電気の窃盗って成立するの?
職場でこんな会話が聞こえました。
「共用部分のコンセントでスマホを充電しないでください」
「え?ダメなんですか?」
「ダメです」
ダメです。
職場でも学校でも、場合によってはカフェなどでもコンセントを勝手に使うことは許されません。
大学生のときは結構見ました。PCの充電が切れそうだから講義室の隅で充電している人。
これは刑法第235条の窃盗罪に当たります。
条文を確認してみましょう。
他人の物を窃取したら窃盗の罪です、と書いてありますね。
窃取というのはこっそり盗んで取ることで、窃盗と同じです。
気になった人もいるかもしれません、ここ。
「他人の財物」
「財物」は財産的に価値があるもののことです。
お金 = 財物 ←わかる
自動車 = 財物 ←わかる
パソコン = 財物 ←わかる
えんぴつ1本 = 財物 ←まあわかる
電気 = 財物 ←????
電気って「財産的に価値があるもの」なの? 本当に?
コンセントで充電することで会社や学校から電気を奪っているというのはなんとなくわかると思います。
本来はお金を払って使うものですから、自分が使った分の電気代は自分で払うのが本来ですよね。
でも、条文に当てはめて考えるなら、電気=財物にならないと窃盗罪は成立しません。
じゃあ電気を盗んでも窃盗にはならないってこと?
では、刑法245条を見てみましょう。
「刑法第36章 窃盗及び強盗の罪」では電気は財物って法律で決まっているんですね。
電気=財物となるので、他人の電気を窃取すると窃盗罪になってしまいます。
これ、なんかすごく好きなので紹介しました。
245条だけ読むと「電気は財物です」とあって、「だからなんやねん」って思うのですが235条と併せて読むと電気泥棒を捕まえるために作られた条文だとわかります。
条文になるくらい電気泥棒の扱いに困っていた時代があって、人を守るためにいろんな動きがあったことがわかって面白いですよね。
ちょっとの充電くらいで逮捕される可能性は限りなく低いとは思いますが、延長コードなどを使用して長期にわたって隣家から電気を使い続けた事例では逮捕されたこともあるようです。
どちらにしても窃盗は犯罪ですから意図的に行わないように気をつけましょうね。