『もう一度、光を』②
死ぬことを考えると、
アルコールは、
増えるばかりだったが、
なんとなく、
自分の人生が、バカバカしく思えて、
道化師の仕事を辞めた。
それから、
2週間ほど経った
ある日のこと、
日銭を稼ぐためにやっていた、
飲食店のウェイターの仕事を
していると、
ひとりの少女と、出会った。
10歳ぐらい、だろうか。
両親と来ていたみたいだが、
ひとり先に、食事を終え、
退屈そうにしており、
店内のウェイターや
他の客の様子を
ぼんやりと見ていた。
なぜか、ふと
初恋の、あの子のことを
思い出した。
ただ、笑顔が
見たくなった。
ネタ帳の最後のページに書いた、
舞台では、一度も
試したことのないギャグを
少女に披露してみた。
ピエロではない、ただの
老いぼれのウェイターの
くだらないギャグにも関わらず、
少女は、笑ってくれた。
笑うと、いっそう
初恋の、あの子との思い出が
蘇ってしまった。
束の間、
少女の母親が、少女の手を引いた。
少女は、後ろを振り返り、
もう片方の手で
老いぼれのウェイターに
手を振ってくれた。
少女たちは、旅行中らしく、
両親は、
大きなカバンを持ち上げると、
少女と3人で
店を出ようと、会計を済ませた。
「来週は、近くのサーカス場を
見に行こう。
きっと、たのしいぞ。」
去り際に、
少女の父親の言った言葉が
耳に残った。
そして、
老いぼれのウェイターは
道化師の仕事を、廃業したことを
後悔したのだった。
つづく。
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