スマホカメラ
写真が趣味でも、スマホのカメラにはなんの期待もしていない。一眼レフやフィルムカメラを使い倒して、日常的にカメラマンの作品を見てきた私は、スマホカメラを起動させた途端、なんか違う感に殺られて気が滅入ってしまうからだ。
しかし私は衝動的に、スマホで写真を撮る癖がある。フォルダを見ると写真はほぼやり投げで思いつきで、いつも突発的に撮っているのが分かる。写真の内容と記憶の内容が合致していることはほとんどない。例えば、何かに焦って参加した少人数婚活イベントで、終わり際、誰も選ばない選択を知らずに私だけ興味無いおじさんとマッチングしてLINEを無視した帰りに広場で座りながら撮った自分のネイルの写真。初めての就活で遠くに来たのにどの企業にも興味が持てずにホテルで飲んだ、エールビールと6Pチーズと私が映る鏡の写真。その写真は誰にも見せないが、半年後とか一年後とかに見返すと、撮っていた時の状況や心情を手に取るように思い出して、ギ…となったり、何一つ思い出せなかったりする。私はスマホで写真を撮ることで、その時に栞を挟みたいんだと思う。フォルダを見返して分析したところによると、私がスマホで写真を撮るのは絶望した時か、忙しくない時の雑なご飯、そしてドジな自分ウケるな〜という時など、苦い気分の時が多い。
スマホカメラには何が写っているか最低限分かる性能しか必要ないが、それでも私にはスマホカメラは必要だ。
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