異性愛者の男性だがジャニーズが好きである。~なぜおじさんがSexy Zoneにハマっているのか~
Sexy Zoneが好きだ。
あんまり公言してこなかったことだけれど、これはぼくにとってとても重要なことなので、書く。
案の定クソナガクソ重記事に仕上がってしまったので、時間のあるときに読んでいただきたい。いや、読まなくてもいいかな。うん。やっぱ読まなくてもいいや。
「男性アイドルが好きだ」と男は公言しにくい
男が男性アイドルを好きだ、ということには、障害が付きまとう。
どうしても、誤解を生む。
「そっちの趣味のひとだったの?」
という、各方面に対して失礼な反応を生んでしまう。これが嫌だったし、いまでも飲み込めない。女性が女性アイドルを好きだと公言することよりも、周囲の抵抗は大きくなるようだ。かなり親しくなった相手、そういう価値観がある程度アップデートされてきている相手にしか、ぼくは話せない。
関係ないのだ。
セクシュアリティと、アイドル趣味とは、まるで関係がない。
そのことをきっぱりと言い切っておきたい。
ちなみにぼくはBLも読むし、若手男性俳優も推す。すぐれた作品、すぐれた役者を評価するのに、性指向を云々しなくちゃいけないなんて、前時代的すぎる。
いいものはいいし、素敵なひとは素敵なのだ。そのことを発言することを、なぜはばからなきゃならないんだ?
また、ぼくはおそらく現時点ではヘテロセクシュアルではあるものの、じぶんの性指向がいつ変わるかなんて想像も付かない。もし、人生観が変わるぐらい素敵な男性が目の前に現れたなら、性指向ぐらいは容易に変わるだろう。そういうものだろう?
まあ、既婚者なので、他のひとと恋愛はしないけれど。
異性だろうが同性だろうが、Sexy Zoneのすばらしさには逆らえないのだ
だが、根本的なところを言えば、そんなことは関係がないのだ。
異性愛者の男性であっても、男性アイドルにキャアキャア言いたいという欲望は厳然として存在している。男性アイドルにキャアキャア言っているときというのは、じぶんが男であることなど忘れている。じゃあ女の子の気分になっているのか、と言われると、それも違う。
ぼくはそういうとき、「観客」になっているのだ。
黄色い声援が挙がる、とよく言うだろう? あの声援こそが、ぼくたちの正体である。ひとはあまりにもすばらしいものを観せられると、自我を消失する。そのとき、自意識や自負心や羞恥心など、それらのくだらない意識いっさいが消し飛ばされる。
そして、黄色い声そのものになるのだ。
アイドルが保有する力とは、そういうものである。そこにいる数万の人格のすべてを奪い去るほどの、強制力。一挙手一投足に注目を集めさせ、じぶんに視線が向けられたと錯覚させ、恋に陥るとき特有の高揚感を沸き立たせてしまう。そういう力。
それが、アイドル。
それが、偶像。
そしてそれこそが、Sexy Zoneである。
地球はいつでも回ってる
195か国の夢を乗せながら
Mildも地球の裏側じゃWildになるよ
時代を作ろう Sexy Zone
きみは、Sexy Zoneを知っているか?
知っているなら、すでに沼に落ちている。
沼に落ちていないというのなら、それはきみがまだSexy Zoneを知らないからだ。Sexy Zoneを知り、なお彼らの魔力に囚われずにいるひとは人類には存在しない。
異性愛者のオッサンさえも、彼らは落としてみせたのだ。きみのことを落とすことなど、たやすい。
しかし、この沼は最高だ。
あまりにも最高すぎるので、道行く旅人を引きずり込もうとする、という妖怪的存在になりおおせてしまう。「セクゾちゃんかわいいよぉ~かわいいんだよぉ~ふまけんはいいゾ~しょりそうもいいゾ~」とうわ言のようにくりかえしながら、ドロドロの汚泥にまみれた腕で他者を引きずり込む。そして195カ国の国民全員のMildがWildになるまで、自己増殖をつづけるのだ。
これこそが、もっとも幸福な世界征服のすがたである。
なぜオッサンがSexy Zoneに落ちてしまったのか?
