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エレガントな日常/賛辞でノックダウンさせてみたい
あー。マウントとりたい!
この人よりも優位に立ちたいなぁー。
そんな気分になっちゃいました。
私の憧れの87歳マダム。
あまりにも素敵過ぎてバッタリと出くわした時はただただ
「お美しい、、、素敵です、、、」
毎回薄っぺらな語彙しか出てこ来ず家に帰っては悔しくて反省してしまうのでした。
(そして語彙のバリエーションを増やそうと練習しなきゃと思いつつ忘れる)
本日もお目にかかりました。
1本の乱れもなくまとめ上げた夜会巻ヘアー。
高い身長にピーンと伸びた背筋。
シャネルのスーツ?皇室関係者?と思わせられる仕立てのよい上品な洋服に身を包んで足元はヒールです。
真っ赤な口紅に先端がとんがった長い爪には定番の赤いマニュキア、、、
あぁ。
今日もマダムの半径3mにはダイヤモンドの輝きのようなピーンと張りつめた空気が流れています。
それは一種の緊張感でもあるけれど、人を寄せつけない類のものではなくってむしろ観音様のような慈愛にも似ています。
マダムは私の名前を知りませんが存在は覚えてくださっており、会うたびごとに私の「ステキ」攻撃を交わすことに腕を上げておられます。
最初のうちはマダムは恐縮されてピーンと伸びた背筋が海老のように曲がり「いいえ...そんな...」と後ずさりをしていました。
ところが私がカーリーヘアにしてからというもの「いいもの見つけた!」とばかりに反撃に出てくるようになったのです。
「あなたの髪型素敵ね」
「私も一度でよいからそうしてみたかったの」
「輝いていらっしゃる」
なーんて、外見だけではなく内面をもセットで褒め讃える技を繰り出してきました。
もうね、ボイスレコーダーに録音して寝る前にエンドレス再生したいぐらいです。
そうです。
ここでマウントの話です。
私はまさかの憧れのマダムからの反撃にて動揺してしまい、そのまんま受け取って舞い上がって帰るパターンになってしまいました。
それが悔しいのです。
今日も私はやっぱりワンパターンのセリフしか出てきません。
「本当に...お美しくて...(モゴモゴ←言葉にならない)」
マダムは恐縮したときの独特の表情をされながらも反撃してきました。
「まぁ。それはワタクシのセリフです。あなたこそお美しい、、、」
とマダム。
「(めげずに)素敵です...(モゴモゴ)」
と私。
(あぁ、もう体勢は先方優位になってきた〜やばいやばい。次のセリフが出てこなーい)
マダムはトドメを差してきました。
「憧れます」
ひ、、、ひっ、、、ひゃーーー!
私は3秒ぐらい白目になっていたかもしれません。
でも黒目を取り戻し頑張って応戦。
「あぁ、、、それは私が言いたいセリフです。30倍にしてお返しします!」
安っぽい言葉だなぁと自分でも情けなくなります。
マダムは落ち着き払ってこう締めました。
「あなたの写真を撮りたい...」
えぇ?今なんて??
私は何を勘違いしたのか念願の一緒にツーショットをスマホ自撮りをするかと思い込みました。
が、マダムは言葉を続けました。
「....その髪型を(後ろ姿)」
あっ。
あっ。
あー。
そーゆーことか。
「憧れます」の意味も決して私の存在自体を指しているのではなくってカーリーヘアのことだったかー!
(恥ずかしい、、、)
その後はもう私も気が動転し、
「えぇ。髪型のお写真なら事務所を通さなくても大丈夫です。喜んでどうぞ〜!(舞い上がって声もカン高くなってる)」
と渾身のジョークを繰り出してみたもののマダムはスマホを取り出すわけでもないご様子なので
(あ、これは大人の洗練された会話だったのね)
と認識しては恥ずかしくなっちゃいました。
うーむ。
なんとかして私はマダムに賛辞マウントをとってみたいものです。
マダムがどれだけ美しくて気品と知性に溢れ、私にどれだけのパワーを与えてくれているのかをサラッと讃えたいのよね〜。
そんでもってマダムをノックダウンさせたいの。
って何の戦いなのでしょうかね。
(その前にツーショットも撮りたいなぁ。でもあの自撮りをやったことがない私。アングル難しそう)
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このあとマダムに遭遇。
この写真あげますよーってメンタル強めにジャブもかましてみたい。
私のこのモジャモジャ頭。
今さらですが実は相当インパクトが強いことを知りました。
ネイルサロンや眉カットの美容室のスタッフさんとの会話にて言葉の端々からそれが分かったのです。
もちろんこのヘアスタイルは流行でもないから逆に目立つかもしれません。
ですがここは大都会だし外国人も多くて私のようなカーリーヘアは意外と多いのです。
そんなムードもあって、私は安心して風景に溶け込んでいました。
いや。
溶け込んでいると思っていたようです。
でも?
どうやら??
印象に残りやすいらしい、、、。
それを知ったら急に恥ずかしくなってしまいました。
だって
スーパーで値引き品や見切り品ばかり狙っているところや、
品物をガン見して立ち止まる癖、
(ガン見しながら食べるところを想像しているから)
何周も何周も店内を回るところ、
ジョギングでハァハァしていたり、
夜な夜なアイスを買いに行ったり。
もしかして
「あっアイツまた来た!」
って思われていたらどうしよう、、、
「あっ、ラッキー!モジャモジャを見たぞ」
とある種の縁起物として小学生たちの都市伝説になるなら100歩譲って許せます。
でも、もしその逆だったら、、、
わぁーーー。
ヤダヤダー。
私は人に印象を残すことへ抵抗があります。
地方よりも都会が住みやすいのは誰も私の事を知らないし、見向きもしないから心地よいのです。
地方在住のときはどうしてもご近所さんや元夫の会社の人など、どこで私のアホヅラを見られているか分からない場面が多くそれはそれは苦痛でした。
公衆浴場などに行くと
ここで誰かと会ったらどうしよう!
どこを隠してどんな挨拶をしたらいいのだ??
と常に緊張していました。
(と言っても一度も誰とも会わなかったけど)
なのにこの大都会でモジャモジャインパクトを振りまいていたとは、、、
noteにて交流があるアナタさま。
もしも私らしき髪型をもし見かけたら必ずお声をかけてくださいね〜平伏してお願い申し上げます、、、そうじゃないと逆に恥ずかし過ぎるから、、、。
これからは髪を結んで出かけようかなぁと考え直し中です。
(本来なら恥ずかしくない行動をすれば済むことなんですけどね)
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はぁ〜。
それにしてもマダムは美しかったです。
その輝きはますます研ぎ澄まされているかのようにも思いました。
同じ空気を吸い込むだけでも幸せ。
トップオブザ気品のマダム。
でも。
チラリと見たマダムのバッグはいつもと変わらず紙やら薬の袋やらゴソっとハミ出ています。
完璧じゃないところがまたス・テ・キ。
私は今日もエレガント。
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セモリナ粉+甘酒+油を火にかけて練り練り
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(48時間以内なら願い事まだ間に合います)