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不登校対応で親が重視すべき11のポイント
子供が不登校になると、多くの親御さんが混乱します。
何をどうしたらいいか、迷い、頭を悩ませます。
そのときに、
素人判断で間違った対応
を暴走させてしまうのか、
それとも、
落ち着いてプロの助言を受けて正しい対応
ができるのか、
それによって子供の未来が大きく変わります。
この記事では、子供が不登校になったときに親が気をつけるべきことを【11のポイント】に絞ってお伝えします。 ここでお伝えすることはすべて、10年以上の不登校支援を行なってきたプロが見出したエッセンスです。これらを頭に入れて上手に対応すれば、お子さんの未来が確実に明るくなりますから、ぜひ積極的に活用してください。
ポイント1 感情を遠望する+幼少期の写真
子供が不登校になると、親は感情にふりまわされてしまうものです。
・頭をハンマーで殴られたようなショック
・真っ暗な海に飲みこまれてしまうような不安
・声も出なくなるほどの悲しみ
さまざまなマイナス感情に飲みこまれ、ふりまわされ、自分自身をコントロールできない状態になってしまうものです。
その感情が原因で、頭に浮かぶ思考もネガティブなものになることが多いでしょう。
「この子の将来はどうなるんだろう」
「私は子育てを間違ってしまったのか」
「このままでは私がダメな親だと思われてしまう」
“冷静であれば思いつかないような破滅的な思考”まで思い浮かんでしまうのが、不登校直後の親御さんの状態です。
親御さんが感情にふりまわされ、その感情を暴走させてしまうと、親子のコミュニケーションは破滅的なものとなります。
当然ですよね。 親の感情と思考が破滅的なのですから……。
片方(親)が破滅的な感情と思考でコミュニケーションをとれば、それに反応するもう片方(子供)の反応も破滅的なものとなるのが当然で、その“破滅の重なり”で親子のコミュニケーションが破滅的なものとなるのも当然なのです。
破滅的なコミュニケーションとは、一言で言えば
「お互いの心を消耗させるコミュニケーション」
のこと。
・相手を傷つける発言をお互いにする
・相手のやる気をなくさせる発言をお互いにする
・相手を悲しませる発言をお互いにする
こうした「お互いのエネルギーを奪い合うコミュニケーション」が破滅的なコミュニケーションです。
この破滅的なコミュニケーションをとりつづけると、どうなるでしょうか?
親がコミュニケーションをとろうとするたびに子供のエネルギーが奪われ、不登校を抜け出す力が不足してきます。 エネルギーが奪われるのは子供だけではありません。親もエネルギーを奪われ、子どものサポートをする力が足りなくなってきます。 こうして親子同時に不登校脱出が難しくなってくるのです。
ですから、子供が不登校になったら、まずは親御さん自身が感情を暴走させないようにしましょう。
いろんな感情が湧いてくると思いますが、その感情のひとつひとつを遠くから眺めるようにイメージして、「今、自分はこんな感情が湧いているのだなぁ」と想像のなかで眺めましょう。それができれば「感情が湧いている自分」と「その自分を遠くから眺める自分」の二者があらわれ、両者が打ち消しあうような形で感情が落ち着きやすくなります。
感情にふりまわされて冷静さを失った場合も、冷静さを失ったままでいいので 「感情に振りまわされている自分」を想像してみましょう。そして、その自分を想像上の遠くから眺めましょう。前述と同じメカニズムで感情が落ち着きやすくなり、感情の暴走を避けることができます。
感情の暴走を避けることに成功したら、子供が生まれた時のことを思い出したり、子供が生まれた頃の写真を見たりしましょう。写真を見たり思い出したりしながら「生まれてきてくれただけでありがたい」「生きていてくれるだけでありがたい」と思っていた気持ちを取り戻すのです。そこまで行なうと、ずいぶんと感情が安定するはずです。
不登校初期の段階で親が感情の暴走を避け、安定した感情で子供と接することができれば、 その後の子供の人生が明るいものになります。
10年以上、不登校支援を行なってきましたが、多くの親御さんが不登校初期の段階で感情を暴走させ、感情にふりまわされ、子供と破滅的なコミュニケーションをとってしまい、子供の心に「親に対する不信感」を植えつけてしまっています。それが原因で、その後、子供が親に心を開かなくなり、本音を話してくれなくなり、「子供が求めるサポート」ができなくなっています。子供が本音を話してくれないから「本音に合ったサポート」ができず、親のサポートが的外れになり、不登校が長期化する……このパターンを山ほど見てきました。
親が的外れなサポートをすると、どうなると思いますか?
