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問題解決能力を高めよう/3.事例で考えよう・②まずはベースとなる「理由」を考える

さて、今回は以下のような想定で、企画書(稟議書)をどのような内容にするのかを考えています。

なお、「あなたはあるメーカーの営業企画部門の担当者です」とありますが、そのメーカーは、今回はBtoBのメーカー、つまり「企業向けの製品を販売するメーカー」としてみましょう。
なお、基本的なフレームワークなどについては、前回の投稿をご覧ください。

最初に考える必要があるのは、今回の提案のベースとなる「理由」です。
言い換えると、「なぜ、『メルマガを新規に発行するべき』なのか」という提案に関して、そのベースとなる「理由」になるものです。

ここで、そのベースとなる理由は、「メルマガは有効なマーケティング・ツールである」というものになるでしょう。
今回の事例の基本的な構造は下図のようになります。

しかし、上司に対して、「メルマガは有効なマーケティング・ツールです。だからメルマガを新規に発行すべきです。」と提案しても、それだけでは説得力を欠くと言わざるを得ません。
なぜならば、なぜメルマガが有効なマーケティング・ツールなのかがよくわからないからです。

そこで、何らかの方法で、この「理由(=メルマガは有効なマーケティング・ツールである)を強化する」、あるいは「理由に根拠を与える」必要があります。

ビジネスで、こうした場合に最も有効な方法は、「他社事例」であると考えられます。
提案する内容に応じて、どのような他社事例を使うかは変わってきますが、今回のケースでは、以下の3つのケースについて、他社事例をできるだけ調べて、「理由を強化するため」あるいは「理由に根拠を与えるため」に使用するのがよいと考えられます。

ここで、この3つの理由を集める、としたのにはそれぞれ理由があります。

1.「同業他社が対応済みである」というのは、多くの企業で一つの大きな理由となりえます。
やはり、同業他社に出遅れたくない、という気持ちが働くとともに、同業他社が対応済みである、ということが、新たに自社で取り組む上での一種の”安心感”につながるからです。

2.「同業でなくても、BtoB業種でのメルマガ導入事例」が理由となりえるのは、BtoB業種の企業、特にメーカーにとって、メルマガのような広告宣伝手段は、まだまだ比較的新しいものである可能性があるからです。
そのため、たのBtoBのメーカーでの導入事例があることは、意思決定する側に対して、プラスに働く可能性があると考えられます。

3.「製造業におけるメルマガの成功事例」は、当然ながら「理由」を強化できる有力な情報となります。
もしかすると、メルマガでの成功事例というのは、外部からは見えにくい可能性がありますが、何とか見つけ出して理由に追加したいものです。

こうした事例を集め、その結果として、「メルマガは有効なマーケティング・ツールである」という「理由を強化」あるいは、「理由に根拠を与える」ようにしていきます。

このとき、「他社事例を集めて『理由』を強化する、あるいは『理由』に根拠を与える」というやり方は、「帰納法を活用した方法」と考えることができます。

このように、「他社事例を集めて『理由』を強化する/『理由』に根拠を与える」というのは、とても有効な方法です。

以下、少し補足をさせてください。

1.なぜ「他社事例」を使用するのがよいのか。
他社事例、特に成功事例を使用するとよいのは、やはり「先例がある」ということは、意思決定をするにあたって、有力な根拠となりうるからです。
よく、「役所では先例があるかどうかが非常に大事である」と言いますが、ビジネス全般に関して該当することでもあります。

2.なぜ、他社事例”だけ”ではダメなのか
「他社がやっているから自社もやるべき」というのは、「最もわかりやすい理由であるとともに、最も注意しなければならない理由である」と言われます。
「他社がやっていることだから、大丈夫だろう」「他社がすでに取り組んでいるのだから、間違いないだろう」という意思決定を繰り返していると、企業はいつか大失敗をする懸念があります。
提案をする側としても、そうした理由”だけ”で提案することは避けるようにしたいものです。

こうしてベースとなる「理由」を明確化することができました。
良い提案とするためには、さらに「真の理由」にきちんと触れる必要があります。

次回は、この点について考えていきます。

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