
自分を受け入れられなかった自分が自分を認められるようになった
僕は部活を辞めようとしていた。僕にはコミュ力がなく、周りと一緒にいるのに能力が足りなかった。自分は大学の陸上部に入ったが、自分にはそれはふさわしくなかった。だから自分は部活を辞めようとした。それを帰り道、部長に相談した。そしたらいつもふざけたりすることが多い部長が、自分なんかの話を辛抱強く聴いて、話せない、仲良くなれないという悩みを受け止めて、そして声を大きくしたらいいとか、脳は辞めたいって思うとその理由を探しちゃうからなどのアドバイスをくれた。またラインで、さっきは言えなかったどと言って、自分が生きる上で大切にしてることとか、辞めたい理由、辞めたくない理由をすぐには結論を出さないかもだけど、書いてという風に送ってくれた。こんな口下手、話せない自分、ダメ人間のことを気遣ってくれていると感じた。部長が自分のことを気遣ってくれて、話を聞いてくれて、心が軽くなった。でも自分はやっぱり部活に行くのが辛くて、部活を辞める決心をした。そして電話をした。まずは部長に辞めるという風に伝えた。部長は(僕の名前)がしっかり考えたことかどうかを確認して、僕の気持ちを尊重して、無理に止めようとはせず、お互い行く道は別になるけど、頑張ろうという風に言ってくれた。そして一年生の部員にも辞めるということを礼儀として伝えておこうと思って、社交性がなく、馴染める感じがしないから辞めるという風に伝えた。自分なんかと話してても、口下手で、楽しくないだろうし、大して止められないだろうと思ってただから。送った後、少し待って返信が来なかったので、自分は辞めた後も陸上という競技自体は続けたいと思っていたため、外に走りに行った。帰ってきたら部員三人のうちの一人kから返信がきていた。"(僕の名前)が考えて決めた選択だから俺がどうこういうあれはないけど、一緒にきつい練習やってきた'仲間'だから、寂しくなるから、自分勝手だけど辞めないでほしい、他の部員もそう思ってる"という風にきていた。自分は驚いた。自分を'仲間'と思っていてくれてたなんて……。僕はこれまで、相手のことを面白いこという力とか、自信とか、話す力とかの能力で人を見ていた。そして人の価値を勝手に決めていた。さらに相手のことを、自分のコミュ力を上げるための試練のような、人を利用するような考えまでもを持ってしまっていた。でもkは自分のことを仲間として見てくれていた。能力じゃなくて、別の何かの道具じゃなくて、僕のことを僕して見てくれていた。一人の仲間として。
僕は嬉しかった。と同時にそういう考え方をしたいと思った。相手のことを一人の仲間として、外面で判断せずに、相手のことを試練なんかと思わずに、そこにしかいないその人、一人の仲間として、人を見たいと思った。そして僕は辞めないでと言ってくれた仲間のおかげで、部活を辞めないことにした。仲間のkは喜んでくれた。
部活を続けた後、もう一人の部員mにも辞めたいと伝えていたのだが、辞めることは止めてることはなく、僕の意見を尊重した。でも後から聴くとそのmも辞めることを止めるべきか迷い、でも僕が決めた決心だからと止めるべきじゃないと思ったらしい。その人も口下手な僕のことを考えてくれていた。口下手だから、ダメだ、価値ないみたいに思わずに、僕のことを仲間と思ってくれていた。
僕は部活を続けたあとも変わらず口下手だ。続けた後の部活で、自分が口下手で何言ってるかわからないような日があった。でもそんな自分をkや部長、mは今言ったの、どういうこと?みたいに言うことはあったけど、自分がダメな人だ、なにコイツみたいな蔑みの目は全く向けず、自分の話を理解しようとしてくれた。もう一人の部員tもたまに話しかけてくれて、自分のことを優しい、いい意味でも悪い意味でも優しすぎると、褒めてくれていた。
前は能力で自分の価値を測っていたから、口下手を隠そうとしていた。でも今は違う。こんな口下手でも、自分のダメな部分、できないことをたくさん出しても、受け入れて、そこにしかいない僕として、仲間として接してくれるから、僕は自分を受け入れられてた。そのおかげで、自分は自分を出せるようになった。能力で人を判断せず、試練として相手を見ず、そこにしかいない仲間として相手を見られるようになった。そのおかげで、自分は話す時の緊張がなくなりリラックスして相手と接されるようになった。kと部長とmとtのおかげで自分は変われた。