子供の目には「親の思い通りに子供を動かそうとしている」と映ります。自分の意思を尊重されていない感覚になるのです。そうして子供の心にますます不信感が芽生え、「親には何を言っても無駄だ」と思うようになり、 親のサポートを受けずに一人で頑張るようになります。一人で頑張る子供は不登校脱出までに時間がかかります。こうして大半の不登校は長期化に向かうのです。
今これを読んでいる親御さんは、不登校長期化とは正反対の未来(不登校短期化)に向かうことができるでしょう。
不登校初期の段階で感情の暴走を避け、安定した感情で子供と接することができる親御さんは、子供の心に芽生えがちな不信感を最小にできます。不信感を最小化できれば、子供が心を開かなくなるリスクも最小化します。子供が本音を話してくれるようになり、親御さんは子供の本音に合ったサポート(的確なサポート)ができるでしょう。その的確なサポートで子供は 「親は自分のことを分かってくれている!」と感じ、ますます本音を話すようになります。親に対する信頼感も高まっていきます。こうして親御さんがお子さんをサポートしやすい状態になるため、今これを読んでいる親御さんはお子さんの不登校を長期化させずに済むのです(=不登校短期化)。
その先にやってくる未来は素晴らしいものでしょう。
ポイント2 問題を2倍にしない
子供が突然不登校になると、親御さんの頭はパニックになって冷静さを失うものです。冷静さを失うと、子供の気持ちを想像できません。想像する余裕がありません。どうしても自分の気持ち優先になってしまいます。自分(親)の気持ちを誰かにわかってほしい欲求でいっぱいになり、「助ける側」ではなく「助けられる側」になってしまいます。
誰かに助けてもらいたい気持ちでいっぱいの人(親)が子供を助けることは現実的ではありません。自分のことで精いっぱいなのですから、子供を助ける余力はほぼゼロです。そのため、不登校初期の段階で不登校改善に成功する親御さんはごくごくわずかなのです。
子供の気持ちを想像してわかろうとすることが理想的だとわかっていても、子供の気持ちをうまく想像できない…… パニックになって冷静さを失い、絶望で気力まで失われているから想像する力も出ない…… そうして親御さん自身がマイナスに傾いているために、子供を助けることはできず、不登校が長期化していきます。
落ち着いて考えれば、わかるはずです。 不登校になった直後、気持ちをわかってほしいのは子供のほうです。「親の気持ちもわかってほしい」と思うかもしれませんが、実際に不登校を体験しているのは子供のほうです。親の人生に不登校は起きていません。親ではなく子供が不登校という現実を受け止めてこの先生きていかなければならないのです。 そのことを誰よりもわかっているのは不登校の子供本人です。 その厳しい現実がわかっているため、子供は自分の気持ちを誰かにわかってほしいと思うし、親への信頼感が残っている不登校初期段階では「親に自分の気持ちをわかってほしい」と思うのです。
けれども、肝心の親がパニックになって
「自分(親)の考えを子供にわかってもらいたい」
「自分(親)の要求を学校の先生にわかってもらいたい」
「自分(親)の不安をカウンセラーにわかってもらいたい」
……などと思っていますから、 子供は親を頼りません。と言うより、頼れません。親が自分のことでいっぱいいっぱいになっていることがはっきりと伝わってくるため、子供は親の力を借りたくても借りれないのです。
ですから、不登校初期の段階で親に求められることは
「子供の気持ちを想像すること」
です。
想像が当たっているか外れているかを気にする必要はありません。 ここで大事なことは子供の気持ちを当てることではなくて、子供の気持ちをイメージしようとする過程です。 その過程で親の心にある「自分(親)の気持ちを分かってもらいたい」 という気持ちが消えていき、偏りがとれ、バランスの良い心が印象として子供に伝わり、子供が親を頼るようになります。 不登校初期の段階で子供が親を頼るようになれば、不登校悪化・長期化の危険性がかなり小さくなるでしょう。
ここでポイントとなるのが
「子供の気持ちが変わりつづけていること」
を意識することです。
誰でもそうですが、気持ちは変わりつづけています。 今日はヤル気に燃えていても明日は絶望して落ちこんでいる……なんてことは、あなたも日常茶飯事でしょう。子供も同じです。特に不登校初期段階の子供は気持ちがゆれやすく、その変化は大きな波のようです。ですから、子供の様子をときどき観察して、そのつど子供の気持ちを想像する習慣をつけたほうがいいでしょう。これは親の心を落ち着かせる効果もありますから、ぜひ習慣化してください。
よくあるミスは、ある時点で想像した子供の気持ちを固定化させてとらえてしまうミスです。ある時点で「きっと今、子供の気持ちはこうだろう」と想像したものを自分のなかで固定してしまうと、「その後もずっとその気持ちでいるに違いない」と誤解してしまいます。その誤解をつづけてしまうと、子供の気持ちに前向きな変化が起きたときに気づけません。せっかく気持ちが前向きになっているのに、そのことに親は気づかず、的外れな対応をしてしまいます。
ですから、「子供の気持ちは変わりつづけている」と意識すること。これが大切です。この意識があると「的確な不登校対応」に成功します。
