新国立劇場バレエ『コッペリア』鑑賞録#1(米沢&井澤ペア)
本日2021年5月2日(日)より、新国立劇場バレエ『コッペリア』の無料生配信がはじまりました。
今回はその感想を記録しておきます。
ローラン・プティ版の『コッペリア』
まず、私はローラン・プティ版の『コッペリア』を観たのは、初めてだったのですが、かなり無機質な印象を受けました。まるで、バレリーナの舞台ではなくて、箱に入った人形劇を観ているような。。
一般的な『コッペリア』の舞台装置は、温かみのある、田舎の風景が背景だと思うのですが、ローラン・プティ版は灰色の都会。そして、始まりの音楽も有名なワルツの曲なのですが、ちょっと陽気な、ゼンマイ仕掛けの音楽のように聞こえて、それが灰色の背景と妙に調和して、作り物のような感じを出しているように思いました。
また、結婚式の場面の第3幕がほぼなく、第2幕の最後にちょっとスワニルダとフランツのPDDが入っているくらいなのも、新鮮でした。物語に関係のない部分(ディベルティスマン)を全て排除した感じなのかな?これは、モダンだなと感じた部分です。
リーフレットを拝見したところ、プティは、コッペリウスに自分を重ねていたようですが、最後に全てを失ってうなだれるコッペリウスを観た時に、なんとも虚しい印象を受けました。芸術に魅せられて、創作をたくさんするけれど、それは人間のように感情を持たないし、もともとの目的(スワニルダへの恋)が終わってしまうと、意味を持たなくなってしまう。
どうにか、コッペリウスが救われることはできなかったのかなと、思ってしまいました。自分の欲求だけを満たす作品はしょせん儚いもので、みんなを喜ばせるための作品を作って初めて残るものになる。。とか、そういうことを伝えたかったのかしら。
とにかく、現代の感覚と、古典の伝統的な踊りや音楽が融合されたり削られたりしているローラン・プティ版、面白かったです。
キャストについて
今回のキャストは、以下の通りでした。
スワニルダ:米沢唯
フランツ:井澤駿
コッペリウス:中島駿野
まず、スワニルダの米沢唯さんは、もう流石ですね!
みんなが想像するスワニルダそのまんまの、元気で明るい、アイドルのような演技がとても可愛らしかったです。
表情がころころ変わって、見ていて全然飽きませんでした。
米沢唯さんは、演技もそうですが、テクニックも素晴らしくて、とにかく安定感があります。まさに、テクニックを使って演技する人なんだなぁ…と思いました。
次に、フランツの井澤駿さん。イケメンですね。
フランツは、みんなのアイドルスワニルダに恋されていても余裕な感じが妬ましいのですが、それがよく表現されていました(笑)
それと、ジャンプに迫力があって、目が覚めました!
そして、コッペリウスの中島駿野さん。
コッペリウスは、『コッペリア』のキーとなる最重要人物ですが、ダンディでスタイリッシュなコッペリウスでした。愛しのコッペリアをぶんぶん振り回して踊るところには吹いてしまいましたが、そういう、ちょっとつかめない部分がいい雰囲気を醸し出していましたね。怖かった。。手品のような華麗な演出もあって、楽しくミュージカルを観ているような気分にさせていただきました。
おわりに
総じて、新鮮な気持ちになった新国立劇場バレエの『コッペリア』。
キャストが変わるあと3日間も、できたら見てみたいな…!
私が特に気になっているのは、池田理沙子さんと、奥村康祐さんのペアです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?