「自動車」とエネルギー
昨今、電気自動車やEVなどといった言葉が目立つようになった。
時代の変化とともに自動車も様々な進化を遂げているようだが、エネルギー統計の世界で自動車はどのような役割を果たし、また、どのような性質を有するのか。どれほど重要なのか。それを本稿では紹介していく。
この記事でわかること
自動車関連指標とエネルギー市場の関連性について知ることができる
結論(Point)
自動車関連指標は原油や天然ガスなどを含むエネルギー市場の主に需要サイドにとって最も重要な指標の一つであると言えるでしょう。
理由(Reason)
自動車の特徴
自動車には以下の三つの特徴があることをまずは抑えて頂きたい。
① 耐久消費財の中でもかなり高額な商品である
②生産のためには多くの資源を必要とする
③需要を見越して生産される商品である
以下、ひとつづつ説明します。
①について
自動車は耐久消費財の中でも一番高い商品と言えます。
したがって、単純に考えれば、自動車の販売台数が増加しているということは、その国の消費行動そのものが強くなってきていると考えられます。
(※現在、国内ではカーシェアリング需要が高まってきている為、日本国内において一概には上記のことが言いきれない状態である点には留意したい。)
②について
自動車には基本的に原油・金属・ゴムなど各種資源が使われています。これを前提とすると、自動車の販売台数、つまり需要が増加した場合はそれに呼応する形で各種資源価格も上昇するのが原則です。自動車の需要増加は各種資源需要の増加の構成要素の一部であることは忘れるべきでは無いでしょう。
ただ、分析する国の自動車関連の数値がGDPに占める割合が低過ぎれば、あてにならないので注意はしましょう。
また、GDPに占める割合が大きかろうと、その国の経済規模がそもそも小さければ、資源価格への影響はかなり限定的であるため、経済規模が大きい国の自動車産業を優先的に見て欲しいと思います。
③について
これは自動車に限らず鉱工業全体言えることであるが生産者、つまり企業は以下の2つのポイントを踏まえて生産量を決定している。
⑴現在の在庫量
⑵将来の需要量
⑴について
例えば、現時点で在庫超過であれば生産量を増加させる必要はなく、むしろ減少させるのが原則でしょう。
また、過去に予想して生産した商品の在庫が現時点において予想よりも減少していれば、需要があるとみなし生産量をあげるでしょう。
⑵について
将来、ある時点(例えば、3ヶ月後)において、何らかの要因で需要が増加するとの観測があれば、生産量を増加させ、在庫を抱えておこうと考えるでしょう。
一方で、消費が弱っているなどのデータから、3ヶ月後に売上が下がると予想すれば、生産量は減らすはずです。
もちろん、細かく言えばこれだけではなく、金利なども影響してきますが…。
⑴と⑵に共通して言えることは、どちらも出口を意識して生産をしているということです。
出口とは、自動車を売ることです。
例(Example)
例えば、中国の「自動車生産台数」を例に原油市場を考察してみましょう。
中国のGDPにおいて製造業が占める割あいは約25〜30%と多くを占めています。
もちろんこの中には他の製造物も含まれていますが、このところ電気自動車の生産量増加も相まって、製造業関連指数に自動車製造が大きく影響していることは間違いないでしょう。
中国の自動車生産台数が上昇していれば、国内の自動車需要or海外への輸出需要どちらか、もしくはその両方が伸びているということになります。
生産量が増加しているということはそれだけエネルギーを使用するという事なので、原油需要も拡大するということになります。
※もちろん、原油に対する需要の要素は複合的なものであり、中国の自動車生産台数は指標のひとつにすぎません。
結論(Point)
以上のように、自動車に関わる経済指標は製造業との関連やガソリンを使用するということから、エネルギー市場の需要サイドにおいてとても重要なポジションにあります。
是非、原油価格やその国の経済の行方を考える時は自動車生産台数などにも目を通して見てください!
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