リアルな注文の多いベトナム料理店🇻🇳へ行きました
目黒区の片隅に、その店はひっそりと佇んでいる。
ドアを開けると、ベトナムの風が、しかしどこか違和感のある空気とともに押し寄せてきた。
あれは、まさに「注文の多い料理店」と呼ぶにふさわしい場所だ。
まず、席に案内される前から始まる儀式のような注文。
「窓際の席?それとも真ん中?」と聞かれるが、窓際に座ると照明が明るすぎて目が疲れる。メニューも渡される前に「紙のメニューか、QRコードで見るか、選んでください」と言われる。
ここで一つ間違えれば、ベトナム料理という名のジャングルに迷い込むことになる。
メニューを開くと、料理名は長々とした説明付き。
何かを頼むと「こちらは辛いですけど大丈夫ですか?本当に?」と、再三確認される。そう、ここでは「食べる」という行為が、なぜか試練のように感じられるのだ。
そして、ついに出てきた料理。
それは期待を裏切る、いや、期待を超えるほどの平凡さ。フォーはスープが薄く、バインミーは中の具材が異様に少ない。
それでも、この店はなぜかいつも満席だ。周りの客は、まるでこの体験そのものを楽しんでいるかのように微笑んでいる。
「なぜ、この店は人気があるんだろう?」と考えるが、答えは出ない。
ただ、またここに来る人々がいるのもわかる気がする。この不条理なまでの細かい注文の数々と、どこか癖になるまずさ。
これは料理ではなく、目黒区でしか味わえない、奇妙なベトナム体験なのだ。
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