見出し画像

旅程作成は誰の役割?案内士?それとも旅行会社?

インバウンドが復活して、ガイドの皆さんは多忙な毎日をお過ごしだろうと思います。もはや復活を通り越して、過去に例を見ない市場拡大が続いていると言えるでしょう。
 
こういう状況では、仕事は次から次へとやってくるので、とにかく目の前の仕事にまい進しがちですが、時には立ち止まって考えてみましょう。自分は自分が提供する価値にみあった報酬を得られているのか?と。
 
特に最近気になるのは、旅行会社によっては、旅程をガイドに作らせることがあることです。旅程を作成すること自体が旅行会社の重要な業務の一つですから、それをガイドが替わりに行うのであれば、本来は業務に対する対価があるはずです。そうなっているでしょうか?
 
この投稿では、通訳案内士でもあり、また零細旅行会社の経営者でもある私が、こうした業界の状況について、感じていることをお話したいと思います。


旅程作成は誰の役割か?

 
お客さんの旅程作成は、誰の役割でしょうか?これは、基本的には旅行会社の仕事だと思います。団体のお客さんの訪問先やスケジュールは、普通、旅行会社からガイドに指示書が渡されて、ガイドがその指示書通りの旅程管理を行いますよね。
 
つまり、旅程の作成は旅行会社が行い、ガイドは添乗員(旅程管理主任者)としてスケジュール管理にあたる、というのが通常の姿だと思います。これ自体どうなのかという議論もあるかと思いますが、ここではその議論は横に置くことにします。
 
一方、小グループや個人相手のプライベートガイドの仕事になると、この境界線があいまいになっている気がします。本来の役割分担からすると、個人客相手であろうと、旅行会社が旅程を決め、それをガイドが実施するという風になるべきです。実際はどうでしょうか?
 
最近の旅行会社からのオーダーを見ると、「行先はお客さんと相談して決めてください」みたいな指示が散見されます。これは、旅程作成の仕事をガイドに丸投げしているわけで、本来は旅行会社がお客さんと話して決めるべきことでしょう。

業務分担は、報酬の分配とセットであるべき

 
とは言っても、私はガイドが旅程を決めることを、必ずしも悪いと言っている訳ではありません。個々のお客さんのニーズをくみ取って柔軟に対応するには、ある程度ガイドにフリーハンドを渡した方が、うまくいくとも考えられるからです。
 
ただし、役割が増えるのであれば、その分報酬が増えるべきです。通訳案内士の歴史を振り返ると、業界の都合で、なし崩し的に担当業務が増えてきました。
 
例えば、通訳案内士と添乗員の仕事は、本来別のものですが、現在では通訳案内士が添乗員の仕事もするのは、当たり前になっています。通訳案内士の資格試験に、「通訳案内の実務」という科目が加わり、旅程管理の知識が必要になりました。仕事の実態も、「英語が話せる添乗員」になってきていませんか?
 
ですが、それに応じて通訳案内士の報酬は増えているでしょうか?ガイドはフリーランスで立場が弱いので、声を上げられず、現状に甘んじざるを得ないという面があるのでしょう。フリーランスだからこそ、業務量に応じた対価が得られているのかは、各自でよく考えたいところです。

私が考える、妥当な報酬分配


 それでは、最初にお話ししたような、旅程策定をガイドが行う場合、どの程度の利益配分が適当だと思いますか?まあ、正解は無いのですが…
 
私見ですが、単に客の紹介だけの場合、紹介料は10%が妥当だと思っています。ガイド団体から案件が紹介されるときは、この程度の紹介料をとられるのではないでしょうか。つまり、顧客との交渉までガイドが行うのなら、ガイド料の90%は実際に仕事をするガイドに帰属するべき、ということです。
 
もし旅程作成や契約交渉を旅行会社が全て行い、ガイドは旅程の通り案内に徹すればよいのであれば、手数料は20~25%程度かなと思います。(いずれも代金回収等のコストは別です)それくらい、お客と向かい合うのは手間のかかる仕事です。
 
ただ、多くの旅行会社は、ガイド料金としてお客からいくら徴収しているか、開示しません。団体になると人数で頭割りになって、あまり意味がない数字になるということもあります。ただ、プライベートガイドの場合は、お客さんがガイド料としていくら払っているかは、サービスに対する期待値に直結しますから、明らかにして欲しいところです。
 
私の会社では、お客さんからガイド料をいくら徴収して、当社の手数料がいくらかを、すべてガラス張りにしています。これがフェアなやり方だと思うからです。紹介手数料は10%、代金回収を伴う場合は5%が上乗せされます。東京では、さらに当社が旅程作成も行って、この手数料でやっています(ちょっとやり過ぎか?)。
 
せっかく私個人にガイドを依頼してきてくれるお客さんだから、きちんとプランまで作ってから、知りあいのガイドさんに依頼したいと思って始めたため、こうした設定になりました。お客さんが喜んでくれ、知人のガイドさんが業務機会を得られるのなら、それでよしという考えです。
 
現状に疑問を感じ、上記に賛同してくれるガイドさんがいらっしゃいましたら、弊社のサイト https://zenflowtours.com から登録してください。最後にちょっとだけ宣伝でした。

まとめ

 
「ガイドが旅程を作成してもいい。ただし、それに対する対価を得るように努力しよう。旅行会社に使われっぱなしにならないように。」でした。
 
最後まで読んでくれてありがとうございます。よかったら「スキ」も押してくれると嬉しいです。

いいなと思ったら応援しよう!