想像がうまくなってくると、ときどきツラくなることもあるでしょう。子供のツラさや苦しみを想像上でリアルに感じてしまうので、一緒にツラくなることもあります。もし、そのレベルまで想像できたら喜びましょう。 あなたの共感力が高まったのです。その共感をベースとして子供のサポートをしていけば、明るい未来に向かっていけます。
ただし、共感を超えて同情にならないように気をつけましょう。ツラさに飲みこまれて自分自身までダウンしてしまうようなら、それは同情です。そんなものはサポートではなく、問題を2倍にしただけです。子供だけでなく親まで不登校になったようなものでしょう。
もし、同情になりそうなら、俯瞰する自分がいるかをチェックしてみてください。子供のツラさを感じながらも、ツラさを感じている自分を俯瞰するもう1人の自分がいるような感覚。そんな感覚になっているならOKです。その感覚になっていないときはイメージをやめて、その感覚になれるときとなれないときの違いを思い出しましょう。違いを認識していけば、そのうち「こうすれば同情ではなく共感ができるんだなぁ」と感覚でつかめてきます。
ポイント3 バランス復活のための“メモ”で改善
我が子が不登校になった事実を受け入れがたい親御さんも多いでしょう。
世間体や見栄などが気になる親御さんも多いでしょうし、自分の理想が崩れ落ちた感覚にさいなまれる親御さんも多いはずです。そんなとき、我が子のことを愛していても「不登校になった我が子」のことは否定しつづけてしまう親御さんが多いのではないでしょうか。
安心してください。あなただけではありません。我が子が不登校になったとき、さまざまな心配が頭を駆けめぐり、 不登校の我が子のことを否定しつづけてしまう親御さんはたいへん多いものです。
ただし、だからと言って、不登校の我が子を否定しつづけていいわけではありません。不登校の我が子を否定しつづけていたら間違いなく不登校は長期化します。
否定されつづける子供の気持ちを想像してみてください。一番身近で、一番信じていて、一番自分の味方になってくれると思っていた人(親)から否定されつづけるのです。ときには言葉で直接的に、ときには言葉以外(顔や声の表情)で間接的に、毎日のように否定されつづけるのです。
そんな状態で学校に行く気力が湧いてくると思いますか?
自分を好きになれると思いますか?
逆でしょう。親から 否定されればされるほど気力が湧かなくなり、やがて無気力になり、自分のことをどんどん 嫌いになっていきます。
不登校の子供には、学校に行くための“気力”が必要です。ただでさえ「不登校になった自分」が情けなくて、自分自身を嫌いになっていくなかで、なんらかの「自分を好きになれること」が必要です。それなのに親が我が子を否定しつづけ、気力を奪っていたら……自己嫌悪を強めていたら……悪化は目に見えています。
いちど不登校が悪化に向かうと、そこから先は問題が急速に複雑化していきますから、信頼できる専門家の力を借りても短期間では解決できません。こうして不登校が長期化に向かうのです。
ここまで読めばお分かりでしょう。不登校初期の段階で親御さんに求められることは「不登校の我が子を否定してしまう気持ち」をやめることです。
どうやってやめればいいのか?
と思われるかもしれませんが、やめるべきことはやめればいいだけ。簡単なことです。
車の運転にたとえるなら、踏んでいるアクセルから足を離せばいいだけです。足に力を入れることをやめ、アクセルから足を話す。簡単なことですよね。それと同じです。やめるべきことをやめればいいだけ、なのです。
ところが、多くの親御さんはシンプルに考えることができません。不登校の子供を持つ親御さんは物事を複雑化させて考えたがる人が多く、シンプルなことをおすすめしても受け入れてもらえないのです。ですから、そういう親御さんにはこんな方法をお伝えしています。
「我が子の現状のなかで肯定できる部分を探し、それを認識することで否定に傾きがちな心のバランスを取りましょう」
こう言って少し複雑化させると、なぜか納得して受け入れていただけるので不思議です。
この方法は、複雑化させたと言ってもまだまだシンプルですよね。子供の現状には肯定できる部分がたくさん残されているはずです。
・大きな病気にならずに健康でいてくれる
・ときどき笑ってくれる
・好きなことをする元気はある
・まだ外出は普通にできる
・おもしろい冗談を言ってくる
・親と一緒に過ごしてくれる
……などなど。肯定できる部分は山ほどあるでしょ う。そうしたことに目を向けて再認識していくと、不登校の我が子を否定する気持ちが中和されていきます。
そうして否定と肯定が打ち消しあって、落ち着いた感覚を心が取り戻していきます。心の状態が落ち着きを取り戻すと、言葉や表情などで子供を否定することがなくなり、子供が気力を取り戻していくでしょう。自己嫌悪の強まりも抑制され、不登校長期化を避けることができます。
「『不登校の我が子』のプラス面を認識することで心のバランスをとる」
これを不登校初期の段階で心がけるだけでも、その後の子供の未来が輝く可能性が高まります。
ポイント4 “息”で子供の未来が明るくなる!
親がため息をつくことは
「子供のパワーを奪う行為」
だと思っておいたほうがいいでしょう。
あなたがため息をつくと、子供は自然と気持ちが下がります。意識しているしていないにかかわらず、ため息の音と印象をキャッチした心が自動的にエネルギーダウンしてしまうのです。
エネルギーダウンでやる気や向上心を失った子供は、どうなるでしょうか?