この定義をまずさいしょに掲げたい。
Sexy Zoneとは、プロレスであり、少年漫画である。
Sexy Zoneをアイドルの枠組みで消費しようとするから、誤謬に陥る。彼らが提供しているコンテンツとは、Sexy Zoneというアイドルの出世譚であり、成り上がり譚である。この点、なろう小説の面白さと、ほとんど変わらない。
また、グループのなかには複雑に入り組んだ人間関係がある。
そこには嫉妬もライバル心もあるし、この相棒でなければ、という熱い友情もある。どうしてぼくはこの人みたいにうまくやれないんだ、という苦悩もあれば、この人がいなくちゃぼくはダメだ、という依存関係もある。
この人間関係が、衝突をくりかえし、次第に強固なものに仕上がっていく。そのさまにドラマがある。
これはちょうど、プロレスが提供している虚実定かならぬ物語性と被るし、少年漫画が描き出している関係性と重なる。
男はみな、プロレスや少年漫画が描き出すドラマに心惹かれてきた。
ならば、それと同じエンターテインメント性を持つSexy Zoneというストーリーに心惹かれるのは、当たり前のことなのだ。
ぼくたちは、オカダカズチカに挑む内藤哲也に涙しただろう?
ぼくたちは、桜木花道と流川楓の間に流れる信頼関係に胸を熱くしただろう?
ならば、Sexy Zoneにハマるのは、必然の流れと言っていい。
Sexy Zoneの物語には、男が胸を熱くするものすべてが詰まっている。
Sexy Zoneというストーリーの概略
Sexy Zoneというストーリーをざっくりと解説すると、下記のようになる(多分にぼくの妄想が含まれているため、要注意である)。
①2011年 初登場 : 平均年齢15歳でのデビュー
あまりにも若いうちに、彼らは男性アイドルのトップ事務所に推されてデビューを果たす。当時ジュニア(デビュー候補の若手)のトップであった中島健人と菊池風磨は、それまで組んでいたB.I.Shadowというジュニア内グループを解体させられ、入所一年の佐藤勝利という15歳の少年をセンターとし、入所数か月の13歳、松島聡と、史上最年少デビューとなる11歳、マリウス葉というメンバーでデビューさせられる。
その名も、Sexy Zone。
うっかりすると下ネタのように聞こえるグループ名と、予想だにしていなかったメンバー構成に、当時17歳と16歳だった健人・風磨の両名は思い悩む。これまで一緒にやってきたジュニアの仲間たちと離れて、こんなガキどもと俺たちはなにをやっているのか。しかし、念願だったデビューであることに変わりはない。いまはただガムシャラに突き進むしかない。
②2012~2013 快進撃 : 全国ツアー、紅白歌合戦出場
事務所のプッシュも受けて、Sexy Zoneは華々しい活躍を続ける。
初コンサート、初の冠ラジオ番組、初写真集、初のチャリティコンサート。目まぐるしい日々のなかで、だんだんと、彼らは自分たちが見られる目に気が付いていく。「ジャニーズはついにこんな子供まで駆り出すようになったんだ」――アイドルに憧れるという、まっすぐな視線とは一種違うまなざしが、じぶんたちに向けられている。
チビ3人は、まだなにも分かっていない顔で、カメラに向かって笑顔を向けている。俺たちがやるんだ。俺たちが支えなくちゃ……。健人と風磨は、10代の少年には重すぎるものを背負い始めていた。
③2014~2015 暗黒期 : Sexy Zone暗黒の三人体制へ
事務所は、気づく。
当初に予想したよりも、このグループは売れていない。
やはり、ジュニアという形での下積み期間をほとんど経験していなかったのがよくなかったのではないか。おそらく、そんな結論に達したのだろう。
Sexy Zoneは、突如として佐藤勝利・中島健人・菊池風磨の三人体制への移行を強制させられる。そして、松島聡はジュニア2名と「Sexy 松」、マリウス葉はジュニア2名と「Sexy Boyz」なるユニットを組まされ、メイン三人の弟分グループとして位置づけられた。
