【散文】マーケティングリサーチとは違和感を見つけること
マーケティングリサーチを進める前段で1番大切なことは目的設定だというのは比較的当たり前の話。
シチュエーションに合わせて、本当に様々な目的を設定していく必要があるし、そこが腕の見せ所感もある。
ただ、『目的を設定すること』が目的となってはいけないと最近思う。
目的を設定することは、あくまでもリサーチのフォーカスポイントを絞る手段であるということを忘れてはいけない。
リサーチの最上段にあるのは、『違和感を探す』ことである。
僕が真に優秀なリサーチャーだと思う人は総じてこの『違和感』を上手く見つけてくる。
そして目的設定では、どんな『違和感』を見つけてくるかを想定して定義をする必要がある。
言い換えれば、『どんな違和感が見つかれば、事業が前に進めるのか』を考える。
そのためには、『理想像を明確にする』ことが非常に重要である。
そして、よく陥りがちなミスの一つが『論理的な違和感』を指摘すること。
一例として、消費者向けのインタビューなどに立ち会うと、
『その理由なら、普通に考えたら〇〇よりも××を選ぶだろ』
と思うことがある。ただ一度立ち止まってその人の話を聞く必要がある。
なぜなら、彼らには彼らなりのロジックがある。ただそれは、世間一般のロジックとは違う可能性が高い。
僕が指摘した『論理的な違和感』とは、彼らと、世間のロジックの違い自体を発想の対象とすることである。
そうではなく、彼らなりのロジックを理解するために、価値観や考え方を深掘りし、彼らの理想的な生活、生き方を想像する。
そして彼らの理想と、現実のギャップにこそ『違和感』を感じる必要がある。あくまでもギャップは『世間(提供側)と彼ら』ではなく、『(彼らの)理想と(彼らの)現状』でなければならないし、発想の起点はそこにある方が成功しやすいと思う。あくまでも経験則だが。
上記はあくまでも一例として消費者(彼ら)に視点を置いたが、それだけでは足りない。『リサーチャー』としての違和感。『サービスデザイナー』としての違和感。『意思決定者』としての違和感。
様々な視点でリサーチプロジェクトの中に違和感を見つけていく必要がある。もしかしたらプロジェクト自体に違和感が生じるかもしれない。ただそれは前進した印であるに違いない。
そのため、リサーチのプロジェクトでは、プロジェクト参加者のそれぞれの価値観や考え方を知る必要がある。それがないとプロジェクトのPDCAが回らない。
その話は気が向けばまた後で記載することにする。