経営者を縛る呪いの言葉とは・・
さて、呪いの言葉第2弾です。
呪いの言葉に縛られる経営者ってめちゃくちゃ多いなあと思っています。
私自身も今でも縛られている部分があるかもしれません。
で、その呪いの言葉とは・・・
「良い経営者とはどうあるべきか」
です。
えっ!!
それって呪いの言葉なの??
いやいやむしろそういう考え持つ経営者って素敵じゃないの??
そう思われる人が多いのかもしれません。
でもこの言葉に呪われてしまっている経営者が私の周囲にはたくさんいます。
そういう経営者であらねばならないという想いにとらわれすぎていて、めちゃくちゃ自分のやりたいことを抑えて、社員のためを思い、自分の時間と体を削って仕事に打ち込んでいるけど、会社は実は周囲からブラック視されていて社員の入れ替わりも結構激しいという残念な状況だったりすることが多いです。
最近は経営者向けのコーチングでそうした呪いから解き放つことのお手伝いをさせていただいていたりするのですけど・・
良い経営者とはどうあるべきか・・・
うーーんなかなか深い言葉です。決断に迷ったときにこの言葉を内省のきっかけにすることは私自身も今も時々あります。
ここで呪われてしまうときは
「良い経営者」=世の中の皆がそうだと思う人みたいな考えでそれをとらえてしまう時だと思っています。
じゃあ良い経営者ってどんな人なのかをちょっと考えてみましょう
「社会的な使命感にあふれ、仕事に対していつも全力投球で取り組み、一方でいつも社員のことを思いやり、そして事業と企業と社員を成長させることができる能力を持った経営者」
という感じでしょうか??
スーパーマンか??
ぶっちゃけ私には無理です(笑)
だって、これに本気で取り組むと、おそらく24時間仕事のことしか考えていないといけなくて、自分のことなんか後回し、いつも仕事最優先で自社の事業のためにすべてをささげつくすみたいな生活を送らないといけないような気になりませんか?
そんな修行僧のように仕事に向き合うような生活をしていても私はちっとも人生が楽しくありません。
あ、でも、自分の場合はスキーについてはこういう生活を送ることができると思います。だってスキーに関してはそういう生活(スキーの自分の時間のほとんど費やす)をすること自体がめちゃくちゃ楽しいと思えるからです。
こういう事を言ってしまうと「お前は仕事をなめてんのか??」みたいなお叱りをいただくことがあります。というか30年前は説教されました(実話)。
一応、誤解のないように私の考えについてご説明(弁解?)させていただきますと経営者としての仕事をないがしろにしているわけではありません。冬場、修行僧のようにスキーに打ち込むためには、生活の基盤が必要です。そういう意味では今の会社の環境があってこそであり、来シーズンもその次のシーズンもそうした生活を送るためには会社の経営と事業をより発展させていかねばならないと思っています。
じゃあ、冬場のスキーに修行僧のように打ち込める環境を手放してまで会社の経営に力を注ぐかといわれたら、答えは「NO」です(まったく迷う理由もなく0.1秒で即答できる自分がいます)。
さてそんな感じで考えている私はきっと良い経営者ではないのでしょう
でも私は人生も仕事もスキーも楽しくやっていると自覚できています。
「良い経営者」になるためにもがき苦しむ人と私のような生き方を選ぶのとどっちが正しいのでしょうか??
という書き方をするとどちらかが良いという選択をしなければならないように聞こえてしまうのですが、私自身はどっちでもよいので一人一人が好きな方を選べばよいと思っています。
事業と会社の経営を私のスキーにのめりこむ熱量以上に情熱を持て打ち込める方はそういう生き方を選びそう生き方の中で自分の人生の価値の最大化を目指せばよいと思います。
「仕事が趣味」な人はそういう選択をすればよいかと・・
こうやってまとめてみると「経営者がみな「良い経営者はどうあるべきか」」を考え、目指さねばなければならないという風潮がおかしいのではということではないでしょうか?
人生においてもっと大事なことは自分の人生を最大限楽しむことだと思いますし、経営者だって自分の人生をより豊かに幸せに生きることにこだわるべきではないでしょうか?その部分を忘れてしまい、他人からの評価にとらわれてしまうと「呪われてしまう」のではないかなと思います。
うまく表現できませんがあるべき姿って人の個性が様々なように多様性があるのではと思います。そうすると自分自身にとって良い姿を内省し、それをより良くすることに向き合うという視点を持つことが重要なのかなあと思います。
不特定多数の視点から見た理想とされる経営者ではなく
自分自身にとってより自分らしく会社を経営できている経営者を目指すべき
という事でしょうか??
もちろんこういう考え方って合う、合わないの相性がすごく出てしまいます。そうすると今いる社員が辞めてしまうのでは?とか
誰も来てくれないのでは??みたいな事を考えてしまうかもしれません。
でもそれってそういう事でよいのではと思っています。マーケティングの世界でも全く同じことが言えるわけで、例えばベートーヴェンは好きだけどショパンは嫌いという人は普通にいますよね。人それぞれに好みがあるのだから当然です。
でも音楽やアートの世界だと、やはり優れた作品というのは時代や国境を越えて多くの人が良いと感じる普遍的な何かがあるわけだけど、一元的なものではなく、それぞれの作品における独自の世界観みたいなものが優れているほどより多くの人の共感と感動を引き起こしているじゃないかと思います。
そうすると経営と芸術は似ているんでは??
という考えに至ります。経営者個人の持つあるべき姿の持つ魅力が高ければ高いほどより多くの人がその会社で一緒に働きたいと思うのでしょうし、もっと言うと経営者が会社の経営を通してより自分らしさを突き詰める過程でよりそれが多くの人の共感を呼ぶ会社が成長し、社会に対する影響力を高め世の中を変えていくのではと思います。
良い経営者である必要はありません。そう思った瞬間にその言葉に呪われてしまいます。
自分の人生における経営者という役割を自分にとってより良い姿、形にしていくことに貪欲に、わくわく取り組むことで、それを素敵だと思う人が集まって組織になって皆でワクワクを共有しながら仕事をしていく・・
そんな姿が自然なのかなあと思う今日この頃です。
皆さんはどう思いますか??