毛穴から魂が溶け出てしまいそうなほどに暑い日も、皮膚が切れるんじゃないかってくらい寒い日も、激しい争いの中で頬を濡らしながらただひたすらに平和を願う日も、陽の光が降り注ぐ中でぼんやりと空を見つめている日も、どんな日でも月は必ず夜の空に浮かび、柔らかい光で世界を包み込む。月は色んな世界を色んな角度から見ている。世界中の夢と世界中の現実を知っている。だから月はあんなにも美しいのかもしれない。
先日祖母が亡くなった。 駅に迎えに来てくれた父親の車に乗り込んだ際に私は祖母の訃報を知らされた。思っていたより冷静に受け入れることができ、涙も出てこなかった。元々末期ガンで倒れて入院していたため、仕方ないかといった感じで特に悲しさも寂しさも感じないまま病院へ向かった。病院に着くと、白い布がかけられている無機質な簡易ベッドが中央に置かれている部屋に案内された。ベッドに近づき、恐る恐る布をめくると、静かになった祖母の体が横たわっていた。まだ温もりの残っている祖母の頬に触れた
これは移動時間に本を読む私のお話。 私の住んでいる地域から東京に行くまでの移動時間はトータルで二時間ほどある。若くても、さすがに電車で二時間立ちっぱなしはキツいので空いている席に小走りで向かって腰を下ろした。その席は、右側におじいちゃん、左側におばあちゃんが座っているといった、老人サンドウィッチの状態。そして驚くべきことに、二人ともスマホなんぞ持たずにデカめの路線図を広げているのだ。デジタル化が進む現代でこんなアナログな人間が生きているとは!!と少し驚くと同時にやわらかな気
先日ちょうどお昼時にフードコートに入ってしまい、フードコートは人で溢れかえっていた。全席埋まっている中、不自然に一つだけ空いた真ん中の席。その席は天から光が降り注いでいて、神々しく光り輝いていた。今私が見ているのは空席を探すあまりに見た幻覚か。まあ、そんなことはどうでもいい。とにかく座れればいい。その席が誰かに取られる前に、とすこし小走りで着席。さあ、食べようかと思ったら上からとてつもなく強い日差しが差し込んでいるではないか。初めのうちは気にならなかったが、だんだんと暑さを感