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時折最高:017 Greenslade - Bedside Manners Are Extra (1973)
キーボード奏者が2人でギターレス、という編成が個性的なグリーンスレイド。ロジャー・ディーンによる幻想的なジャケットも加わってか、一般的ににはプログレバンドとして扱われることが多い。
ところが、プログレだと思って聴いてみたリスナーには「詰まらなかった」という感想を持つ人がいる。私は結構この人の感想が理解できるような気がする。結論から言えば、楽器編成やジャケットのイメージこそプログレバンドを思わせるのだが、彼らが目指していたのはプログレじゃなかった、と思うからだ。単に「いい曲を、抑制された趣きで、演奏する」ロックバンドだと考えた方が正しいように思う。
確かにヒットチャートの3分間ポップスとは趣が大きく異なるけれども、基本は充分にポップな要素を含んだ、洗練されたブリティッシュ・ロックである。「メロトロンが入っていれば取りあえずヨシ」とするような、盲目的マニアならプログレと呼ぶかも知れないが・・・。そういう意味ではKestrelに近いように思う。
凝った構成の楽曲、素直じゃない捻った歌詞、激さず派手にせず、抑制されたサウンド。だから一聴地味にも感じるのだが、こちらが一端胸襟を開いて受け入れてみれば、なんとも味わい深く飽きないのである。
歌詞は1行目から素直じゃない、言葉遊びのような言い回しから始まるし、思わせぶりで直接的な表現がないから意味が掴みきれない・・・。GoogleもDeepLもあまり役に立たなかった。何しろ全体を一気に翻訳した時と、2行くらいを翻訳した時の訳が違いすぎる(笑)。
タイトルの”Bedside manners were extra”は歌の中では"Bedside manners were extra at finishing school"と歌われていて、「ベッドサイドマナーは花嫁学校では選択科目だった」ってどういう意味だろう? ベッド・マナーとベッド・サイド・マナーは違うの?、同じなの?
原意は「医者が患者に応対する作法」のことらしい。ひいては他の人に対する扱い方、という意味のようだ。
歌の終盤では、
Please write to me if you have the time
Please write to me, let me know you're mine
Please write to me, please fly to me, please
と歌われているから、これから離れようとしている想い人へのメッセージであることは窺えるのだけれど。
ラブソングっぽいのだが、遠回しなので、なかなか理解できない。もしかして、身体を悪くして、療養のために離れるのかな? そう考えると3行目で、
Maybe you're too young to be fooled, I know
「騙されるには若すぎるんだろうね」って不思議な言い回し。若いから騙されやすい、との反対とは? 大人なら騙された振りが出来るということだろうか?
すると最後の、
Have a holiday
Happy holiday love
っていうのは、ぼくに構わず新しい恋を楽しんで、というメッセージなんだろうか? この人不治の病ですか?
思わせぶりで、注意深く考えないと分からない歌だが、要所要所でオルガン系のキーボードが千変万化の音色を奏でるのを聴いているだけでも、趣味のいいロック系楽曲としてとても楽しめる。