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ちいさな美術館の学芸員さんに出会ってここが変わった

最近、美術館に興味がある。
「ちいさな美術館の学芸員」さんが執筆された美術館の楽しみ方という本を読んだ直後、ということもある。

30代も半ばになった3年前、
恥ずかしながらわたしが初めて美術館に行ったのは、東京都美術館で開催されていたフェルメール展。
ある人におすすめされた「ミッフィーとフェルメールさん」という絵本をきっかけに、
今なら東京でフェルメール展がやってるらしい!と知り、3人の未就学児を連れて駆け込んだ。

美術館の回り方も、楽しみ方も、なんの予備知識もなく、フェルメールの絵に会いに行ったんだ。

その帰りに、ミッフィーとフェルメールさんの絵本を買った。

子どもと何度も読むうちに、自由な見方で鑑賞してもいいんだなって少しは思えたけれど、
まだまだ美術館は遠い存在だった。

そしてつい先月。
どうしても箱根彫刻の森美術館へ行きたくなり、2ヶ月前にホテルを予約して義両親と行ってきた。
夫が子供の頃に家族で行った思い出の場所らしい。
立体的な作品は、絵画と違ってさまざまな方向からわたしに訴えかけてくるようだった。

そこで出会ったのがブランクーシの「接吻」。
愛を形にしたその潔い四角い彫刻の虜になってしまった。
あわててブランクーシについて調べたら、
今年の春に、東京にあるアーティゾン美術館で展覧会が開催されていたことを知る。
日本で始めてというブランクーシの個展だったそう。
あと数ヶ月早ければ・・・おしかった・・・。
ブランクーシ展は終わってしまったけれど、アーティゾン美術館へは行ってみたい!
(ブランクーシグッズをゲットしたい!笑)
そんな風に考えていた頃に、たまたま図書館で予約していた冒頭の本が手元に届いたのだった。

優しく語りかけてくるような親しみやすい文面で、一気に読んでしまった。
そして美術館に行きたくてたまらなくなった。

特に中盤の、美術館をもっと楽しむためのヒントという章が目からウロコだった。
美術館はまずぐるっと一周まわること、
館内で鉛筆を借用し、メモを取りながら鑑賞するといいこと、
できればそれをアウトプットすると良いことなどが書かれていた。

一番勇気をもらったのは、「アートは難しい!」ということ。
正直、学芸員というお仕事さえよく知らなかったけれど、
専門家である学芸員でさえ「アートは難しい!」と言っている。
だから私のような素人が難しいな、と感じても何もおかしくないんだ。
というかむしろ、難しいなどと言って自分から一線を引くことなく、
どんどん飛び込んで行けばいい。
そして自分の中に固着した常識や固定観念を壊したり、
静謐な空間に癒やされたり、
自分なりの楽しみ方、味わい方でいいんだって思えた。
これが一番の収穫だった。

以前、職場の同僚で美術館めぐりが趣味の方(もうだいぶ先輩だけど)がいた。
その方は休みの日ともなれば美術館を巡るような人で、長期休みには海外の美術館へも行っていた。
デスクにはポストカードがたくさん並んでいたっけ。
「(美術館は)いいわよ〜!」と満面の笑みで語っていた姿が目に焼き付いている。
そのときは「美術館にわざわざ行って絵をみて、何がいいのかしら?」と、
超合理的思考でなんの味わいもない感想を持ってしまっていたけれど、
今ならわかる。アートは楽しい!
わたしも美術館に行きたい!
食い気味でその人と話ができそう。

アートは無駄?
無駄でもいい。無駄だからこそ人生に余白を生むんだ。
無駄なことこそ豊かなんだ。

数年前のフェルメール展から徐々に自分の中で醸成されていった
美術館を楽しむという自分の新たな一面。
ちいさな美術館の学芸員さんにも後押ししていただき、
またひとつ、世界が広がり成長できた気がする。

ちいさな美術館の学芸員さん、ありがとうございました!

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