マジョラム

楽しい、嬉しい、悲しい、切ない 誰かの心に何かの生み出す文章を作りたいです!!

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イタズラなKiss 最終話の続き(2)

「あらあら、だめよ!琴子ちゃん」 「あ、おかーさん、おはようございます!」 朝早くから、キッチンに立つあたしにお母さんが怖い顔をした。 「妊婦さんの体は大事なのよ。さっさっ。あっちで座って休んでてっ」 「でも、あたし昨日、入江くんと約束したんです!」 こぶしをにぎって、あたしは目を輝かせた。 「世界一のパパとママになろーねって!!」 お母さんは、まー!といいながら、感動するように、赤い頬を押さえてる。 「っ、世界一なんて無理でも、この子の世界一のママになれるよ

    • イタズラなKiss 最終話の続き(つわり編)

      「あっ、入江くん。いってらっしゃ~い」 「ああ」 靴を履いていた入江くんが、あたしを振り返って、ぎょっとした。 「お前、大丈夫か」 パジャマ姿のあたしの顔は頬がこけて、真っ青。かろうじての笑顔。 「大丈夫よ~。お母さんもいるし~」 「横になってろよ」 息を吐いて出ていく入江くん。 あたしは、うっと口元をおさえた。 (分かっちゃいたけど、つわりが、こんなにきついものなんて) ヨロ~と階段をのぼるあたし。 「あらあ、琴子ちゃん。お食事なら部屋にもっていくのに

      • イタズラなKiss 最終話の続き(6)

        ずるっ。 帰ってきた入江くんは、またたく間に、総変えされた名前習字に驚いた。 「あ、入江くん。お帰りなさーい」 広直、正直、由直、晴樹、智樹、樹生、、美琴、真琴、琴音、愛子、菜々子、桃子、麻里子……などなど。 「よくまあ。呆れるを通り越して、感心するよ」 「ダブルお父さんや、裕樹や理美達にも聞いてね。たくさん考えたんだ」 「これでも、だいぶ絞ったのよ」 「……」 「ねっねっ。どれか気になるの、ある?」 「どう?どう?どうっ?」 三方向から、入江くんを覗きこ

        • イタズラなKiss 最終話の続き(5)

          「あら、琴子ちゃん。おはよう」 「おはようございます」 「まだ寝ててもいいのに」 「お母さん、あの、ちょっと聞きたいんですけど……」 ちょっと改まって、あたしは話を切り出した。 「お兄ちゃんと裕樹の名前の由来?」 「はい。どうやって決めたのか、参考に聞きたくて」 ソファーに座ったあたしは、お母さんに改めて相談するのが、ちょっとくすぐったくて、頭に手をやった。 「うーん。そうねえ」 お母さんは昔のことを思い出すように、目を動かした。 「琴子ちゃんも知ってると

          イタズラなKiss 最終話の続き(4)

          「だから」 帰ってきた入江くんが、部屋を眺めた。 「何で女の名前ばっかりなんだ」 「えー、だってぇ」 名前を書いた習字紙が、もはや壁紙を圧倒し始めている。 「お母さんとあたしで決めてると、どうしても女の子よりになっちゃって」 えへへと、あたしは頭をかいた。 「あらぁ。お兄ちゃんは男の子希望なのぉ?」 ため息をつくお母さん。 「でもねっ!あたしには分かるのよ。今度こそ女の子よ!女の子に決まってるわ!」 「琴子ちゃんみたいに、明るくて、根性があって、かわいらし

          イタズラなKiss 最終話の続き(4)

          イタズラなKiss 最終話の続き(1)

          “お前、妊娠してないか” え (い、今なんて) あたしの頭は真っ白になって、言葉が出てこない。 部屋にいる家族も目と口を見開いて、時が止まったかのようにフリーズしてる。 「お前、しばらく生理きてないだろ」 (あれ、そういえば、生理……生理……) ここんとこ、金ちゃんとクリスの結婚騒動に、仕事の殺人的な忙しさで…… 「えっと、えっと」 あたしはザーッと顔を青くした。 「お、覚えてない」 入江くんはフーッと息を吐いた。 「とにかく、可能性がある以上、今はそ

          イタズラなKiss 最終話の続き(1)

          イタズラなKiss 最終話の続き(3)

          「おめでとー!おめでとー!」 「さっ、理美、じんこ。それにみんな」 後日、親友や看護科からの友達が、お祝いに入江家に駆けつけてくれた。 あたしは目から涙を垂らして、喜んだ。 「もう、びっくりよね」 「そうそう。赤ちゃんもだけど、琴子が母親なんてね」 「あの突き返されたラブレターの行きつく先が、入江ベイビーだとは、想像もしなかったわぁ」 「へへー」 理美とじんこの言葉に照れた。 「あんた達、ちっとも、そんなそぶりがないから、いつかは私が……なんて淡い期待を抱い

          イタズラなKiss 最終話の続き(3)

          イタズラなKiss 最終話の続き(2)

          「あらあら、だめよ!琴子ちゃん」 「あ、おかーさん、おはようございます!」 朝早くから、キッチンに立つあたしにお母さんが怖い顔をした。 「妊婦さんの体は大事なのよ。さっさっ。あっちで座って休んでてっ」 「でも、あたし昨日、入江くんと約束したんです!」 こぶしをにぎって、あたしは目を輝かせた。 「世界一のパパとママになろーねって!!」 お母さんは、まー!といいながら、感動するように、赤い頬を押さえてる。 「っ、世界一なんて無理でも、この子の世界一のママになれるよ

          イタズラなKiss 最終話の続き(2)