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人材育成とチームビルディングの組み立てが変わってきたかもという話

今年の高校野球は甲子園常連校が地区予選、それも早い試合でどんどん姿を消すという大番狂わせが起きているようです。

なんでこんなにいわゆる番狂わせが起きているのか?
色々調べてみるとどうやら高校野球の指導現場に変革が起きているようです。

指導者層の多様化


元プロ野球選手の指導者が増えてきて、それに伴い指導方法が多様化しています。これまでは甲子園常連校の中で伝統的に確立された指導方法があり、さらにこうした常連校同士での情報交換も最近は行われていることから、こうしたコミュニティの中で時にはプロ顔負けの指導方法が確立されていました。ところが最近元プロの指導者が増えてきており、こうした従来の図式にあてはまらない指導方法で選手を強化するチームが増えてきています。

勝つことを目指さない指導の増加


甲子園はトーナメントで1度でも負けたら終わりです。なので負けないための戦術が常連校の中では様々な形で練りこまれるのですがこれは想定されるリスクを事前に洗い出してそれに対する備えを用意するという形になります。一方で上述したようなこれまでの高校野球の枠にあてはまらない指導者が増えてます。常に勝つことが求められる常連校でない場合は、むしろ育成の方に指導者の意識は向かいます(だってそれはめっちゃ楽しい)。

個の才能を伸ばす指導へのシフト


現ロッテ佐々木投手が高校の時に彼の身体故障リスクを考慮して予選決勝に登板回避という決断をした指導者の判断が大きな話題になりましたが、勝利至上主義でない指導者であれば当然の判断だろうと思います。
現在NPBで同世代でとびぬけた力を持つ投手が何名がいますが、高校時代には甲子園出場経験とはあまり関係ありません。おそらく高校時代に育成に特化した指導を受けたからこ故障することなくその才能が花開くことになったのだろうと推察されます。
加えてIoTの導入によってデータに基づく指導やコーチング手法による育成も入ってきており、従来のような伝統校でないと選手の能力が伸びないという状況が明らかに変わっています。

甲子園常勝チームは個の才能に分が悪い


甲子園常連校のこれまで行ってきた負けない野球はこうした想定外の才能にはめちゃくちゃ相性が悪いです。なぜならこれまで経験したことがないものに遭遇してしまうからです。こんなはずでは??という焦り、想定外の才能に対する絶望、これらが常連校の勝たねばならない、こんなところで負けるわけにはいかない?というプレッシャーをさらに重いものにしてしまいます。それが今年の地区予選での番狂わせに関係しているのだろうと推察しています。
じゃあこうした個人の能力を引き出す指導で才能が開花した選手が甲子園で優勝できるかというとおそらく無理でしょう。個人の才能だけで全国優勝までのトーナメントで全部勝つというのはあまりも消耗が激しく無理だからです。
余談だけどトーナメントで日本一を決めるという方式が徐々になじまなくなってきているようにも感じています(運に左右されすぎる気がします)。

でも選手の能力は確実に底上げされている


ご存じのようにWBCで日本が優勝しました。これは大谷選手などのMLBのトップ選手は参加したこともありますがNPBの若手選手のレベルが上がっており、NPB全体のレベルが上がっていると言えるでしょう。その裏付けとしては韓国リーグのTOP選手がNPBに移籍してもあまり通用しなくなっていること、MLBからの移籍選手もあまりぱっとしない(メジャーのTOP選手であるDeNAのバウアー選手でも圧倒的とは言い難い)ことなどからも見て取れると思います。型にあてはめずに個々の個性にあった形で才能を引き出すという指導方法が日本の野球でブレイクスルーを起こしていると言えるのではないでしょうか?

人材育成におけるパラダイムシフト


さて野球の話が長くなってしまいましたが、この状況は企業の人材育成でも同様なことが起こりうるのではと思っています。
日本企業における人材育成の基本的な考え方は、以下の通りです。
①求める人材像(自社で活躍できる能力・スキルの具体化)を設定(コンピテンシーモデルがその代表例)。
②その基礎要件を満たす人材を採用
③段階的に教育を施し、必要な経験を積ませて育成

これって甲子園常連校のチーム育成に似ていると思っていて、要するに勝つために発揮できる強みを最大化するためにそうした能力を持つ人を集め、育てていくという方式です。

自社の強みが最大発揮できる戦略があり、再現性を持つ形でそうした能力を伸ばす育成の仕組みができていれば確かにこのやり方は有効です。
一方でこのやり方には弱点があります。
それはこれまでの強みが活かせる外部環境が変化した際に柔軟に対応が難しい。環境変化に対する対応力が弱いということです。
そしてVUCAといわれる21世紀、さらに変化の速度が加速してきた2020年代においてはこれまで強みであったはずのこの仕組みが機能しなくなってきているように感じています。

