竹色のフィッシングベスト
パリッとしたスーツの中にフィッシングベスト。老人の「自由さ」に感心。見た目は「常識」から外れているし、「美しく」もないけれど、他人の価値観に流されず、自分らしく自由に気分よく生きているように見える。
「ベストと蛍光ペンの衝撃」所収 『森沢カフェ』森沢 明夫 新潮文庫より
……思い出した。
中学生の頃の私。竹色のフィッシングベストを、普段着ていました。あのポケットの沢山ついている釣りベストは、中学生だったわたしにも魅力的に映った。近所の「丸善」という洋品店で買ってもらいました。「便利で面白いもの」に惹かれていたのでしょうか?
それから、通学のカバンのふたの中のポケットに、二十本あまりの「カラーペン」をさして登校していました。いつでも気ままに色がとりだせるように。ノートをとるとき色わけをするのが好きでした。
ある冬の日の朝、学校の校門の前で、風紀委員の持ち物検査が、抜き打ちでありました。制服のスカートが長すぎる?とか漫画本などを持って来たりしていないか?というあれです。カバンを開けたとたん、
「何これ?!」
私の並んだカラーペンをみて、風紀委員の先輩や先生たちは、爆笑。校則にはひっかからず。
そして家に帰り制服をぬぐと、オロナミンC ドリンクを冷蔵庫からだしてきて、妹と二人でビンの「ふた」を使って、大人ごっこもしていました。(当時オロナミンCは、「キャップ」でした。)
「おーっとっと。こんな所で遠慮なさらずに、一杯どうぞ。」
「まぁ、まぁ、まぁ。」
……ふり返れば、なんとも「自由」な中学生でした。
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