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【マンガ雑談】サンドウィッチマン式の掴み~ひと笑いとること、あるいは読者に突っ込ませること

前書き

お笑いコンビ・サンドウィッチマンの掴みと言えば「興奮するものと言えば○○だね」「間違いない」ですが、じゃあこの掴みはどこが凄いかと言うと

  1. これからやることを説明する

  2. 「いやそれ以外にも興奮することってあるやろ!」と客に心の中で突っ込ませる

  3. 軽く笑わせてからそのままやりたい話にすぐ移行できる

これを一気に済ませることができることなのです。すごい

で、こういう客に突っ込ませつつそのまま進行するシュールな笑いをよくやるよな~という漫画についてちょっと考えたので話します。

高校生家族

高校生家族』は週刊少年ジャンプで2020年40号から2023年12号まで連載されていた漫画で、主人公・家谷光太郎が高校に入ると父も母も妹も飼い猫も一緒に入学していて…という、一見出オチに見えて意外にも学生ドラマを真っ直ぐやってる漫画です。普通に名作なので読むべし。ハイキュー!!パロが多い

そんな高校生家族の持ち味は「作者が何もしなくても読者が勝手に笑うこと」です。もう正直どの一郎の話しても笑ってしまいますが、例えば92話。

高校生家族92話「恋の色」

化学の実験の班が光太郎、光太郎が好きなクラスの女の子・弓木さん、光太郎を好きな女の子・屋敷さん、光太郎の父・一郎になる。90話も読めば慣れるかと思ったけど今読み返しても既に面白い。甘酸っぱい青春におっさんが混入していて笑ってしまう。どんな青春の一場面も実父をかませることで面白くできるという英知。

このシュールな4ショットを見れば、この4人で実験しながら恋の三角関係に実父が挟まってかき乱されるということが、訓練された高校生家族読者には何も言わなくても伝わる。笑かしながら状況を理解させて本題にすぐ入る。そして面白い。

他にも、春高予選に出場する一郎文化祭の準備をする一郎異様にプレゼンが上手い一郎など、もう面白い一郎を挙げたらきりがないので、みんなもシュールな一郎を探そう!春高編はマジで名作です

年齢制限(ボソッ

君のことが大大大大大好きな100人の彼女

週刊ヤングジャンプで連載中、アニメ2期が決定した100カノですが、細かいボケを入れながら話を一気に進めるのが好きな傾向にあります。よくあるのが公園の名前ボケで、例えば

[第132話]君のことが大大大大大好きな100人の彼女

この「お茶するならここ公園」の1コマだけで、これから公園でお茶をすることが分かり、「どんな名前の公園やねん!」と読者に突っ込ませ本題に入ることに成功している(している??)。細かいボケで満足度もあがり、ネームの圧縮もできる。

公園ボケでいうと

[第159話]君のことが大大大大大好きな100人の彼女

「暑いの苦手だから祭りは夏より春派神社」の存在により、「この漫画はいつまでたっても春じゃねぇか!」と読者に突っ込ませつつ、「今週は神社で彼女と出会うんだな」と理解させている。※この漫画は時間が歪んでいるので、明らかに1年くらい経った気がしても永遠に春である。

このように、ボケ数を増やそうと思えばこういう細かいところに仕込むことになり、その中で説明を省略しようというテクニックが使われる訳です。原作の中村先生は他にも欄外でボケたり、モブの名前でふざけつつ説明を圧縮するのが好きです。みんなも頭おかしい公園名を探してみよう!

美遊亭羽卯万子(びゆうていううまんこ)は若干引いたよ中村先生…

おわり

ボケながら説明を圧縮することで、もっとボケを入れられる。説明途中にボケる。重要な話でしたね(棒)。みんなもボケながら説明して作劇を圧縮しよう!

圧縮、圧縮、説明を圧縮!








“Show, don't tell”というように、本題に早く入るのに越したことはない。漫画という媒体であれば画で説明がつくことが重要であり、それが作劇圧縮につながる。20枚も30枚も導入に費やすCG集って困るでしょ?(DLsite脳)


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