未来に前向きに進む歩みが鈍ります。不登校脱出も遅れます。親のため息は、子供の今後にダメージを与えるのです。
もちろん、ため息をついた親御さん自身も力を失っていくでしょう。心と体は密接に関連していますから、親の「体の状態」を「ため息をつく状態」に変化させることで「心の状態」もそれにふさわしいものになります。親が力を失ったら、子供の力はますます失われるでしょう。親が力を失うということは「子供が親の力を借りれなくなる」ということですから、「借りられる力が減る=子供の力が失われる」と表現できるのです。
わかりやすくまとめましょう。
親がため息をつくと、次の2つのメカニズムが同時に起きます。
<メカニズム1>
親がため息をつく→子供は意識または無意識でため息の音と印象をキャッチする→自動的に心がダウンする→ヤル気や向上心を失っていく→未来に前向きに進む歩みが鈍る→不登校悪化・長期化
<メカニズム2>
親がため息をつく→親の「体の状態」を「ため息をつく状態」に変えたことで「心の状態」が「気持ちが落ちこむ状態」に変わる→親が力を失う→子供のサポートをする力が不足する→子供はひとりで頑張らなければならなくなる→ひとりではなかなか前に進めない→不登校悪化・長期化
ここまで読んでも、あなたはため息をつきますか?
たかがため息、されどため息。軽視するのは簡単ですが、その軽視が子供の未来に大きく影響します。不登校初期の段階では特に、ため息をつかないように気をつけたほうがいいでしょう。
ある不登校の男の子は、
「親がため息をつくたびに自分を否定されているような感覚になった」
と打ち明けてくれました。
親がため息をつく→ため息をつくくらい親を落ちこませているのは自分(子供)だと思う→こんな親不孝な自分はダメな人間だと思う→自己嫌悪
こうして親がため息をつくたびに自己嫌悪におちいり、その自己嫌悪の積み重なりで何もヤル気がしなくなったそうなのです。
これほど“破壊力抜群”の行為が「ため息をつく行為」ですから、親子で不登校脱出に向かいたいならやめたほうがいいでしょう。
どうしてもため息をつきたくなったら、深呼吸をするといいでしょう。ため息をつきたい人(または、ため息をつくことを肯定している人)はリラックスを求めているんですよね。心にためこんだものを吐き出してしまいたい、緊張して縛られたように感じる心を解放してあげたい、そんな欲求の表れが「ため息をつく行為」になっています。ですから、その代替手段として深呼吸に変えてみてはいかがでしょうか。
ため息をつきそうになったら、代わりに深呼吸しましょう。 大きく吐いて、大きく吸って…… もちろん、あからさまに深呼吸を始めたら家族から気味悪がられるかもしれませんから(笑)、なるべく自然な形で、できればまわりに気づかれないように深呼吸するといいと思いますよ(^^)
ポイント5 視線、落としていませんか?
子供が不登校になった直後の時期(不登校初期)、無意識に視線を落として生活してしまう親御さんが多いものです。
この「視線を落とす行為」も「ため息をつく行為」と同じで親御さん自身の力を失わせます。 心と体は密接に関連し「体の状態=心の状態(心の状態=体の状態)」となっていますから、「体の状態」を「視線を落とす状態」に変化させると「心の状態」もそれにふさわしいものになってしまいます。
親が視線を落として生活し、力を失ってしまうと、その近くにいる子供が親の力を借りれなくなりますので、借りられる力が減ることで不登校脱出が遅れます。
おさらいになりますが、視線を落とす行為もため息をつく行為と同じで、次の2つのメカニズムが同時に起きます。
<メカニズム1>
親が視線を落とす→子供は意識または無意識でその視線の印象をキャッチする→自動的に心がダウンする→ヤル気や向上心を失っていく→未来に前向きに進む歩みが鈍る→不登校悪化・長期化
<メカニズム2>
親が視線を落とす→親が「体の状態」を「視線を落とす状態」に変えたことで「心の状態」が「気持ちが落ちこむ状態」に変わる→親が力を失う→子供のサポートをする力が不足する→子供はひとりで頑張らなければならなくなる→ひとりではなかなか前に進めない→不登校悪化・長期化
このメカニズムが二重で働くことを考えると、視線を落として生活するのは避けたいと思いませんか?
視線ひとつでそんなに影響があるわけがない……と軽視するのは簡単ですし、楽でしょう。けれども、その軽視が子供の未来にダメージを与えることは確かなのです。不登校支援のプロとして多数の事例を見てきたので断言できます。不登校初期の段階では視線を落とさないように気をつけたほうがいいでしょう。
この改善が少し難しいところは、伏し目がちになっている自分を自覚することが困難な点です。ふだんの自分をずっと動画撮影してくれている人はいませんから、自分の視線を客観的にチェックすることは容易ではありません。
ですから、ほんの少しでも心当たりがあるようなら、意識的に視線を上げる回数を増やしたほうがいいでしょう。なんとなく視線を下げてしまうことがある気がする……程度の心当たりでも、視線を上げる回数を増やし、調整するのがおすすめです。
不登校対応ではなく「不登校の子供本人の経験談」になりますが、元不登校の私は一時期、暇さえあれば目を大きく見開き、何かに挑むような目つきをするように心がけていました。すると、それを3日続けたあたりから心の状態(気分)が変わりはじめ、なんとなく楽しく毎日を過ごせるようになり、3週間が過ぎた頃には性格まで変わってしまいました。それまで消極的で神経質だったのが、積極的で脳天気な性格になったのです。
そうして私に変化が起きると周囲の見る目が変わります。周囲の見る目が変わると、周囲の人達との関係が変わり、周囲の人達も変わりました。
この私の経験のインパクトを親御さんの不登校対応に置き換えれば、「視線の変化ひとつで子供が良いほうに変化するメカニズム」もよくわかるでしょう。
親が体の状態を変える→親の心の状態が変わる→子供が親の変化に気づく→親子の関係が変わる→子供の心の状態が変わる→不登校脱出可能性が高まる
視線という体の状態をひとつ変えるだけでも、その効果は非常に大きいものなのです。
ポイント6 親の声は小さいほうがいい?大きいほうがいい?
