8/8 日記『ゼンゼロ、おもろい』
最近、『ゼンレスゾーンゼロ』というゲームをやっている。
原神や崩壊スターレイルを作ったホヨバの新作で、3D美麗アクション×RPGというジャンルのゲームだ。最近増えてきた完全オープンワールドと言うわけでもなく、いくつかのマップがあり、行動範囲は有限。探索パートは専用のボードゲームみたいな感じで、シンボルエンカウントで3D戦闘へ突入するスタイル。ゲームシステムだけで言えばザ・シンプルという感じだ。
しかしこれが、面白い。大まかに言えば、『加点式でも減点式でも90点以上取ってくる』ゲームなのだ。
不要なストレスが少なく、面白い部分は多々散りばめられている。
私は『物語やキャラが魅力的じゃなければ初めすらしないが、デイリーや周回が苦痛になったらすぐに辞める』という現代の普遍的ライトユーザーの一人である。
ゼンゼロは、そんな我儘ニーズをがっつりと掬ってくる。やってて、ホヨバのクリエーター陣のレベルにビビった。
いい点を箇条書きでまとめるとこんな感じだ。
・デイリー任務が最短3分で終わる。スタミナ消費も5分あれば1日分使いきれる。
・ウィークリー任務も週に一日、腰据えて2時間ほどやれば終わる。
・キャラがいい。ヴィトリア家政(爆イケ執事メイド集団)すこ。カリュドーンの子ら(爆かわレディース暴走族)萌え。
・シナリオがいい。いい意味で、流し読みを許容されているストーリー。その上で、話の筋があり来たりじゃない。
具体的には、『武装した家事代行業者とばったり落ち合って、都市伝説の巣食うビルのメンテに行くことになる→そしたらテロ事件に巻き込まれ始めました』という感じだ。このあらすじで2時間映画作っても、面白いやろなあと思う。(ちなみに、ゼンゼロ自体が根幹モチーフに『映画』を据えている)。
・『ライトなアクションゲー』として見たら、戦闘パートは文句のつけようがないほどいい。『ジャンプ操作がない』という点は最初違和感があるが、その代償を払ったおかげで、『3DアクションゲーからY軸を取り覗く』というほとんど発明のようなことを成し遂げ、結果『分かりやすすぎるコンボアクション』が完成している。
戦闘コマンドが『左右クリック(通常攻撃/回避)』『Q(必殺技)』『E(スキル)』『space(キャラ交代兼カウンター)』の5種だけと言うのは、格ゲー開発者なら嫉妬するんじゃないだろうか(格ゲーやらんけど)。
・探索パートのボドゲ風味も、(最初は呑み込みにくい要素もあるが)慣れてきたらむしろ3Dアクションと『緩急』の関係を結び始めてよい。早送り機能が既にあるのもよい。
・ガチャもホヨバ特有の『天井引継ぎ』があるおかげで、ガチャを回すこと/外れを引くことにストレスがない。私はこのシステムを味わうのが初めてだったのだが、「まぁいつか誰か引けるしな」の気楽さって凄いな。
さて、箇条書きと言いつつ各項目が重くなってしまったけれど、言いたいことを纏めると『隙無しか?』だ。
現代のライトユーザーの多くが求めていたのは、これなのだ。
『時間拘束しないでくれ。ガチャも定期的にあたり引かせてくれ。度の過ぎた一喜一憂させないでくれ。腰据えたいときに据えさせてくれ。それから定期的に新規要素増やして、遊びたいときに遊ばせてくれ』。
ゼンゼロはそれに応えてくれた。
一般消費者の分際で何を、という感覚を承知で言うなら、私は『ようやくこういうゲームが遊べるのか』と思わずにいられなかった。
『ソシャゲ』と言う文化を日本が作ってから、十何年ほど経ったのだろうか。
公営賭博より割の酷いギャンブルだった時期もあったと思う。それが規制によって少しなりを潜めても、今度出てくるのは束縛メンヘラかよというほどにユーザーの時間を費やさせようとする、周回試行回数ゲー。
そこからまた世代が変わって、徐々にゲーム性、シナリオに力を入れる作品が増えてきても、どこかしらの要素では『前時代の負の遺産』を引き継ぎ続けてきた。(FGO、お前はいつまで……)
ゼンゼロにハマった理由の中で順位をつけるなら、間違いなく一番は『前時代の負の遺産の面影』をまるで感じないところだ。
超高クオリティゲーが、ユーザーと健全な付き合いをしてくれる。『遊べるときに遊んでね!』と、私の脳内でパエトーン(主人公)兄妹が笑顔で手を振ってくれる。私は手を振り返す。まるで苦も無く、サブスク制アイテムに月2000円くらいの課金をする。
そしたら、2天井、1運でヴィクトリア家政のキャラが全員揃った。
これが対等なコミュニケーションだ。日本で生まれたソシャゲ文化は、長い年月の果て、はるか遠き大陸の地で、ようやくメーカーとユーザーの、水平な立場に辿り着いたのだ。ホヨバは点々とアジア中に散っているらしいから、とりあえず私は本元らしい中国へ手を振る。ありがとうなゼンゼロ。これからも元気に、定期的に、面白いコンテンツを恵んでくれればと思う。私も毎月2000円くらい課金するから。
向こうでもまた、手を振り返してくれていたら嬉しい。