メタバース差別の発生と選民意識②差別ってなんだ?

前書き

  メタバースという言葉が深く世の中に普及してから長い年月が経つ。
 しかし、メタバース=特定仮想空間サービスという概念はいまだ根強く、その言葉が発端で誤解を招く可能性があるのでここで定義しておきたい。
 メタバースとは「仮想空間」を指し、特定サービスを指すものではない。
 仮想空間というものは広くMMOまで広がる。
 今後ここで「特定仮想空間サービス」を指す場合はサービス名を記載する事にしよう。

 セカンドライフにおける差別と区別の発生

 実はセカンドライフの住人はあまり言わない醜い差別の部分に触れておこうと思う。
 最近でこそ「差別」を明言化する人が多い。
 セカンドライフに関心がない人には理解ができないだろう。
 世界にはたくさんのメタバースが存在する。プレイヤー数が多いFortniteやRoblox。この二つはカートゥーン調というか、アメリカンコミック調のキャラクターである。
 アジア圏のプレイヤーが多いVRChatはジャパニメーション調のキャラクターが好まれている。
 一方、セカンドライフというのは現実の人間に近いキャラクターが主流である。(以降、リアルアバターと記載する)
 それ故に問題が多く発生した。
 それではここからはセカンドライフで本当に起きている差別と区別を記載していこうと思う。

タイニーアバター区別

 これは私が古くに観測したことである。
 セカンドライフという世界はスクリプトとアニメでアバターの着席を制御している。また、小さいアバターというのも昔はアニメーションでボーンを折り曲げて制御していた。(現在ではスクリプトで体そのものを小さくしているので制御方法が異なる)
 いわば着席すると「それまで見えていなかった体の元がむき出しになって可愛いキャラクターが一瞬でホラーのような状態になる」という技術的な問題からタイニーアバターは来ないでください。と記載する場所があった。
 また同時にタイニーアバターを使っている人達の素行が悪かったのもある。(俗にいう無自覚の荒らし行為をしていた)

アニメアバター差別

 これは国内外で発生しているため、国内と海外では事情が変わるので海外事情と国内事情で分けて書こうと思う。

海外

 アニメフェイスは非常に幼く見えるらしい。(ジャパニメーションの影響もあって幼い印象もある)
 また、サービス元がアメリカの関係もあり児童ポルノには厳しくそれ故の自衛をかねて避ける傾向がある。
 また悪意を向けられやすく、それゆえに住み分けている。

国内

 リアルアバターが主流の為、「異なるものを使う人たち」という扱いが多い。
 それゆえに「アニメアバターきもい」などの嫌悪の対象になっている。
 これらは個人によるが、必ずしも嫌悪の対象になるわけではないがアニメアバターの出入りはお店の雰囲気を壊すから来ないでください。など入場規制の対象になっている。
 海外事情と同じく、悪意を向けられやすい為に住み分けている。

Furryアバター差別

 いったい何の事だ?となりそうだが、シンプルにケモノアバターである。
これも国内外で発生している。
 しかしそれらの差別をさける為に、住み分けられている。
 国内では店内などの場所の入場規制対象アバターである。

人種差別

 一番激しい人種差別をセカンドライフで見たことがある。
これは日韓関係が悪化していた頃、日本のSIMが韓国人(?)にテロ行為をよくされていた。
 テロ行為と言われても判らないと思うがグロテスクな写真が無限に現れるオブジェクトが設置されSIMに負荷をかけたり、PCに負担をかけたりする行為である。
 あるいは古くは海外のSIMで黒人差別を推奨する場所などがあった。
 勿論、セカンドライフのルールに触れるので消えている。

 多様性と差別

 ここからは分かりやすく、話を日系に絞ろうと思う。
 日系SIMで最もたくさんある差別はケモノアバター差別とアニメアバター差別でしょう。
 しかし、それらを発生させているのはリアルアバター使いである。
 意外な事にアニメアバター使いはケモノアバターに対しての偏見はない。
 しかし、私のようにリアルアバターを使う人がアニメアバターに寛容な事には幾度も驚かれた。
 ガワなど問題はない。中身の問題であるとは思う。
 しかしセカンドライフの世界の中で心が住んでしまっている人にとってはそうもいかないのだろう。
 勿論、今まで積み重なって嫌な思いをして来たアニメアバター使いも「リアルアバター使いの変化は望まない」
 故に何が起きるのかと言うと、閉鎖的に楽しむ道を選ぶのだ。
 知り合いを呼び込んだとしても身内だけで楽しみ嫌な思いをしないように道筋を立てるようになる。保守的に楽しむ事しかできなくなるのだ。
 結果的に特定エリアだけで十二分に楽しめる術を身に着けて、楽しめる人間だけが残るようになる。
  よくあるファンタジーものがたりにある人間がエルフやドワーフに対して行った差別のようなものがセカンドライフで実際に起きているのである。
 実はこのあたりは深刻な問題でもある。
 しかし最近の便利な言葉で片づけよう。

 これは楽しみ方の多様性である。

 
 同様にリアルアバターの側にも問題が起きている。
 一つの界隈がアニメアバターが気持ちが悪いと言えば「同調」するのである。
 同調したものは残り続け、同調しなかったものはどこかに流れていく。
 「寛容になれるもの」は楽しみを見つけられるのでどんどん流れて行く。
 最終的にアニメアバター使いでもリアルアバター使いでも「寛容になれる者」はセカンドライフから流れて異なる世界へと旅立っていった。
 これは私の体感であるがセカンドライフの中でアニメアバターを使っていた年代は比較的若年層が多く、リアルアバター使いは中年層が多かった。
 柔軟にアバターを使い、楽しめる人ほどセカンドライフには残らなかった。
 それは第三者からの冷たい言葉を受け取りたくはなかったからだろう。
 差別が生み出すものは衰退である。
 繁栄はない。
 変化を恐れてはいけない。それはセカンドライフで学んだ事のような気がする。


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