「子供が突然不登校になった親」を想像してみてください。
その想像にあらわれる親御さんは
「落ちこんでいて暗く沈んだ様子の親御さん」
ではないでしょうか?
それは間違いではありません。実際に私の不登校対応サポートに申し込んでくる親御さんの多くも、落ちこんで暗く沈んでいるケースが多いものです。
ただ、意外に思われるかもしれませんが、その正反対とも言える親御さんも多いものです。「明るく元気でハキハキしている親御さん」も多いんですね。子供が突然不登校になったことで苦しみや悲しみを感じていても、その気持ちに負けたらダメだと自分自身を奮い立たせ、明るく元気に振舞っているのです。
前者のタイプの親御さんは声が小さく、ボソボソっと話すタイプ。後者のタイプの親御さんは声が大きく、ハキハキと話すタイプ。両者に共通しているのは声のボリュームに偏りが生じている点です。
「声のボリュームに偏りが生じるくらい、しかたのないことでは?」
と思うかもしれませんが、「しかたのないこと」で片づけてしまうと不登校対応がうまくいきません。不登校対応では声のボリュームを調整することが非常に重要で、それができるかどうかで子供の今後の人生(未来)が大きく変わるのです。
「声が小さくボソボソっと話す親」の声を聞いている子供の気持ちを想像してみてください。
自分(子供)まで元気がなくなってくる気がしませんか?
悲しい音楽を聞いていると悲しくなってくるように、元気のない声を聞いていると元気がなくなってくるものです。
不登校の子供が元気をなくすと、どうなるでしょうか?不登校脱出できるでしょうか?
元気がなくなると不登校脱出に向けるエネルギーが不足し、不登校脱出の時期が遅れるでしょう。多数の事例をみても、実際にそのとおり子供の不登校脱出時期が遅れています。
それでは逆に「声が大きすぎる親の声」を聞いている子供はどうなるでしょうか?
その場合、声の大きさに圧倒された子供が口数が少なくなったり、ボソボソっと話すようになったりします。
やたらポジティブで勢いが強い人と一緒にいるとだんだんと疲れてくるように、子供も親の声の大きさで疲れてしまい、パワーダウンしていくのです。
子供がパワーダウンすれば、不登校脱出時期が遅れるのは当然のことです。不登校を抜け出すためには莫大なエネルギーが必要ですから、そのエネルギー不足をまねく親の行為(大きすぎる声)は子供の不登校脱出時期を遅らせます。
理想的な調整のしかたは簡単です。声が大きすぎる親御さんは少しボリュームを下げるように心がけ、声が小さすぎる親御さんは少しボリュームを上げるように心がけましょう。
それだけで、子供の不登校脱出を阻害せずに済みます。(不登校脱出時期を早めることになります)
ポイント7 親子の会話を調整する裏ワザ
子供が不登校になった直後の不登校初期では
「親の意見をしゃべらない」
と決めるくらいでちょうどいいと思います。
「親の意見をしゃべらない」とは極端だと思われるかもしれませんが、ここでは意図的に極端な表現を使っています。なぜなら、子供が不登校になって間もない頃の親御さんはどうしてもしゃべりすぎてしまうからです。しゃべりすぎるので「しゃべらない」と禁止するくらいがちょうどいいのです。
「親の意見をしゃべらない」と強めに決めることで、“しゃべりすぎ”に偏ることがなくなり、バランスよく会話できるようになり、それによって「親のしゃべりすぎによるリスク」が消えていくでしょう。それが狙いで強めの表現を使っていることをご理解ください。
子供が不登校になった直後、親が親の意見をしゃべりすぎると子供は防御の姿勢を強めます。親が自分の意見を言うたびに「親が自分(子供)を動かそうとしている」と感じ、そのコントロールから逃れようと防御に入るのです。
そうして防御に入ると子供は心を閉ざし、 自分の気持ちを言わなくなり、子供の気持ちがわからなくなった親はどうサポートしていいかわからなくなります。親がどうサポートしていいかわからなくなると、子供はひとりで頑張ることになり、ひとりでの頑張りには限界があるため、早期の不登校脱出が難しくなります。
「子供が自分の気持ちを言ってくれなくても、推測でサポートしていけばいいのでは?」と考える親御さんもいるかもしれませんが、その推測はだいたいはずれます。
はずれた推測をもとにサポートした場合、子供がどうなると思いますか?
