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学生(仮)

秋はじめ

迎えてくれるは

金木犀


本日は入校式。

職業訓練校に通う最初の日。入学式ではなく入校式という名前が新鮮だ。学生になるのは大学生以来だから十数年ぶりのできごと。いくつになっても前日、当日ともにドキドキするのは変わらない。

全員マスクをして式をするのに令和を感じたけれど、入校生一人ひとりの名前を呼んで返事をして立ったり、所長の挨拶があったり、「全員起立、礼」という号令があったりするのは、元号が変わってもどんな式でも変わらないのだなと、なんだかおかしかった。ある意味で懐かしさを覚えた瞬間だったかもしれない。

式と説明会が終わって、ハローワーク行かなきゃなとぼんやり考えてたら、隣に座っていた方が話しかけてくれた。なのに予想だにしていなくてきょどってしまった。ちゃんと返事ができただろうか。その方と近くに座っていた方と少しお話ししながら3人で駅へ向かう。当たり障りのないぎこちない会話になっちゃって怪しまれてないか心配。でも嬉しかった。ここで人によっては連絡先交換しましょうよって流れになるんだろうけど、そんな踏み込んだことができるはずもなく。まあ気長にいこう。

8年間サラリーマンをしていたものの有休消化中を含めて約半年、悠々自適な無職ライフを送っていたから、毎日同じ時間に起きて同じ場所に通うという生活ができるのか不安でたまらない。久しぶりの社会人らしい生活が復活するからリハビリ的な意味と、こういう生活が向いているのかの確認的な意味があって。また働くだろう時の参考にしたい。仕事ではないから、能力が足りなくてクビになるかもという不安がないことにはだいぶ安心している。それで油断して遅刻、なんてことは避けたいけど。

授業についていけるか、集団生活になじめるのか、誰かを心身共に傷つけてしまうんじゃないかという恐怖もある。反面、新しいことを学べることや一般的な学校とは違うから、いろんな背景を持った人たちがそれぞれの理由を持って集まってくるはずで、どんな人たちに会えるのかという楽しみはある。

おもしろそうかもと選んだコースは前職とは全くの畑違い。興味はあるけどとてつもなく苦手な分野。グループワークとプレゼンテーションがたくさんあって、常にコミュニケーションが必要らしい。人と話すのが苦手で下手すぎて避けてきたけど、仕事だけでなく生きていくために大事だから訓練して慣れていきたい。人前で話すのもそう。プレゼンがあると決まった日から、頭の片隅で引っかかってずっと緊張してしまう。前日は寝れなくなるし、当日なんて吐きそうで泣きそうになる。でもそのままでいるのは辛いから、場数をこなして慣れたい。克服出来ないかもしれないけど、何にもやらないよりはマシだろう。

苦手分野をなんとかするより得意な分野を伸ばした方がいいのかと未だに悩むけど、興味があることが苦手なことだから仕方がない。やっぱり出来ないのか、やり方次第で苦手でなくなるのか、むしろ苦手だと思ってたけど実は出来ることなのか、判断するための期間になれば良いなと思う。そんなことを考えながら勉強もできる時間がもらえるなんてありがたすぎる。

生活リズムがガラッと変わる。体調を崩さないように睡眠第一優先でいきたい。心も体も守る。無理はしない。もうちょっとと思っても途中でやめて翌日に回す。隙間時間を活用する。自由時間が極端に減ってストレスがものすごく溜まるはず。旅行に行きにくくなって周りを羨ましく思ってしまいそうだし、上手くいかないことばかりでイライラしちゃうだろうし。自分が決めたことなんだけれども。この機会にちょこちょこ発散して溜め込まないよう、感情コントロールがどうやったらできるか工夫して試してみたい。土日で近場に旅行に行くとか、無心できな粉を作るとか。

半年間なんて短くてあっという間に終わっちゃうだろう。どれだけ何を身につけられるだろうか。多分、このコースを選んだのはZINEを作ってみたのがキッカケになっている。もし仕事に繋がらなくても、趣味や好きなことをしている時間がもっと充実してくれたらいいな、なんていう下心があるのは内緒である。

明日から授業がはじまる。いろんな不安に押し潰されそうではあるけど、気負わず楽しんでいきたい。

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