きしみ
脳がきしむ。
歯車がうまくかみ合わないのか。さびついているのか。部品が壊れてしまったのか。
ガチャリガチャリと変な音がする。
すり減った部品たちが落ちているのか。摩擦で出た粉は底に無機物のクッションを引いている。
補給物資は届かない。品質の悪い燃料で無理やり動かしている。劣悪な環境だ。
暗いところで、大小の歯車が必死に回り続ける。
止まったら動けないと。止まったら、動くのには大きなエネルギーがいる。回り続けなければもう動けなくなる。
ギュルギュルと。油も差されないまま、燃料を燃やして出た排気で黒ずんだ身体を回し続ける。
いつかは止まってしまうのだろう。一つが止まればそれは色々な歯車に波及する。波及は連なり、すべてが停止に向かっていく。
やり遂げたと。必死にやり抜いたと。動き続けたんだと。そう思って止まれるなら、それは美しいことだろう。
美しさでは生きられない。
きしんだなら、原因を見つけ、直す方がいい。それをするいとまを見つけるのだ。
ないからこんな文章を書いているのだが。
酷使したなら、休ませないといけない。
直しようがあるうちに、どうにかしなければならない。
動けるうちに、打開策を見つけなければならない。
前をみられるうちに、進まなければならない。
そうしないなら、無理やりにでも回さなければならない。
軋みを無視して、強引に回し続けるのだ。嫌な音が響いても。その響きを糧にして奮い立つのだ。
まあそう上手くいくわけではないが。
うまくいく妄想くらいは許されるだろう。許して欲しい。
とりあえずこのきしみを直すためにゆっくり寝よう。