松島聡と、マリウス葉は、一度デビューさせられたのにも関わらず、事実上ジュニアに戻されたのである。
これに対するメンバーの反応は、まさに三者三様だった。
人数がすくなくなったことで突如責務が大きくなった勝利は、ただ必死に目の前の仕事をこなした。年少二人組が戻ってくるまでグループを支えなければと責任感を抱いた健人は、これまで以上のパフォーマンスを繰り広げた。そして、聡とマリウスを弟のように可愛がっていた風磨は、モチベーションを見失い、反抗期へと突入した。
この頃の映像を観るのは、ファンにとってはとても辛いものだ。
グループ内が、食い違っている。三人が三人とも、別の方向を向いてしまっている。メンバー全員がSexy Zoneというグループ自体に愛着を抱きはじめた頃だったのに、それを奪われた。そのことに、誰も納得していない。風磨は、熱心に活動を続ける健人へ怒りや醒めた視線を向け、健人の方も風磨のやる気のない態度に忸怩たる思いを抱いている。グループを支えてきた2人の仲は、これ以上ないほどに冷め切ってしまっていた。
三人は、それぞれがソロコンサートを開催し、じぶんの世界観を作り出せればそれでいいという方向に向かっているようにさえ、見えた。
まさに、暗黒期だ。
④2016~2018 黄金期 : 松島聡・マリウス葉の凱旋
しかし、ここで松島聡とマリウス葉が、化けた。
下位グループに入れられ、腐るわけでも、諦めるわけでも、なかった。挫折を知らずにまっすぐに育ってきた彼らは、そのまままっすぐに伸び上がり、大花を咲かせるに至ったのだ。
松島聡は、ダンスの能力を磨き上げた。
成長によって無邪気な少年の顔に、大人の色気がにじみ始めたのを、彼はぞんぶんに活かした。ジュニアの誰と比較しても勝るとも劣らないアグレッシブなダンスを、彼はいつの間にか鍛え上げていた。その合間に可愛げのあるアピールを挟み込むことも忘れない。
2015年末に彼が歌い踊った「BYAKUYA」の映像は、まさにカリスマアイドルの風格を示している。ここに、もはやかつての田舎っぽい子どもはいない。確かな歌唱力と、圧巻のダンスパフォーマンスによって、観客を魅了する、一個のアイドルが完成していた。
マリウス葉は、紳士の立居振る舞いを身につけた。
もともと彼は、ドイツ人の父とタカラジェンヌの母を持つ、絵に描いたような資産家の子供である。少女漫画のような生い立ちの特異さは、しかし、あまりにも天使過ぎる美貌により、幼少の頃は覆い隠されてきた。
それが、覚醒した。
この頃ようやく16歳となり、美しい少年は美しい青年へと変身を遂げていた。と同時に、生まれ持った仕草の美しさと、積み上げられてきた教養からくる知性が、彼を完璧な紳士へと作りかえたのだ。パフォーマンスにも、品の良さ、教養の深さが滲むという、稀有なアイドルが完成した。
この二人は、いまや、誰はばかることのないアイドルであった。
事務所もそれを認めざるを得なかった。
そして、2015年12月、ついにシングル「カラフル Eyes」によって、ファンとメンバー全員の念願である5人体制へと、華々しい帰還を遂げたのだ。2016年になると、長きにわたる健人と風磨の不和も、ついに終わりを告げた。世に言う「8.25事件」である(詳細は後述する!)。
こうして、実力・人気ともに頂点に達した5人が、ついに固い結束のもとに、芸能界を席巻していくこととなる。メンバー全員が大人の色気と余裕を兼ね備え、Sexyということばに対してひとつの回答を出すことができるようになった。Sexy Zoneという名前を、もはや笑うものは誰一人いない。
初の地上波冠番組放送、24時間テレビのパーソナリティ任命など、まさしくこの時期のSexy Zoneは乗りに乗っていた。
⑤2018~2020 雌伏期 : 松島聡、突発性パニック障害で活動休止へ
しかし、好事魔多しというべきだろう。
バラエティ番組などでメンバー全員が爪痕を残し、お茶の間にSexy Zoneというアイドルグループが認知されはじめてきた頃、突如として、ジャニーズ事務所からの発表があった。
