また、太陽電池パネル開発・生産や、
二足歩行ロボットの中で初めての量産ロボット
「ASIMO」の開発にも成功しています。
ロボット開発事業に留まらず、
航空機開発事業も手掛けており、
2003年には、
本田宗一郎の念願であった航空機業界へ参入。
小型ジェット機「Honda jet」の初飛行に成功すると
2004年には、
アメリカのゼネラル・エレクトリック社(GE)と
小型ビジネスジェット用ターボファンエンジンの
共同事業化。
2006年には、
ホンダ・エアクラフト・カンパニーを
アメリカに設立しています。
本田宗一郎の名言は、
『嫌いなことなんてやっても伸びない。
どうせ一度の人生なら好きなことをやるべき。
それがやがて社会の役に立つ。』
※嫌なことや不得意なことは
長々とやっても伸びる可能性が低いので、
得意なことだけをやることに意味があり、
一度きりの人生だからこそ、悔いのないように、
好きなことに多く取り組むことが良いという考え。
主力市場の北米では、
ハイブリッド車(HV)をはじめとした
好採算車種が伸びて営業最高益が続いています。
中国では、
四輪車の年間生産能力を削減し、
現地メーカーとの競争激化に伴う
販売の落ち込みに対応しています。
グループ会社の
ホンダモビリティソリューションズ株式会社や
株式会社ホンダモビリティ南関東など
9社が運営している
Hondaのカーシェア・レンタカーサービス
「EveryGO」は福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、
愛知、大阪、兵庫、奈良、福岡、佐賀、沖縄に
計248ステーションを展開。
また、
ホンダは世界シェア約30%のバイクメーカー。
株式会社ホンダモーターサイクルジャパンは、
バイクレンタルサービス「Honda GO」を展開。
想定為替レートは
前期よりも5円円高の1ドル=140円に設定。
円換算の海外売上高が目減りし減速。
最後に、汎用製品事業を展開しており、
ホンダは二輪車、四輪車だけでなく、
発電機や耕運機などの分野で活用される機器、
住宅用太陽電池や船外機といった汎用エンジン、
ガスエンジンなどの開発にも力を入れています。
家庭用プロパンガスで動く発電機など、
防災などのシーンで使える製品開発も実施。
2位 日産自動車株式会社
増収増益:売上12兆6857億1600万円/24年3月期
為替の円安効果で増収していますが、
主力のアメリカ市場で在庫が増えており
販売台数を伸ばすために
ディーラーに支払う奨励金が大幅に膨らみ
採算が悪化して営業利益は1割減少。
税負担や減損損失も増え純利益は3割減。
シェアが低下傾向のアメリカ市場で
人気ガソリン車、新型「キックス」を発表。
需要が高まるハイブリッド車を
投入できないことによる機会損失を補っています。
レンタカー事業では、
株式会社日産カーレンタルソリューションが
日産レンタカーを全国約350店舗展開。
昨今、頻発する自然災害に伴う停電対策として、
2023年、株式会社日立ビルシステムと
電気自動車からの給電で停電時のエレベーターを
運転させるシステム普及に向けて協力しています。
3位 株式会社日立製作所
減収減益:売上9兆7287億1600万円/24年3月期
送配電網や鉄道など社会インフラ事業における
豊富な受注残が業績に貢献しています。
冷蔵庫や掃除機などの生活家電をはじめ
調理家電や空調家電、コンピュータ製品、
エレベーター、エスカレーターなど
電機メーカーとして高い知名度を誇ってきましたが
事業範囲は幅広く、デジタルによる持続可能な
社会実現を目指して、IT分野として
金融・社会システムなどの事業を展開しています。
実績としては、
工場インフラをシェアできるスマート工場や、
タッチレス化に対応する空中入力装置の開発など、
数多くのプロジェクトを手掛けています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進支援など
情報技術(IT)分野の収益増も寄与して最終増益。
ちなみに、DXの技術として代表的なものは、
「IoT」「AI」「ビッグデータ」「クラウド」
「ICT(情報通信技術)」「RPA(自動化)」
「XR(仮想世界の知覚技術)」の7つです。
25年3月期は1兆円の投資枠を設定。
生成AI(人工知能)に3000億円、製造分野のDXや
グリーントランスフォーメーション(GX)に2000億円、
社会インフラ関連サービスに2000億円、
機動的なM&A(合併・買収)に3000億円。
日立製作所のグループで自動車部品を行っていた
日立オートモティブシステムズ株式会社が、
Honda系の株式会社ケーヒン、
株式会社ショーワ、日信工業株式会社を統合して
2021年1月に日立Astemo株式会社に社名変更。
2023年10月、
株式会社日立製作所は、日立Astemo株式会社の
出資比率を66.6%から40%に引き下げるとともに、
