復縁はありえない
風は、気圧の高いところから低いところに吹く。気候が不安定になるのは、気圧に高低差があるからだ。
きっと人間関係も同じである。同じくらいの気圧なら、風がひと吹きすることもあるだろうが、基本的には安定した気候になる。
一方で高低差のある気圧の間には、風というエネルギーが発生する。安定的に不安定な状態だ。同じような人間同士が上手くいくという話ではない。似た二人でも全く異なる二人でも、それぞれ二人は同じような何かを保持しているから安定したバランスを保てるのである。
別れた二人の復縁の可能性は、99%ありえないだろう。どちらかがなんとなく無理をしてようやく保てていたその関係を、また繋ぎ止めようとしたところで、同じことの繰り返しである。言葉や行動を変えれば解決する問題であれば、とっくに解決していて別れに至っていないだろうから、根本的な何かが最初からすれ違っているのである。よっぽどのことがない限り、二人の間にあるそのバランス関係は変わることはない。もし復縁できる可能性があるとすれば、わざわざ行動を起こさずとも、巡り巡って必然と再会できるようにこの世界はできている。
好きな人のことを忘れられないのは、その人のことを好きだった自分を許せないからだ。好きな人との思い出、もらった言葉、音楽、匂い、シェアしたもの全てが自分の一部となって、プレゼントなどの物理的なものは捨てられても、ものと結びついた記憶は簡単には忘れられないだろう。しかし、好きな人を忘れるとは、それらを取り除くことではない。あなたはもう、その人を愛する前の自分には戻れないからだ。しかし、それらの思い出も飼い慣らしていれば、いつの間にかその人を好きだったことも忘れ、忘れたことも忘れ、その人は「好きだった人」でさえなくなるだろう。別れは新しい出会いの伏線でしかないのである。
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