松島聡、活動休止。
突発性パニック障害により、アイドル活動が難しくなった、というのがその理由であった。ファンにとって、これほどショックな事はなかった。
折しも、松島聡は圧倒的なパフォーマンスによって、ファンをぐいぐい増やしていたところだったのだ。一時期は、会場の実に4割が、松島聡ファンであることを示す緑色のペンライトを掲げていたぐらいだ(※あくまでぼくの体感である)。五人体制が軌道に乗り、かなりいい方向に向かってきたところでの、メンバー休止は、あまりに辛かった。
しかし、である。
Sexy Zoneは、これしきのことでは崩れなかった。
聡の帰りを待つ。最高の状態のSexy Zoneとして。
それが、メンバーとファンの間に、暗黙の了解として掲げられてきた合意事項だった。既に、メンバー減の危機ならば、乗り越えてきている。それぐらいのことで離れるようなファンではないし、それぐらいのことで折れるようなメンバーではない。
だいいち、そんなことで崩れていたら、聡ちゃんが悲しむだろう。
なにひとつ気に病むことなく、ゆっくりと静養してほしい。Sexy Zoneは四人でもじゅうぶんに輝いてみせるけれど、でも、五人でSexy Zoneなのだ。彼が帰ってきたときには、必ず居場所がある。帰ってきたときには、誰も気にしてないよ、ずっと待っていたんだよと、声を掛けてあげられるようでなくてはならない。
それが、メンバーとファンとの総意であった。
2018年には、後発グループであるKing & Princeもデビューした。
「デビュー間近」と数年来に渡って言われ続けてきた人気ジュニアの、念願のメジャーデビューであった。発表と同時に人気は爆発し、まさに華々しい活躍ぶりであった。正統派のジャニーズとして、ビジュアルもパフォーマンスも優れた彼らにとってすれば、正当な評価なのだ。
デビュー10周年を間近に控えながらも、いまひとつ売れ切れていないSexy Zoneにとっては、これは向かい風であるようにも見える。
しかし、Sexy Zoneは気にしなかった。
積み上げてきたSexy Zoneを、その魅力を、着実に磨き上げてきていた。
とりわけ、4人体制の中で、もっとも育ったのはマリウス葉だ。
最年少メンバーとして、いちばん年齢が近い松島聡に甘えつづけてきたのは、彼だ。マリウスは聡に対してはわがまま放題であったし、聡ががんばっていれば、シンメ(※相方)であるじぶんはそこそこでいいのだというような雰囲気を、出していた。現に、聡マリとくくられる彼ら二人の人気のほとんどを担っていたのは、松島聡であったように思う。
しかし、これがまるで変わったのだ。
聡がいないことに、誰よりも傷つき思い悩んだだろう。そこで彼が選んだのは、成長することだった。
この頃にリリースした曲を、是非じっくり聴いてみてほしい。
これまでに比べて、マリウスの歌唱力が断然違ってきていることが分かるだろう。表現力、高音の伸び、情感の籠もり方に至るまでが、これまでの水準よりも大幅にレベルアップを遂げているのだ。
もともとSexy Zoneというグループは、歌唱では菊池風磨と中島健人が、ダンスでは松島聡と中島健人が引っ張っているような印象のグループである(両方に入っている健人がいかにバケモノじみているかは、お察しの通りだ)。で、あえて口さがない言い方をするなら、佐藤勝利とマリウス葉のダンス力、歌唱力はともにそこそこ程度の水準に留まっていた。
ある意味で、佐藤勝利はそこそこでもいいのだ。
彼は圧倒的センターである。ビジュアルのよさと存在感で、グループの真ん中に立つことが彼の仕事であるし、逆にそれ以上のパフォーマンスは、グループの味を壊してしまいかねない。中島健人と菊池風磨という両極端の間に立つには、ある程度標準的な表現をしなくてはならないのだ。