連結子会社から外して持ち分法適用会社にしました。
日立Astemo株式会社の業績が計上されないため減収。
代わりに、本田技研工業株式会社(Honda)が
日立Astemo株式会社の
出資比率を33.4%から40%に引き上げています。
取り扱う化学品には、家電製品の原材料となる
合成樹脂(プラスチック)などがあります。
鉄鋼プラントの圧延機設備やプロセスラインなど
機械設備の安定操業を実現する制御システムまで、
トータルに提供しています。
4位 パナソニックホールディングス株式会社
増収増益:売上8兆4964億2000万円/24年3月期
松下幸之助が1918年に
松下電器産業株式会社として創業。
「より良いくらしと持続可能な地球環境を
両立するために、カーボンニュートラルと
サーキュラーエコノミーの実現に挑み、
様々なインパクトを拡げていきます。」
主力の総合電機事業における各種機器の製造と、
住宅関連の資材販売を行なっています。
・通信機器/スマートフォン/PC
・防犯/防災機器
・家庭用調理家電
・エアコンなど空調機器
・テレビ/照明
・自動車部品(ライト/電装品)/カーナビ
・電動機(モーター)
・油圧/空圧機器/溶接機械
・半導体/電子部品/液晶製造装置
・電池/太陽電池
・住宅の建設資材(床材/内装材)
・住宅設備(システムキッチン/システムバス)
海外における家庭用エアコンや
電動機など電気設備資材の販売が堅調な好調な一方、
投資分野のEV電池やヒートポンプ暖房は
市況の悪化で伸び悩みましたが、全社的に増収。
液晶関連の子会社解散に伴い
24年3月期は法人税などの税金費用が減ったため、
反動で25年3月期は減益の見通しです。
また、車載機器を手掛けている
パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社の
株式をアメリカ投資ファンドに売却しましたが
簿価(帳簿価額/純額)を下回る譲渡価格となったため
25年3月期以降に約500億円の損失計上を予定。
グループのパナソニックインダストリー株式会社が
家電製品に必要なプラスチックや機能フィルム、
電子回路、半導体などの材料を取り扱っています。
5位 三菱電機株式会社
増収増益:売上5兆2579億1400万円/24年3月期
主力事業の空調・家電や
エレベーターやエスカレーターをはじめ、
鉄道車両・人工衛星などのインフラまで
幅広い電気製品を提供している会社です。
欧州における脱炭素化に向けた
再生エネルギー関連の
補助金政策変更などの影響で
ヒートポンプ暖房など
空調事業全体が伸び悩んでいますが、
業務用空調が好調となっており増収。
ファクトリーオートメーション
(工場の生産工程自動化)事業では、
材料高を受けて制御機器など主要製品を値上げし、
採算改善。純利益は2期連続の過去最高を更新へ。
自動車機器事業で、
自動車部品メーカーのアイシン精機株式会社
(トヨタグループ/現・株式会社アイシン)
電気自動車(EV)向け製品の新会社設立を合意。
物流子会社の三菱ロジスティックス株式会社を
セイノーホールディングス株式会社に
株式売却を決めるなど、事業構造改革を迅速化。
ネットワークセキュリティなど
システムインテグレーターの事業も行っています。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!
[ 損益計算書(PL) ]
売上高(客数 × 客単価)
−原価 :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益
−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益
−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金 :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益
営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。
年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。
ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。
自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。
◆-----------------------------------------
[ 貸借対照表(BS) ]
ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。
ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。