授業における「守・破・離」についての考察
守破離とは、日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したものです。
日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表しています。
守:師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
破:他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
離:一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
守破離は、芸道・芸術の修業において、必ず通らなければならない道であるとされている。
守破離を経ることで、芸道・芸術の奥深さを理解し、独自の表現を磨くことができる。
授業においても同じように考えることができます。
守
教科書の内容や指導書の指示を理解し、それを踏まえた授業を行う
→日々の教材研究
授業の流れや展開・教具やワークシートなどをしっかりと準備する
→日々の指導略案、板書計画
計画した授業の流れを守り、目標を達成できるようにする
→日々の授業実践
教科書の内容や指導書を確認しないで指導する先生などはさすがにいないと思います。
ですが、指導略案や板書計画などは準備していない先生も多いのではないでしょうか。
手を抜いてるのではありません。
単純に時間がないのです。
そういう私自身も、さすがに指導略案は理由がない限り、作成などはしていません…。
ですが、板書計画だけは、毎回準備しています。
ほとんどの先生は、この「守」ですら徹底できていないのではないかと危惧しています。
ワークシートなどのデータベースがあるかどうかは学校によって差がかなりあります。
先生が個人で所有してしまっている場合も多いので、授業で活用できるものがデータベース上に全くないこともあります。
その場合には、1から作らないといけないので大変です。
破
子どもたちの実態に合わせて、授業の内容や方法を工夫する。
→研究授業する際の教材研究
子どもたちの主体的な学びを促す計画を立て、必要に応じてグループ学習や探究学習を取り入れるなど対話的な学びができるようにする。
→研究授業用の指導計画
基本の型に囚われすぎずに、子どもたちが楽しいと実感する授業を行う。
→研究授業実践
「守」ができていない状態で、「破」を実践しようと無理してしまうのが校内の研究授業です。
ですが、研究しない限り自分自身がステップアップ、レベルアップしないことも事実です。
だから大変だと感じてしまうのです。
きっと、研究授業なんてなくなればいいのに…などと思う方もいることでしょう。
授業改善を日々の授業で全員が正しく取り組んでいるならそれでもいいかもしれません。
しかし、実際は授業とは言えないような授業をしている人も結構います。
だから教師である以上、研究は必要なのです。
ブラックと呼ばれてるからといって研究しなくてもいいなどという理由はありません。
むしろ、研究したくない理由を言ってるとしか思えません。
そこをはき違えている先生が多いなと感じます。
普段から教材研究に余念がなければ、この「破」にも無理なくたどり着くことができます。
たまに、研究授業なのに、普段通りの授業を見せるだけなどと言う人もいますが、それは研究授業ではなく、ただの授業です。
普段から研究授業とはあくまで、仮説を立て、検証しながら授業改善していくものです。
このような授業をしているのであれば、
普段の授業=研究授業
ということも可能かもしれませんが、
それはあくまで
個人の仮説=学校の校内研究の仮説
の場合に限ります。
離
自分独自の授業のスタイルを確立し、磨きをかける。
→授業名人の教材研究・指導計画・授業実践
子どもたちの学びの様子や成果を振り返り、授業内容や方法を改善する。
→授業改善
子どもたちと共に、より楽しい・わかりやすい・ためになる授業を創造する→授業の探求
校内研究とは別に、自分で研究仮説を立てて、授業検証できるようになったら授業名人に近づきます。
この段階まできたら、毎日の授業は楽しくて仕方ありません。
授業が待ち遠しくなります。
とはいうものの、先生たちの毎日は多忙を極めていることは事実です。
これはなんとかしないといけません。
授業の準備をしたくても、そんな時間がないというのが実情でもあります。
日々時間に追われながら仕事していますが、わたしは、授業名人を目指して、日々精進していきたいと考えています。
今の学校に必要なのは、スクラップ&ビルドです。
いままでビルドしてきたものは、いったんスクラップしちゃいましょう。
そして本当に必要と思われるものだけ、ビルドすればいいのです
そうすれば、本業の授業に集中できます
それではまた!