しかしその点、マリウス葉は、松島聡に匹敵するパフォーマンスをしなくては、バランスが取れないことになる。シンメとはそういうものだ。グループ全体で見たときにまとまって見えるためには、放出するエネルギー、パフォーマンスの味付けが、両側でバランスを取っていなくてはならない。この点で言うと、マリウス葉のパフォーマンスはこれまで、薄味であるように思えた。ダンスも歌唱もそつなくこなす。しかし、松島聡のエネルギッシュなパフォーマンスに比べてしまうと、少々物足りなさを感じてしまうのだ。
これが、変わった。
さいきんの歌唱には、マリウス葉という人間像がにじみ出ている。上品さと知性を備えつつ、吐き出す単語のひとつひとつに体重が乗っているのだ。これがあのマリちゃんか、と驚きを隠せずにはおれない。
ぜひ、「all this time」を一聴いただきたい。
マリウス特有の美しい英語の歌唱と、その伸びやかさを堪能できるソロ曲である。それにしてもこの表現力の豊かさは尋常ではない。もともと彼が備えていた人間性が、ようやく表現に発露したと思うのが正しいだろう。
合わせて、最新曲である「RUN」も聴いてみてほしい。
短い歌割りであっても、熱の入った情感とエネルギーが伝わってくるはずだ。
これが、松島聡の不在に対し、シンメであるマリウス葉が出した答えだとぼくは見る。
「ようやくきみに追いついたよ。
もう心配しなくていい。今度は、ぼくがきみを支える番だ」
⑥2020~ 全盛期 : 松島聡の帰還
そして、2020年8月12日。
ついに、松島聡の芸能活動再開が、発表された。
聡ちゃんが、帰ってくる。
聡ちゃんが、帰ってきた。
ようやく、Sexy Zoneがほんらいの5人体制へと戻るのだ。
世間はコロナで疲弊し切っている。予定していたコンサートも見送りとなり、配信での対応に切り替えとなってしまった。向かい風は吹き荒れている。しかし、これぐらいの風がなんだ。なんだって乗り切れる。なんだって乗り越えてやる。
だって、最強の5人がいるんだから。
ここから、Sexy Zoneの伝説が幕を開ける――。
いまここである。
こんなに盛り上がったところが、現時点なのだ。
ここでSexy Zoneに入らずしてなんとするか。こんなに面白いコンテンツをきみは放っておくのか。正気か。
どうせここからSexy Zoneが社会現象になるから、きみだって波に乗る羽目になるのだ。分かりきっている。であれば、このタイミングで乗っておいたほうがいい。絶対にいい。
いいからつべこべ言わずに「RUN」を買え。
ファンクラブに入れ。
そしてぼくと一緒に聡ちゃんが帰ってきたコンサートを配信で観てキャアキャア言おうぜ。
Sexy Zoneの構成メンバー一覧
注意してもらいたい。ここからは、ただのミーハー談である。
ここまではプロレスや少年漫画ファンのオッサンを偽装してきたが、ここからのぼくはただの乙女である。
①佐藤勝利 ~最高の容姿を持つごく普通の少年~
顔がいい。
とにかく顔がいい。
想像を絶するうつくしさのまえでことばは無力である……と、すべてのSexy Zoneファンが絶望に苛まれるほど、完璧な美貌を持っている。ひとによって好みはあれど、この顔が日本人のある頂点に存在しているという事実は、だれも否定できまい。萩尾望都が作画していることはまず間違いない。
で、ありながら、である。
佐藤勝利という少年は、あまりにも普通である。
ごく普通。かっこいいからという理由でギターを始めたり、かっこいい車が好きだったり、「親子丼を作ってあげるから」という母の口車に乗ってジャニーズのオーディションを受けたりするほど、ごくごく普通の少年である。ちなみに歌唱力もダンス力も、ジャニーズにおける平均真っただ中という印象だ。
これが、奇跡なのだ。
考えてもみてほしい。あのレベルで顔が整った人間が、どうやったら普通の少年として育ってこれるというのだ? しかもジャニーズで、入所一年の15歳にしてメジャーデビュー、しかも圧倒的センターに君臨して、である。アイドルの中のアイドルでありながら、なぜ普通の少年でいられるのか?