その先に親子関係の崩壊が待っている、とわかるでしょう。
例えば、子供が話を聴いてもらいたいと思っているときに親が「声掛け」をがんばっていたら、子供はどうなると思いますか?
子供は話を聴いてもらえないこと(それどころか親が一方的に口出ししてくること)にイライラし、ますます学校に行く気がなくなります。そんなふうに、「はずれた推測」でサポートすると子供のネガティブな反応を引き出してしまい、不登校脱出を遅らせることになってしまうのです。
親が親の意見をしゃべりすぎることのリスクは、子供の防御姿勢を強めるだけではありません。ひどい場合には「親は自分の考えを押しつけてくるばかりだ!僕 (私)の考えを聴こうとしない!」と子供が怒りを感じ、攻撃性を強めることもあります。親に暴言を吐いたり、ちょっとしたことでも睨みつけたり、暴力をふるったりすることもよくあります。そうして破滅に向かうと不登校改善が困難になりますから、その意味でも親が親の意見をしゃべりすぎないようにする工夫が不可欠なのです。
「親の意見をしゃべらない」と強めに決め、バランスよく会話できるようになれば (親の意見をしゃべりすぎないように調整できれば)、「親子の会話がきっかけで悪い方向に向かうリスク」は消えていくでしょう。そのリスク回避ができれば、子供の不登校悪化 (長期化)を防ぐことができ、不登校脱出が起きる可能性がグンと高まります。
ポイント8 不登校対応向きの傾聴
子供が不登校になったら、できるだけ早い段階から子供の気持ちを聴いたほうがいいでしょう。
学校に行かないことを選んだ子供には、なんらかの気持ちがあります。その気持ちを “聴きつくす”ように、じっくりと子供の話に耳を傾けましょう。
前述のとおり、ほとんどの親御さんは“しゃべりすぎ”で失敗します。子供が不登校になったことにショックを受け、「なんとかしなければ!」という思いが先走り、それで何かを言わなければならないような気持ちになり、焦りから親の考えをしゃべりすぎてしまい、その結果、子供が「親は自分(子供)の気持ちをわかろうとしない(聴こうとしない)」と落胆し、心を閉ざしてしまい、不登校が悪化していくのです。
ですから、その反対をやればいいのです。
「子供の思いを聴けるだけ聴く」
このシンプルな意識で傾聴できれば、不登校悪化のリスクを避けることができるでしょう。
ただし、ただ聴けばいいわけではありません。少し聴けばいいわけでもありません。たっぷりと時間をかけて、じっくりと丁寧に聴いていく必要があります。
子供の話を聴いていると、ときどき口をはさみたくなるでしょう。子供目線の未熟な考え方に「それは違う」と言いたくなることもあるでしょう。それでも口にチャックをして、時間をかけてじっくりと子供の話を聴いていくのです。子供自身も気づいていない、心の奥深くに沈んでいる本当の思いがポロッと出てくるまで聴く…… それほどの決意で傾聴すると効果的です。
注意していただきたいのですが、“無理やり”は禁物です。
話を聴こう聴こうとするあまり、 問いつめるように話を聴く親御さんもいるのですが、そうして尋問のようになってしまうと子供は何も話さなくなります。何も話さなくなれば、親は子供をどうサポートしていいかわからなくなります。サポート不能状態になると子供はひとりで頑張ることになり、急速に不登校が悪化していきますから、十分に気をつけてください。
上手に聴くためのポイントは、あいづち・オウム返し・沈黙の尊重です。適度にあいづちを打ちながら子供の話を聴く。適度にオウム返しを入れながら子供の話を聴く。話の途中、沈黙が訪れたら、その沈黙を恐れずに子供が話しはじめるまで待つ。これらを意識するだけでも、子供の口から出てくる“情報”がまったく違ってくるでしょう。
“自然”に行なうことが重要なポイントです。例えば、バカの一つ覚えみたいにオウム返しを繰り返していたら「バカにしてんの!?(怒)」と子供を怒らせてしまいます。そんなふうに“過度”に行なってしまうと逆効果ですから「自然に」「適度に」を心がけるといいでしょう。
子供の話を聴いているときの自分自身(親自身)の思考にも気をつけましょう。
例えば、子供の話を聴いていて「子供じみた未熟な考えだ」と思ってしまったら危険です。その思いはしっかりと顔の表情(主に目つき)にあらわれていますから、子供は敏感にそれを察知し、「バカにされた!(怒)」と感じ、心を閉ざしていきます。
ですから、 もし、「子供じみた未熟な考えだ」と思ってしまったら、「むしろ親のほうが遅れた考え方をしているのかもしれない」と考えてバランスをとったほうがいいでしょう。
「親のほうが年をとっているぶん、頭が硬くて、古い考え方にとらわれていて、現代の思考についていけていないのかもしれない」
そんなふうに考えれば、バランスを取り戻せるのではないでしょうか。このように頭のなかでバランスをとりながら子供の話を聴くことで、不登校対応向きの傾聴ができます。
前述したとおり、
「できるだけ早い段階から」
という点も重要なポイントです。
親の考えを散々しゃべりつづけ、ずいぶんとたってから突然話を聴こうとしても、子供は心を閉ざして話してくれないかもしれません。子供の心に「話したって無駄だ」と固定観念ができあがってしまえば、親がどれだけ聴こうとしても、“会話するきっかけ”さえ与えてくれないケースも多いのです。
ですから、できるだけ早い段階から子供の話をしっかりと聴くようにしましょう。
“聴きつくす”イメージで十分に話を聴いていれば、不登校が悪化するリスクが消えていきます。
ポイント9 雑談で不登校改善が進む
子供が不登校になっても、学校に行っていた頃と変わらず親とよく話をしてくれるケースもあるでしょう。
反対に、親としゃべらなくなるケースもあるはずです。
その中間で、
「雑談ならよく話してくれるけど、学校関連の話になると無口になるケース」
も多いでしょう。
このなかで、最後のケースに当てはまる場合、つまり、
「雑談ならよく話してくれるけど、学校関連の話になると無口になるケース」
になった場合には、いかにして「残された会話(雑談)」をキープするかが不登校対応のポイントとなります。雑談すらできなくなったら途端に不登校対応が難しくなりますので、十分に気をつけてくだ さい。
ポイントは「子供が雑談すらしたくない状態」にならないように気をつけることです。その一点を意識して慎重に子供とコミュニケーションをとっていれば、困難な事態になることを防げます。
例えば、テレビを見ていて雑談することってありますよね。そのときに子供が何気なく言ったことを親が否定していたら、どうなるでしょう?