これからの人材育成~ヘンタイが企業の未来を創る


環境変化が起こった世界はこれまでの勝ちパターンが通用しなくなります。そして勝ち筋を具体化してそれの汎用性と再現性を高めるという従来の人材育成方法だけでは変化のスピードに対応できなくなっているように感じています。

新しいやり方は、個々の才能や能力に合わせてその内発的な動機づけによる没入状況の中から新しいイノベーティブな能力を引き出すという手法になっているように感じます。
当事者がワクワク取り組んでいるという状況がまずあってその当事者のワクワクをより高める方向での対話と支援の場づくりを整えるという事でしょうか?

「夢中は努力を凌駕する」

私の好きな言葉に「夢中は努力を凌駕する」ということがあります(たしか食べチョクを立ち上げた秋元里奈さんが言っていた言葉です)。
これって実は人の能力って優秀であるかどうかでなく、夢中になれるかどうかで判断すべきという事なのかなあと思っているのですが、いろいろな採用関係の調査でほしい人材像とかの調査で出てくる人の特徴って実はこの夢中になっている状態の人を指しています(例えば「自律的に思考し、行動し、チャレンジを恐れずに行動する人材」ってよく出てきますけどまさにそうですよね)。

簡単に言うと「三度の飯よりもこれが大好き!」という人たちが夢中になって取り組む者の中から世の中を変えるイノベーションが生まれるということで、そうしたイノベーションがまれやすい仕組みと場づくりをするということです。
(オタクなんかもそうですけど、結構世間からは白い目で見られることが多い人達です。こういう人のことを私は「ヘンタイ」と名付けています。)
「人を育てる」のでなく、「人(ヘンタイ)が育つ場」を作ることに人材育成のパラダイムが変わるという事でしょうか?

「ヘンタイ」がわくわく働く場づくり


ということは会社の中で仕事に夢中に向き合える人をそれだけ増やせるか?ということになります。
ちなみに仕事だけに夢中に向き合える人は多くないです。こういう人はワーカホリックといいます(笑)けど、こういう人ってかなり特殊な人なのでこういう人を集めるのはかなり難しいのと、組織としてはうまく行かなくなる可能性が高いです(パワハラ職場になります、おそらく)。
なので自分自身の人生にわくわく向き合える場づくりをすることが大事で、経営者自身が仕事と人生を楽しんでいて、その会社での「ワーク&ライフ」をもっと楽しくすることにこだわる!!社員にもそういう場を提供することにこだわる続ける視点で会社の仕組みを作っていくことなのかなあと思っていて、ちなみにそれが「well-beinngを高める」ということなのかなあと考えています。

どんな仕組みが必要か?


ではその環境に必要な要素を仮説ベースで以下にまとめてみます(北陸人材ネットで実証実験中です(笑))
①思ったことを何でも言い合える、心理的安全の高い場づくり(ぶっちゃけ社員同士の仲が良いというのはかなり重要だと思っています。)情報はすべてオープン化。
②組織の目的とこだわりたい部分は繰り返し伝え続けるとともに実現の手段については各人の裁量に委ねる。できるだけ裁量の幅を広げる工夫を行い続ける。
③そうした中で出てきた各人のわくわくの発言を皆で素直に耳を傾け、より良くなるための支援をともに惜しまない。論理性を高めることは重要だが、論理的になっていない状態を否定しない。より納得性の高い言語化を促したり、論理化されていない部分を整理することで論理化を促す会話を心がける。
④正解を捜すのでなく、より良くする方法とわくわくの意味を深掘りする思考と会話を続ける。具体的には仮説設定とその検証という思考プロセスをくり返し、実現性を高める。いくつかの選択肢が生まれた場合は、加えてより自分らしくという部分にこだわった選択を行う(これによって内発的動機付けがより高まると思っています)。

いかがでしょうか?

中小企業のほうがわくわくしやすい

こうした場は組織が小さいほうが作りやすい!!
です。これはこれまでの自分の経験の中で断言できます。そうするとこれまではコストと体系的に研修を構築できない中小企業は人材育成の面では不利だと言われていた領域で、まさにゲームチェンジが起こすことができるのでは?
?と思っています。

最後に

来月24日に添付のイベントでお話をします。
副業の話なんですけど、今回のブログの内容を中心に資料をまとめています。
金沢市に関係のない方でもご視聴OKということですのでご興味お持ちになった方はぜひ!!






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