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物流/配送ネットワークの構築『陸運』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

物流・運輸の『陸運』

▼業界動向
2014年→2019年   横ばい
2020年                 下落
2021年→2023年   回復(2019年水準)

▼業界平均
・売上高   :3316億円
・営業利益率 :6.37%
・自己資本比率:9.46%
・ROE          :6.84%
・ROA          :0.70%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 日本郵政株式会社
増収減益:売上11兆9821億5200万円/24年3月期

1871年に前島密が官営として郵便事業を開始し、
2007年に民営化した日本郵政株式会社は、

23年3月期:グループの経常利益
・日本郵便株式会社(郵便/物流)850億円
・株式会社ゆうちょ銀行(銀行)4555億円
・株式会社かんぽ生命保険(保険)1179億円

郵便/物流事業(陸運)よりも、
銀行や保険事業が主力事業になっており、

銀行業と保険業の市場動向に
影響を受けやすい企業になっています。

とはいえ郵政民営化法で、2029年9月までに
銀行/保険(金融)2社の完全売却を定めており、
両企業とも子会社でなくなる可能性があります。

そのため、
日本郵政株式会社は郵便/物流を
主力事業としなければいけない状況ですが

インフレや賃金上昇によるコスト高、
デジタル化による郵便量の減少が影響し、

郵便、ゆうメール、ゆうパックの
取扱量は減少しており、最終減益になっています。

そんな中、運賃の見直しを進めており、
ゆうパックは2023年10月に改定、
郵便料金も2024年10月から改定予定となります。

日本郵便株式会社の保有する郵便局数は、
22年6月時点で全国2万3705局。

都道府県別の局数は、
・東京都1472局
・北海道1460局
・大阪府1096局
・兵庫県957局
・愛知県907局

郵便局は日本のインフラとして守る必要があるため
今後は、日本郵政と日本郵便を統合し、
売却する金融2社の株式を一定数保有して
配当で収益を確保する方向で法改正に動いています。

郵便事業の強化としては、日本郵便株式会社が
23年6月からヤマトホールディングス株式会社と
協業し、荷物を共同で配送することになりました。

「クロネコDM便」を「ゆうメール」に融合して
「クロネコゆうメール」に名称変更。

「ネコポス」を「ゆうパケット」に融合して
「クロネコゆうパケット」に名称変更。

ヤマトが荷物を引き受けた後、
郵便局の配送網で効率的に顧客に届ける仕組みで
全国の配送ネットワークをフル活用しています。

2位 JR東日本グループ
増収増益:売上2兆7301億1800万円/24年3月期

経営破綻した日本国有鉄道(国鉄)の
経営形態の抜本的な改革を進めるため、

分割民営化を定めた日本国有鉄道改革法により
JR(Japan Railways)が1987年4月に発足しました。

分割したJR6社
・JR東日本
・JR東海
・JR西日本
・JR北海道
・JR四国
・JR九州

発足当初は、日本国有鉄道から移行した
日本国有鉄道清算事業団が全株式を保有し、
長期債務の返済や余剰人員の再就職促進を行いました。

1998年に事業団は解散し、
残った債務は国の一般会計に引き継がれています。

東日本旅客鉄道株式会社の
主力事業である鉄道(陸運)は好調で、

コロナ5類移行による訪日客の増加と、
周遊券の値上げを実施しています。

新幹線など定期外の利用も増え、
コロナ前比9割超まで回復しています。

一方で、
利用者が少ない地方34路線62区間では、
22年度に年648億円の営業利益が赤字。

今後は自治体と協議を進め、
路線バス輸送などへの転換を求める方針です。


3位 NIPPON  EXPRESSホールディングス株式会社
増収増益:売上2兆2390億1700万円/23年12月期

日本通運株式会社は、2022年1月、
単独の株式移転(新設会社への株式移行)を行い、

持株会社(ホールディングカンパニー)として
NIPPON EXPRESS ホールディングス株式会社を設立。
日本通運は、完全子会社(100%子会社)になりました。

24年12月期は半導体の荷動きが回復し
トラック運賃の引き上げで採算が改善しました。

また、2024年1月は、オーストリアの物流会社
カーゴ・パートナー社を完全子会社化するなど

人口減少に伴う国内市場の縮小を見据え、
欧米・アジア地域に強みを持つ海外同業の
買収を通じて国際物流の競争力を高めています。

アルファベットの社名に変更したのも
海外でも認識されるようにするためです。

積極的なM&A(合併・買収)で海外事業を拡大。
半導体関連やヘルスケア(健康教育や治療)などの
成長領域への投資も行っています。


4位 ヤマトホールディングス株式会社
減収減益:売上1兆7586億2600万円/24年3月期

日本初の路線物流事業、個人間荷物から始まり、
お取り寄せ・通販・企業間荷物まで拡大した
「宅急便」の開発など、

1919年の創業以来、時代の最先端ニーズに応える
イノベーションを創出してきました。

日本全国を網羅する物流ネットワークを
構築する社会インフラの一員として、

その町で暮らす人たちの生活をより便利にし、
法人事業に対する新たなサプライチェーンを
総合的に提供し続けています。

・宅急便サービス国内シェア第1位(47.5%)
・国内宅急便ネットカバー率100%
・拠点数約3400ヶ所(法人関連400、営業所約3000)
・宅急便年間取扱数量23億個以上
・セールスドライバー約6万人(社員数約18万人)

24年3月期は宅配需要の減少に加えて、

トラック運転手の残業規制がされる
2024年問題に対応したため、
長距離輸送の外部委託などのコストが増加。

25年3月期は法人向け運賃を引き上げる方針で
営業増益の可能性が高くなっています。

グループのヤマトボックスチャーター株式会社、
ヤマトマルチチャーター株式会社なども
企業向けの貨物輸送サービスを行っています。

25年3月期は、
メール便や小型薄型荷物などの配達業務を
日本郵政株式会社に全て委託する方針で、

荷物を引き受けるまでをヤマトが担い、
その後、郵便局の配送網で顧客に届ける仕組みです。

つまり、
ヤマトは、配送の手間を省くことができて、
郵便局は、全国に構築した配送ネットワークを
フル活用できるようになります。

ヤマトは、日本郵政株式会社と協業することで
配送負荷を軽減し、利益率を高める狙いがあります。

また、
単身者向け引越しや大物家財の配送を手掛ける
ヤマトホームコンビニエンス株式会社の
株式51%をアート引越センター株式会社に譲渡し、
利益分配を受ける持分法適用会社としました。

今後は通販による宅配需要などの成長分野である
中核事業の「宅急便」に集中する方針です。


5位 JR東海グループ
増収減益:売上1兆7104億700万円/24年3月期

主力の鉄道事業は、
コロナ禍からの鉄道需要の回復を見込む中、
グループ会社の人件費増で減益。

リニア中央新幹線は着工遅れで開業未定。
24年5月に就任した静岡県の鈴木康友知事と
水や環境の対策を詰めて
静岡工区の工事着手を急いでいます。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。


年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。


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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。


ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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