銀龍🐲随想16

9月最初の土曜日。恐ろしい程に澄みきった青い空に千切れ雲や入道雲が入り混じって浮かび、夏から秋への交代劇を演じているようだ。

今年の9月1日は100年前にあの関東大震災が起こった日だ。

薄れゆく関東大震災の記憶を、なんとしてでもしっかり残して未来の世代へ伝えて置かなくてはならないと思う、烈日の中で迎えた100年目の9月1日。

今日（9月2日）は仕事が退ひけたあと、静かな住宅街を歩いていた。日陰を選ばないと、焼け付くが如き烈日に、頭をジリジリ焼かれるような暑さを味わうだけだ。

住宅街のそばにある、集会所が目に入る。見ると「涼み処」という幟のぼりが立っている。

ずっと烈日があたる道を歩いていたので、スッカリ汗だくだく💦💦になっていた私は、さっそくその「涼み処」でしばし、涼むことにした。

涼み処は集会所の奥まったところにあった。テーブルが2台、椅子が4脚置いてあった。椅子はテーブル1つあたり、1脚ずつ置いてあった。

テーブルの上にアクリル板の仕切りが。ついこの間まで激しかった、コロナ禍での感染防止策の名残りっぽく見えた。

そばに、私が働く現場のある区の区報が何冊かまとめて置いてあった。ので早速読む。

冒頭は「関東大震災から100年・・・直下型地震」特集だった。

最初に眼に入ったのは、関東大震災の死者・行方不明者の総数10万5385人が、のちの時代の震災…阪神淡路大震災や東日本大震災などのそれよりも篦棒に多いことに、今更ながら・・・仰天した❗。

因みに、東日本大震災の死者・行方不明者総数は22,312人。
阪神淡路大震災では6,437人。

明治以降の震災では史上最悪の犠牲者を出しているのだ。

関東大震災の発生した100年前の9月1日、ちょうどお昼時で、各家庭ではめいめいが昔良く使われていた「七輪」とか「竈かまど」を使って煮炊きしていたところへ、忌まわしい「揺れ」が起こってしまい、そこから火災が同時多発的に発生したが故に、上記のように史上最悪の犠牲者数になったというわけだ・・・。

家に帰ってTV📺をつけ、震災関連のスペシャル番組を見た。

墨田区本所にかつてあった被服廠（軍服などを縫製していた軍需工場）跡。めいめい大きな荷物を担いだり大八車やリヤカーに乗せて避難してきた人がそこにたくさん集まり「はぁ〜やれやれ」といった感じでホッとして、休んでいた数時間後、凄まじい火災旋風に飲まれて38,000人が尊い命を落とした
…。

その火災旋風は当時の記録映画には残されていないが、専門家による実験映像を見た時、其の凄まじさに言葉を失うところであった。

引火性の強い薬品（というか油か？）火をつけてから数分で、ぐゎー❗と言わんばかりに炎の竜巻がグルグルと立ち上がりたちまち、空へと向かってぐぉーん！と伸びていった。上昇気流が発生し、🔥を高く高く持ち上げていくのだ。

この実験映像を視ただけでも「これじゃ絶対、逃げるに逃げられん・・・」と思うしかなかった。
被服廠跡を襲った本物の火災旋風は、10m以上もの高さの炎の竜巻となり、人や大八車、布団やタンスなどを高々と巻き上げながら、全てを焼き尽くし、上述のように38,000人を丸焦げの炭・・・・・に変えてしまった。

震災発生からしばらくすると、火災旋風以上に恐ろしい事態が発生する。デマだ。
所謂「朝鮮人が井戸へ毒を投げ込んだ」とか「朝鮮人が刃物を持って襲ってくる」とかいった、流言蜚語りゅうげんひご👄だった。

被災した人々の中から「自警団」が「結成」され、朝鮮人と見做みなされた人たちを棒や短銃を使い、虐殺した。中国人やそれらと間違えられた日本人も自警団による虐殺の犠牲になった。

専門家によると震災のあとは、普段は人々の意識の中に押し込められている「特定他者への差別感情」が一気に噴き出し、止まらなくなるという。被災したことによるパニック状態も大いに関係していたようだ。

この一連のデマ騒動、軍部やメディア（と言っても其の頃は新聞とニュース映画ぐらいしかなく、ラジオ📻はまだ放送が始まっていなかった）も最初はこのデマを鵜呑みにして「拡散」していたが、あとでそれがまるっきりの、真っ赤な嘘と分かった途端にデマへの"加担”をやめた（らしい）が、時既に遅く、「その気」になった人々の朝鮮人への攻撃は、しばらく止むことはなかった…という。
災害のあとに広まった出所不明の情報については、それが真実なのかデマに過ぎないのか、新聞社・出版社・テレビ局などの報道機関やSNSの運営会社はしっかり裏を取って、検証する必要があろうし、またこうしたデマによる特定の立場の人々が悲劇を被ることがないように「ヘイトスピーチ文化」の根絶を私達一人ひとりが意識して務めなくては…と強く思う。

ともあれ、たった今でも起きるかもしれない超級災害である「直下型地震」。関東大震災から100年経っても、あらゆる被害やデマ流行は起こりうるから、それらがもたらす悲劇を無くすためにも、「備えあれば憂いなし」の言葉通り、しっかりともしもの時の為に備えはしていかなくてはと、倩つらつら思う。

今回はここまでです。また今度。再見❗👋🐸。