すてきな人
小雨の土曜日。
肌寒さと気圧のせいなのか、
なかなか起きる勇気がありません。
でも今日は週に一度の買い出しの日。まだ暖かさが残る寝具をあとに頑張って起き上がりました。
グダグダと準備をして市場へ向かう途中の信号待ちをしている時のことです。
とても素敵な人を見て朝の気分は
一気に吹き飛びました。
一言で表すなら
「男性がお年寄りを助けた」
ですが、そのサポートの仕方が洗練し過ぎていて私はしばらく感動に浸ってしまいました。
おばあさんが信号付近でタクシーを拾おうと手をずっとあげています。
その場所はたいてい1分以内にはタクシーが拾えます。
私は何とも思わずにいました。
横断歩道が青になり私は歩き出します。
すると目の前を歩いていた30代くらいの男性が横断歩道を渡りながら車道へ向かって手を振っていました。
信号待ちをしているタクシー群に
手を振って注目してもらおうとしているのがとても良くわかりました。
男性は横断歩道を歩いたままタクシーへ手を振り、おばあさんを指差す仕草を何度も何度も繰り返しています。
「おーい。運転手さん、向こうのご婦人待ってるよ。行ってあげて」
そんな言葉が体全体から響いてくるようでした。
私が感動したのは、男性は横断歩道を歩くペースを緩めていないことでした。
おばあさんのために立ち止まってタクシーを拾ってあげるわけでもなく、ご自身のペースを崩さずに出来ることを精一杯されていたのです。
必死にジェスチャーしているようにも見えず、かといって適当にタクシーへ合図もしていません。
ちゃんと目で運転手さんが気付くのを確認していました。
男性は横断歩道後半になり、体と目線はタクシーの方向から離れましたが手だけはずっと同じ合図を繰り返していました。
「(運転手さん、向こう、向こうのご婦人へ行って)」
そして相変わらずスタスタと歩いて行ったのです。
私は彼の仕草を見たとき直感で中国系の人と思いました。
(日本人かもしれませんが)
容姿は日本人と変わりません。
大きなヘッドフォンをして、
グレーのスエットパンツ、
手ぶら姿。
後ろのポケットには500mlのペットボトルが飛び出していました。
なぜ中国系と思ったかというと、
私が大昔に中近東の国に住んでいた頃、その国の人々は自然にお年寄りや女性や子供をサポートしているのを見ていたからでした。
その「自然体」の雰囲気が
異国情緒あふれていたのです。
そう。
今日見た男性はあまりにも
「やり慣れている」
感じがしたのです。
あんなサポートもあるんだと感激しました。
そして、私はさらに恥ずかしくなることを思い出しました。
(恥じる必要もないけれど、
そこは反省が得意な日本人の私よ)
おばあさんは傘をさしていませんでした。
彼がそこまで気がついたかわかりませんが、あのナチュラルなサポートはあまりにも印象的。
きっとおばあさんは彼の行動は知りません。
すごいな。
素敵だな。
私だったら、
おばあさんに傘を横から差し出し、
一緒にタクシーを待ち、
乗り込むまで見守る、
なんなら見送って深々とお辞儀
までしちゃいそうです。
(そして気を遣いすぎて疲れる、
おばあさんも過剰なサポートが負担になる)
そんなこと書いておきながら、
実際にはおばあさんが雨に濡れているのも気が付かず、タクシーもすぐ来るだろうと通り過ぎていたんですけどね。
あぁ、今思い出しても素晴らしい
仕草でした。
体の動きだけで明確に伝えたいことが出来るなんて。
あんなに真心が入っているジェスチャーは初めて見ました。
(しかも自然体なんだからスゴイ!)
私は途中までその男性の後ろを歩いていました。
彼はポケットの中のゴミを道端の自販機横にあるゴミ箱へポイっとして相変わらずスタスタと歩いていきました。
(あ、そこはペットボトル専用のゴミ箱なのに、、、あはは、、)
さて。
本日の市場での戦利品
コーヒーは成城石井スーパーの
フレンチロースト。
一般的にフレンチローストは少し物足りなくてどうかなぁと迷いましたが、タイトル写真の通りコーヒーのパッケージの「苦味とコク」Maxの座標と裏書きの「深煎り」度数Maxに惹かれてトライ。
今朝から頭に浮かんでくるメロディ
「And I Love Her/ ビートルズ」
をループで流しながらのコーヒータイム。
曲とコーヒーの味と小雨がマッチしていました。
人を思いやる心って見ただけでも豊かな気分になります。
(見ず知らずの人よ、ありがとう!)
幸せな土曜日の前半を過ごす私は今日もエレガント。