一分小説『入道雲』
『積乱雲が発達しています。急な雷雨にご注意ください』。
奴はそうやって、期待と不安をのせて、真っ白な体を運んでくる。
今日こそは、体育失くせよ入道雲。
おまえは、そんな嫌われ者みたいな体しているのに、よく夏の主役と言わんばかりに威張っては、よくいろんな人を怒らせては、たまに誰かを救っていく。
夏の全てを台無しにできる癖に、唯一夏の暑さに勝てる、そんなお前が、ちょっとうらやましくて。
おまえみたいなやつに、なりたいと憧れる俺はひねくれてるんだろうか。
でかくて、威張りや。気ままだが、偉大だ。なのに短命。
なぁ入道雲。
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