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【ガチアクタ】アモ過去編の演出~旧I水門の少年を添えて

前書き

ガチアクタのアニメが観られる!!

ということで、私がガチアクタで好きなキャラ・アモの過去編の好きな演出の話をします。6巻までのネタバレありだぞババア!ジジイじゃねぇぞ!!


犯罪者の子孫たちが集められたスラム街で、差別を受けながらもゴミを拾って暮らすルド。だがある日、身に覚えのない罪を着せられ、誰もが恐れる「奈落」へと落とされてしまう。奈落で「掃除屋」のエンジンと出会ったルドは世界の真実を垣間見、物に命を与え力を引き出す能力を発現させる。すべては「クソみたいな世界」を変えるために――!!
世界がどれだけ強くても自分の価値を他人にだけは決めさせない。敵は「常識」「権力」「差別偏見」超絶怒濤のバトルアクション開幕!

単行本1巻あらすじ

40話

「天界」から「下界」へ落とされた主人公ルドは、「下界」に蔓延る斑獣という化け物と戦う掃除屋と手を組み、「下界」と「天界」を行き来する方法を探るために少女・アモと接触する。彼女の能力であるブーツの臭いで人を操る能力の由来とは…という話。

今までの話で読者が察せることは

  • アモは自分が好きな人が好き

  • 他人を思い通りにしたがる

  • 思い通りにならないとキレる

あたりだったんですけど、過去編でまあ納得のいく説明とえげつない話を聞かされることになりましたね。これは初っ端から母親に売られるアモ

アモの視点では売られたとはまだ思っていないのでピカピカの笑顔

この記事で言いたいことは概ね「子供の描いた拙い絵という表現によって、われわれ読者が想像力を強制的に行使させられて、3割増しでダメージを負うことってあるよね」という話です。

売られたおじさんがペド野郎かというと、仲間からよく思われていないという劣等感も大きいと思われます。

「外では」と言いつつ多分おじさんは自分のアレさを隠せていないっぽい

嫌な余談をすると、実は子供への性暴力って別に小児性愛者だけが行うものではなくて、「周囲の大人から相手にされない」「自分より弱い存在だから」みたいな理由でも行われるんですよね。おじさんもロリが好きというより、仲間から鼻つまみ者扱いされてるのが根本のように見える。

そして行われる“儀式”ですが、正直に言ってドン引きしたし、今読み返しても引く。本当に気持ち悪い。

お花に顔がついているのも含めて気持ち悪い

ここで重要なのは、アモは「これは恋だ」と思うことにしたということ。自分は捨てられた、性的に搾取されたという解釈をとると心が持たないので、これは恋だということにした。どんなに気持ち悪くとも、自分が好きだからだと思えば流せる。冒頭のカラスへの会話もそれを支持している。

次のページのアモがあおむけになっているコマもえげつなくて、個人的には道尾秀介の『ラットマン』を思い出して気持ち悪くなった。あの小説で出てきた「性加害を受けている最中に意識をそらした結果ミスリードになった」描写がキツいのなんの。誰か道尾秀介を止めてくれと思いながら読んでいた記憶。

閑話休題。台に乗せられたアモ、はだけた服。このまま閉鎖空間が続くと思いきや突然の来訪者でヒキ。最初読んだときは「誰でもいいからこの事後くを終わらせてくれ~」と思っていた。

41話

突然現れたマスクの二人組がおじさんを伸し、おじさんの靴をアモに渡す。

シンデレラの構図

おじさんは誰?なんで預けたの?等々は本編にかかわる結構大事な謎ですが、この記事の本筋としてはここ

おじさんはアモのことが好きではない。言うことを聞く人形が欲しかっただけ。まあ読者も分かってたしアモの心のどこかで知っていたけど、それを恋ということにして無感情になれば楽だったからですね。だから「何もかんじなくなってたのに」(作中傍点有り)。気づいてしまったアモがこの後どうするかはご自身の目で確かめてほしい。どうするといった時点で分かると思うけど…

旧I水門の少年

先ず見出しの少年が誰かというと、ジャンプSQ.で連載している『ダークギャザリング』という漫画に登場するとある少年なんですが、これがまた作中での屈指のエグイ回かつ秀逸ホラー。

真ん中の体育座りしてる子。かわいいね

幽霊と戦うために幽霊を集める主人公たちは、多くの自殺者が出した旧I水門にいるという強力な悪霊を探しにやってきた。もう時間も暗いのに川辺で絵を描く少年を見つけた螢太朗(画像右上の優男)は、家に帰るよう諭すが…

おとうさんとぼくはふたりでくらしています。おかあさんはいません。

「お母さんが心配してるよ」という言葉は地雷だったと反省する螢太朗だったが、そこから徐々に少年の身に起こったことがスケッチブックを通して語られていく。

ここから先は是非自分で読んでほしいのだが(7巻収録)、この回のオチのエグさもさることながら、子供の認知で描かれる異常事態に我々読者の脳が通常の3倍揺さぶられる感じが堪らない。人が語る怪談が、様々な映像テクニックを駆使して作られたホラー映画に比肩するほど怖いのか。それはこっちが強制的に想像させられて、恐怖が増幅するからなのです。

ちなみにダークギャザリングはJホラーよりのアプローチで上質ホラーをやっているので、そっち系統が気になる人も是非読んでほしい。アニメもいいぞ

終わり

子供の絵って基本的に安全なときに出されるものなので、我々のガードは緩みがち。ガードを下げれば当然右ストレートが飛んでくるのです。みんなも子供の絵でビビらせる演出をすころう。いぬまるだし!の青い空かと思ったら蒼井そらだったやつ好き









【ボーナストラック】
ダークギャザリング7巻を読んだ人向け。
肉団子しんじつの開示の仕方の秀逸さたるや、そうそう日本のホラーはこうやるんだよという面白さがある。ああ駄目だそれを食べちゃあとこっちが思うと同時にすっと肉団子が出てくる演出、近藤先生は天才だあとなるほかない。他にも、実は「霊も人間も両方見える人間を、光学的な偽装で騙す」という、他の霊ではやっていない高度な技も披露している。夜宵ちゃんの反応が遅れるのって珍しいので、いかに先手をとられてピンチになったかが分かる。バトルIQもかなり高いのが黒阿修羅くん。このあとの戦いでも必須級だし、H城址の霊くらい話が通じるから感情移入しやすい。いい…いいよね…

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