モロッコ⑤〜やっと着いた砂漠で、念願のアラビアンナイト〜
砂漠の街、徘徊。
やっと辿り着いた。
ここまでハプニング続きですでに5日間くらいモロッコに滞在してるんじゃないか、って気分になってくるけど実質2日目だ。
フェズについて早々客引きに会うし、砂漠ではバスが寒いし、降りた後も迎えに来ない、などなど、よくここまで辿り着いたなと痛感する。
と、同時にモロッコの優しいお姉さんとおじちゃんの顔も浮かぶ。
そうこうしてるうちにホテルから夕方前に砂漠に向かうツアーの予約に誘われた。
そうそう、これに行きたかったの、そう思いながら予約を済ませる。
予約をしたあとはツアーまで2、3時間あった。
時間を持て余したわたしは、地図を頼りに街を散策と、
ホステルを出て徘徊するも全て同じ景色・・・
砂漠、砂漠、砂漠・・・
そしてぽつぽつとかたまりになって存在する家の群れ。
とにかく不思議でスーパーひとつないから一体どうやって生活してるんだと疑問。
広さだけはあるホステルの徘徊も終わりぼーっとしていると
スタッフから声をかけられて、そろそろ出発だと伝えられる。
ラクダ、初乗り。
一緒になった旅行客と一緒にラクダの元へ向かう。
”でかい・・・・・・”
これ蹴られたりしちゃったら終わりだな、ってかどうやって乗るんだ、
わたし低身長だから絶対乗れない気がしてきた。
でかい自転車を前に、足が届かなさそうだから諦める
小学校の頃の自分と重なる。
それはさておき、乗れるのか問題に直面していたわたしの手を
ガイドさんがひっぱりラクダの近くまで連れていく。
”うーーー近い、近い。”
そう思っているとすこし身震いみたいなものをしたラクダが、
膝をかくん(まるで膝カックンでもされたんかみたいな感じで)と
曲げて座り込んだ。
ついに搭乗・・・
意外と乗り心地は悪くなさそう!
と思っていたのも束の間、歩き始めると揺れがすごい。
その度にお尻がどんどんとラクダの背中に当たって、
”こりゃお尻が痛くなるな”と覚悟する。
それでもやはり景色は新鮮で楽しい。
夢みたいな高揚感。
ついに、アラビアンナイト
今日の夕食会場とキャンプファイヤーをする場所だよ、
と連れてこられた砂漠の真ん中。
一体どうやってこの位置を把握してるんだろう、
Googleマップか?と疑うも案内人はスマホを持っていなかった。
キャンプの中は簡易的だが砂が入ってこないようになっている。
こういう形のものは見たことがないし不思議な感じだ。
鉄の骨組みに布がかけてあるような感じで、
おそらく客が来ない時は仕舞えるようにもなっている。
それにしてもカラフルな布が映える。なんせ、一体が砂で黄茶色。
都市の公園でこんなカラフルな布をもっていても
目が奪われることはなさそうだが、砂漠では映える。
砂で少し色褪せている感じが私はすきだった。
砂漠で砂遊び
砂漠の砂はさらさらしている。
とにかくすごい、意味がわからないくらいすごい。
だから実際、砂まみれになってもそこまで不快な気分にはならない。
もちろん目に入ると痛すぎて、”ううう”となるが。
そして始まったのが砂丘を生かしたスノーボードならぬ、
砂ーボード・・・。これがまたよく滑って面白い。
一緒にきていた旅行客がボードができるらしく、自信満々に滑っていくも、
途中で大きく転んで、みんなで大笑い。
やはり雪と砂は違うらしい。案内人は比にならないくらい上手だった。
小さい頃から遊ぶからなのかな、など勝手に憶測が飛び交う。
そうこうしているうちにキャンプファイヤーをはじめるぞ、と
ベースキャンプに呼び戻される。
火をつける頃にはあたりは真っ暗になっていた。
火がつくと、案内人たちが楽器を取り出し演奏をはじめた。
これまで感じたことのない高揚。
漆黒の闇で見えるのは炎、聞こえてくる打楽器の音。
なにもないところだから神経が研ぎ澄まされて、
五感を震わせているんだろうか。
あのときの震える感覚は忘れられないし、
また行きたいと思うひとつの瞬間だ。
演奏が終わらないでほしいと思った。
この瞬間が永遠に続けばいいのにと思った。
そんなキャンプファイヤーも火が小さくなり、
終焉を迎えた。
火が小さくなると同時に闇が大きくなる。
その闇の中でひとつひとつくっきりと現れる星が
また目の中に入ってくる。
どこかで経験した感覚だなと記憶をたどり、
メルズーガを訪れた最初の夜を思い出す。
そういえばおじちゃん無事に家に着いたかな…なんて考える。
ひたすら美しくて感覚の記憶に残ったアラビアンナイト、
また生きているうちに行きたいと強く思っている。
END
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