成長しかない『通信販売』*日本経済68業界
日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。
小売の『通信販売』
▼業界動向
2014年→2023年 成長
▼業界平均
・売上高 :1985億円
・営業利益率 :4.56%
・自己資本比率:25.05%
・ROE :4.95%
・ROA :2.26%
※用語の詳しい説明は文章下段の
【経営の基礎知識】から確認できます。
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1位 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
減収増益:売上11兆4717億5300万円/24年2月期
デニーズなどのレストラン事業、
セブン-イレブンなどの
総合小売・食料品小売事業を中心に、
婦人服などの衣料品、雑貨などの専門店など、
家電や自動車を除く小売業全般に事業を展開。
セブン&アイ・ホールディングスにおいて、
かつて、小売の王様と言われた「百貨店」事業は
2023年8月に、傘下のそごう・西武を
ソフトバンクグループ傘下のフォートレスに売却。
人口減少による市場縮小に合わせて、
百貨店での買い物にこだわらない
中間層を獲得するなど、
「スーパー」や「コンビニ」事業を強化し、
時代に合わせて、
「通信販売」(ネット通販)に注力している
セブン&アイ・ホールディングス自体が
小売の王様といえます。
一方で、不振が続く傘下のイトーヨーカ堂は、
22年2月期まで2期連続で赤字。
新規株式公開(IPO)の検討、
一部株式の売却による外部企業との連携など
グループ内での事業再生を図り、
法人としては、小売の中でも衣料品ではなく
「食品」に集中した再生を図っていく方針です。
主なグループ企業)
・株式会社セブン&アイ・フードシステムズ
デニーズなどのレストラン事業、給食事業
・株式会社セブン-イレブン・ジャパン
・株式会社イトーヨーカドー堂
・株式会社ヨークベニマル(スーパー)
・株式会社天満屋ストア(スーパー)
・株式会社セブン銀行
・ぴあ株式会社(チケットぴあ)
・株式会社赤ちゃん本舗
・株式会社タワーレコード
・株式会社ロフト
2位 株式会社ファーストリテイリング
増収増益:売上2兆7665億5700円/23年8月期
24年5月末時点での
ユニクロ事業は国内海外含めて2495店舗。
ジーユー事業は国内海外含めて476店舗。
ユニクロ事業のEC化率は約15%、
ジーユー事業のEC化率は約13%となっており、
まだまだ店舗での売上シェアが高い状態です。
海外事業は円安が収益の追い風になり、
国内事業は暖冬で冬物の販売が低調なものの、
40周年感謝祭などキャンペーンや訪日客で好調。
在庫管理の厳格化で粗利率を改善し
3期連続で最高益を更新。
25年8月期は、
消費低迷の中国各主要都市で旗艦店の出店拡大、
出店数については、国内同様にスクラップ&ビルド
(不採算店舗の閉店と良い立地に新規出店)を持続。
3位 楽天グループ株式会社
増収増益:売上2兆713億1500万円/23年12月期
ネット通販自体は、
スマートフォンやタブレット端末の普及、
即日配送などのサービス拡充が
市場の拡大に拍車をかけています。
楽天グループ株式会社においては、
EC(ネット通販)事業は好調。金融事業も好調。
赤字が続く携帯電話事業は単月黒字化を目指す。
グループ全体での赤字は続くが赤字幅を縮小。
電波が繋がりやすい周波数帯「プラチナバンド」の
商用サービスを6月27日に開始し、通信品質を改善。
ARPU(1契約あたりの月間平均売上)を向上へ。
主なグループ企業)
楽天モバイル株式会社(通信/携帯電話)
楽天コミュニケーションズ株式会社(DX推進)
楽天エナジー株式会社(電気/ガス)
楽天カード株式会社(クレジット/ファイナンス)
楽天銀行株式会社
楽天証券株式会社
楽天生命保険株式会社
楽天Edy株式会社(電子マネー)
楽天ウォレット株式会社(仮想通貨)
楽天チケット株式会社
株式会社楽天野球団
楽天ヴィッセル神戸株式会社
4位 LINEヤフー株式会社
増収減益:売上1兆8146億6300万円/24年3月期
2023年10月、
ヤフー株式会社とLINE株式会社を統合。
Yahoo!ショッピングを中心とした
オンラインショッピングモールなど
通信販売事業を展開。
主力の広告事業の機能改善や市況回復で堅調。
子会社PayPayの利用者数増により業績拡大。
2023年11月、
サーバーが第三者から攻撃され、
LINEアプリの利用者情報などが約44万件流出。
総務省から2度の行政指導を受け、
情報管理体制の見直しが求められています。
5位 株式会社大塚商会
増収増益:売上9773億7000万円/23年12月期
ITによるDX推進を行う
システムインテグレーション事業(=Sler)を展開。
顧客の業務課題解決に向けて
システムの企画立案、プログラム開発、
ハードウェア・ソフトウェア選定・導入、
システムの保守・運用、教育支援などを行い、
コンピューター、コピー機など複合機、
ネットワーク機器、ソフトウェアなどを販売。
コピー用紙や文房具などオフィス用品の
カタログ通販サービス「たのめーる」も拡大。
名刺などの印刷物、生活用品、介護用品など
幅広いラインアップで法人・個人を問わず、
あらゆるお客様の「今、ほしい」に応えています。
また、マイクロソフト社の生成AI
Copilot(コパイロット)のセキュリティー対策や
適切な指示文(プロンプト)入力などの活用を支援。
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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!
[ 損益計算書(PL) ]
売上高(客数 × 客単価)
−原価 :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益
−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益
−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金 :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益
営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。
年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。
ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。
自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。
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[ 貸借対照表(BS) ]
ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。
ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。