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「自主学習」という宿題その②

学校の先生は、自主学習という宿題をやらせたがります。
それは、おそらく、子ども達に自ら主体的に学習できるようになってほしいという願いがあるからだと思います。

もしそうだとするなら、自主学習という宿題を出しても、それは実現しません。

自主学習という宿題を出したら子ども達がものすごい意欲的に学習に取り組むようになるなんてありえますか?
どうしてこのようになったかというと、学級経営方針が明確でないからこんなことになってしまうのです。

仮に自主学習をやらせたいのであれば、自分の学級経営方針のどこに位置付けられるものなのか、明確に説明できないといけません。
あわせて自主学習の目的もです。

自主学習は、学級経営上のゴールに到達するための1手段にすぎません。
ですが、実際には、その手段たる自主学習をやることが目的となってしまっているのです。
これでは主体的な学習態度が育つはずありませんね。

学校の先生は忙しいため、どうしても便利な手段を使いたがります。
もちろん必要な場面もあるかもしれませんが、目的は何かを明確にしないことには手段を乱射しても何も起こりません。
そういうことを大学では教えてもらえません。
学校に入っても教えてもらうことはまずありません。

自分で気づいて勉強しない限り、一生子ども達は受け身の授業を受け続けることになります。
自主学習など無理してやらせずに、授業を楽しくする方がよっぽど主体的に学習する態度が育ちます。

でも、学年主任が自主学習好きだから、自分のクラスだけやめるわけにはいきませんなんていう若い方もいることでしょう。

そんな先生のために、今回は、スタートラインの揃え方をお話ししようと思います。

もし自主学習をやらせるのであれば、

①やりたいと思う楽しい課題を出す
②スタートラインを揃える

この2点は必須です。

今回は
①のやりたいと思う楽しい課題をだす
について考えていきます。

自主学習をさせたいのであれば、段階を踏まないといけません。
いきなりメニュー渡して「はい、明日からやってきてね!」
といわれてもできる子は数少ないです。
みんな家で困り、親も困ってしまいます。

そこで、自主学習に必要と思われる技能を考えてみました。
①問いをもつ
②めあてを立てる
③自分の考えを図や文章に表す
④誤答に学ぶ
⑤ユーモア
⑥自分と対話する

この3つの技能を2年生までに身に付けさせておかなければ、
3年生になって自主学習などやってもほとんど効果ありません。

自主学習という宿題となり、興味もったことがあっても、問いがないため、ネットに書かれていたことをただ丸写ししてくる子になります。

自主学習とは、とても高度な学習で、高度な技術が要求されます。
仮に、1,2年生の2年間で、問いをもたずにひらすら受け身の学習を続けてきた子が、いきなり真逆の自主学習を強要されたらたまったものではありません。

さらに、多数派優位の学級経営をしていた場合、「同じこと」を強要されるので、間違うことや違ったことをすることを恐れ、周囲の子と同じことをするようになります。
多数派優位の学級経営は子ども達の考える力も奪ってしまうのです。

そうならないために、2年生までに、楽しいと思える宿題をだしていくのです。
その一例が「九九パズル」です。
2学期後半から取り組ませることができます。

九九の暗唱などさせるより、このパズルをさせた方が考える力が育ちます。
数に対する見方が豊かになります。

どんなパズルなのか例題を使いながら説明していきますね。
まずは下の画像をご覧ください。
正方形のマスが6×6=36あります。
マスの中にある数字は、九九の答えになる数字です。
(はじめは、2の段の答えだけしか使わないパズルです)

ルール
①36のマスを余らないように、長方形か正方形に線で囲んで分けます。
②1つの正方形または、長方形の中には必ずマスの中に書かれた数字が入ります。
③その数字はマスの数をあらわします。
④そのマスは1回した使うことができません。

では実際にやっていきます。
はじめにどこから手をつけるか?
一番大きな数字に着目します。
ここでは10です。
すると2通りあることがわかります。
右側は、10マスの長方形に囲めていますが、6マス、8マスに分けられなくなってしまいます。
左側だと、このまま続けてよさそうです。

この10マスが決まると、2も自動的に埋まります(下図)
そうすると、上に12マス、下に12マス残っていることになります。

ここからは上でも下でもどちらかでも簡単にできます。
下図のようになります。

このパズルのよいところは、自然と九九を唱えながらやることにもなるので、暗唱するより楽しいです。

暗唱が苦手な子でも、楽しく取り組めます。

このような問題を出し続けていくと、宿題が
「やらなければいけないもの」から「やりたいもの」
へシフトチェンジできます。

そして、自分で九九パズルの問題をつくってくる子などもきっとでてきます。(でてこなそうだったら、でてくるように仕向けるのです)

そしてその時を逃さず、価値付けしていきます。
「オリジナル九九パズル」という
自主学習メニューの誕生の瞬間です。

このような活動を地道に継続していけば、
ほかにも「やってみたい」ことが不思議なことに生まれてきます。
あとは子ども達の創造力にまかせて、
やってみたいこととどんどんやらせていけばいいのです。

以上、自主学習に必要な「やりたいと思う楽しい課題を出す」でした。









お楽しみに!

以上、自主学習についてでした。

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