<例1>
子供:「最近のテレビはつまらないなぁ」
母親:「そんなこと言ったら一生懸命働いて番組作っている人に失礼じゃない?そういうことは働くようになってから言いなさい」
<例2>
子供:「◯◯(スポーツ選手)はダメだ!もっとフィジカル鍛えないと!」
父親:「お前 は◯◯以上に努力してるのか?(笑)学校にも行けない奴が偉そうなことを言うな(笑)」
極端な例ですが、上記のような会話が何度もあったら子供はどうなるでしょ う?
そのうち親と雑談するのが嫌になってくると思いませんか?
誰だって、自分の発言を否定されていたら話す気がなくなります。それは不登校の子供も同じです。いや、不登校の子供は特に、です。ただでさえ「学校に行けていないこと」のコンプレックスがありますから、否定されることに人一倍過敏です。ですから、「いかに否定しないか」が雑談キープのポイントとなるのです。
子供は未熟です。未熟だからこそ、口から出てくる言葉も未熟です。だから親が「それは違うんじゃないか?」と思うのは当然ですし、「それは違う」と言ってしまうのもおかしなことではありません。
ただ、そこで否定してしまうと不登校悪化が進むのです。本当に子供に成長してもらいたいなら(そしてその精神的成長で不登校脱出してほしいなら)、いったん受け入れるほうが得策です。どんなに未熟な考え方でも、その考え方をいったんは受け入れて、「そうなのか、そんなふうに考えるのか」と受け止め、どうしてそんなふうに考えるのか、話のつづきを聴いてみましょう。そうすれば、すぐにではないかもしれませんが、子供自身で自分の未熟さに気づき、思考や発言を修正し、成長していきます。その成長が「不登校脱出」につながるのです。
雑談できる状態なら「雑談できる状態」を保つことが不登校悪化を避けるポイントです。そのことをしっかりと認識し、「子供が雑談すらしたくない状態」にならないように気をつけましょう。
雑談できる状態を保つことができれば、雑談をきっかけにして会話が広がり、学校の話までできるようになり、今後どうしていくかまで親子で話し合いながら未来に向かうことができます。その段階に至れば不登校改善が急速に進みますから、そこに至るためにも「雑談できる状態」を保ちましょう。
※ 雑談で子供以外の若者(芸能人やスポーツ選手など)に迂闊な発言をしないことも大事なポイントです。ポジティブな発言でも、子供はそれをネガティブに変換して解釈する可能性があります。例えば、「この選手のココがスゴい!」と親が言えば、それを聞いた子供が「そうだよね、この選手のスゴさと比べたら自分はどうしようもなくダメな人間だよね……」と思う可能性が出てきます。不登校の子供は必要以上にナーバスになっていることが多いので、そういった些細な発言への配慮も大切です。
ポイント10 危険な発言をゼロにする
子供が不登校になってもどっしりと構えていて
「あなたは大丈夫だから!」
と言葉をかける親御さんもいるのですが、その言葉が吉と出るか凶と出るかは分かりません。
そのときに子供が「嘘でもいいから誰かに大丈夫と言ってほしい」と思っていれば吉と出るでしょうし、そうでなければ凶と出るでしょう。
「細かい判断は、状況に応じて正反対のものが求められることもある」
そう意識することが大切です。
「大丈夫と言って悪いことなんてあるの?」と思う親御さんもいるかもしれませんが、普通にあります。むしろ、親が「大丈夫」と言えば言うほど不登校が悪化するケースが多いほどです。
ちょっとイメージしてみてください。
あなたがひどく落ちこんでいて、胃がキリキリするくらい悩んでいて、心臓のドキドキが止まらず眠れないくらいだとします。
そうですね……
・壮絶な喧嘩の末に離婚した
・突然、夫(妻)が事故死した
・病院で余命宣告を受けた
……これくらいのことが起きて落ちこんでいるとします。
そんなとき、新婚ホヤホヤで幸せいっぱいの友人が脳天気に笑いながら
「あなたなら大丈夫だよ!今はたいへんだろうけど、あなたには力があるから乗り越えられるよ!」
と言ってきたら、どう感じますか?
きっと、
「あなたに今の私の気持ちが分かるわけがない!!適当なことを言わないでほしい!!」
と思うでしょう。悲しみのような怒りのような複雑な気持ちになるでしょう。
そんな気持ちにならなかったとしても、苦笑いして、その友人としばらく距離を置きたくなるはずです。
不登校の子供も同じです。絶望的な気持ちになっているときに、不登校になったこともない親から「あなたは不登校でも大丈夫!」と言われると、屈辱を感じるほどで、怒りや悲しみや虚しさで親と距離を置きたくなるのです。
もちろん、共感や傾聴などのステップを踏んだ上での「大丈夫」という言葉なら、その言葉の影響が違ってくるのですが、普通の親御さんはそのスキルは身についていませんから、「大丈夫」と安易に言ってしまうと子供の状態が悪化していくのです。
そもそも人間には「あなたのこと分かるよ」と感じさせるメッセージを受けた時に「そんなに簡単に私のことが理解できるわけないでしょう!ふざけるな!」と感じる心理も備わっています。それは子供も同じですから、安易に「あなたは大丈夫!」と言ってしまうと、「何が!?何が大丈夫なんだよ!?僕(私)の何を知ってるの!?そんなに簡単に大丈夫とか言わないでよ!!」と抵抗を生じさせてしまいます。(→不登校悪化)
子供が不登校になったとき、「大丈夫」と安易に言わないように気をつけましょう。そこに気をつけるだけでも「最悪の事態」になる危険性が消えていき、子供の“復活”が早くなります。
※「大丈夫」という言葉だけでなく、「気にする必要はないよ」などといった言葉も上記と同様です。
ポイント11 意外なことが登校につながる
学校とはまったく無関係のことがきっかけとなって不登校脱出する(登校する)子供は多いものです。
<例>
部屋でゲームばかりやっていた→ゲーム関連のイベントに行きたくなった→イベントに行ってみた→そこで出会った人と仲良くなった→仲良くなった人がゲームとはまったく関係ない新しい情報(海外の情報)を教えてくれた→海外に興味が湧いてきた→海外に行ってみた→ 海外に行ってみて価値観が変わった→学校に行く気持ちが湧いてきた→学校に行くようになった(登校)
例えばですが、上記のようにして「登校」に至るケースもあります。
多くの親御さんが直接的に登校させようと躍起になるのですが、それでうまくいくケースはほとんどなく(一時的に登校できたとしても不登校が再発するケースが多く)、本当にうまくいくケースのほとんどは間接的な何かがきっかけとなって起きているのです。
ですから、登校に直接関係なさそうに思えることでも、子供が何か新しいことを始めたら 「これは大きな前進だな」と思っていいでしょう。実際にそれがきっかけで不登校脱出に向かう可能性は大いにあり、大きな前進なのですから、そのことをそのまま喜んでいいのです。
前述ではゲームを例として出しましたが、それはあくまでも一例です。何がきっかけとなるかは本当にわかりません。親御さん自身の頭に制限を設けずに、柔軟に子供の“前進”をとらえてみてください。
たいへん悲しいことですが、不登校脱出の“芽”となる子供の行動を親御さんがつぶしてしまうことはよくあることです。ある行動がきっかけとなって子供の世界が広がり、それによって不登校脱出に成功する可能性が大いに高まるかもしれないのに、その可能性が見えない親御さんは子供の行動を止めてしまうのです。
「それができる力があるなら学校に行きなさいよ」
「学校にも行かずに、そんなことばかりして許されると思っているの?」
……といった気持ちが出てきたら、子供の行動を止める親御さん(不登校脱出のチャンスをつぶす親)になっている可能性がありますから、気をつけたほうがいいでしょう。
できれば、その反対がいいですよね。子供の新しい行動を止めるのではなく、柔軟に協力して子供の行動を強化できる親。不登校脱出のきっかけとなるかもしれない行動を応援して、行動しやすくしてあげて、それによって不登校脱出の可能性をグンと高められる親。そんな親御さんになったら、不登校改善は驚くほどスムーズに進みます。
以上、子供が不登校になったときに親が気をつけたほうがいい11のポイントをお伝えしました。この11のポイントを頭に入れておくだけでも「子供の未来」が明るく輝く可能性を高めることができますから、ぜひ、何度も何度も読み直して頭に入れておいてください(^^)
おまけ 成長ストーリーの創作
「子供が不登校経験を活かして立派に成長していくストーリー」を創作してイメージしてみるのもおすすめです(^^)
ポジティブにかたよったイメージは弱いので、「不登校がある程度長引いても大丈夫なストーリー」まで想像しておくのがコツです。不思議なもので「不登校がつづいても大丈夫」と思った瞬間から、逆に最短ルートで不登校脱出に向かうものです☆彡
不登校対応支援機関SIAPROJECT 代表 木村優一