あまりにも、主人公すぎる。
ごく平凡なのに、卓越した才能(まあ、顔である)を持つという、少年漫画の化身みたいな設定。ジャンプマンガ好きならだいたい好きだろうこんなの。
彼が普通でありつづけられる理由を知る者はいない。
ただ、彼がデビュー曲の中で「Sexy Rose...(セクシーなバラ……)」と囁くという演出に、「あれ、ほんとなんでファンのみんながキャーってなるのか分かんないんだよね」と首をかしげているという事実を知ったファンたちが全員「きみはそのままでいいんだよ」とニコニコしていることだけを伝えておこう。
勝利くんよ、永遠にそのままでいてくれ……!
②中島健人 ~正統派アイドルの頂点~
キング・オブ・アイドル。
アイドル・オブ・アイドル。
それが中島健人である。
想像してみてくれ。
ちょっと対象年齢が低めの少女漫画誌に、正統派アイドルというキャラが出てきたとする。そのキャラクターはグイグイ距離を詰めてきて、「おまえ、俺のものになれよ……」とか「なんて可愛いんだ……食べてしまいたい」とか言うだろう?
それをそのまんま実写化したのが、中島健人である。
彼のプロ意識は尋常ではない。いつ見てもキラキラしている。いつ見ても完璧なアイドルである。絵に描いたようなアルカイック・スマイルと、もはや大喜利と化しているほどの神対応。スキャンダルは微塵も感じさせず、カメラに対してもいつも100点満点のアピール。デビューから、まったくブレないその王子的立ち居振る舞い。
これこそが、プロのアイドルというものである。
よく誤解されるのだが、ジャニーズにはキラキラ王子様キャラというのは案外すくない。キャラをつくっても、どうせボロが出るということが分かっているから、そんな非現実的な設定にはさいしょから手を出さないのだ。そう、中島健人以外は。
信じられないぐらいの綱渡りに、彼は人生を賭けて挑戦している。もはや一個のアスリートと言ったほうがいいだろう。非人間的なまでのアイドル像を、彼は9年間も作り上げてきているのだ。
ジャニーズ、かくあるべし。
でも、中身はわりとオタク寄りの陰キャである。
遊戯王カードが大好きであり、憧れのひとは海馬瀬人である。言われてみればビジュアルも若干寄せてきている辺り、たちが悪い。
ちなみに高校時代からの親友は小沼くんであり、健人担のファンは全員小沼くんのことが大好きである。なぜだかはググってみればなんとなく分かる。
③菊池風磨 ~熱すぎる劇場版ジャイアン~
菊池風磨、という男に対する評価が高いか低いかによって、Sexy Zoneを知っているか知らないか、ひいてはSexy Zoneを推しているか否かが分かる。グループ内のリトマス試験紙。それが菊池風磨だ。
なにを隠そう、ぼくの推しである。
風磨という男は、とかく誤解を受けやすい。
一時期の赤西に影響を受けたと思しき髪型や歌い方、ダルそう・不機嫌そうと言われがちな立ち居振舞い。いつもパーフェクトである中島健人と対比されがちだ。Sexy Zoneをはじめて観たとき、「なんかコイツだけ気に食わねえな……」と思われるとしたら、間違いなくそいつが菊池風磨だ。
しかし、とんだ誤解なのである。
いや誤解とは言い切れないかもしれない。確かに彼がふてくされていた時期は存在した。Sexy Zone暗黒期ともいわれる、三人体制時のことである。
この頃、菊池風磨は顕著にやる気がなかった。
不満だったのだ。可愛い弟分である松島とマリウスが、ひどい扱いを受けていることが。
そう、菊池風磨とは、兄貴気質の男なのである。
アツい思いと仲間や後輩への愛を内に秘めた、劇場版ジャイアンのような男であったのだ。
菊池風磨のアツいエピソードを挙げると、枚挙に暇がない。
もうそんなものはネットにめちゃくちゃたくさん転がっているので、気になったらぜひ調べてみてほしい。これ以上書くと、風磨語りだけで100,000字に到達してしまうので、涙を呑んでぼくは控える。
ただ、いくつかの名言だけ伝えさせてほしい。
最初は正直、「なんで俺がSexy Zone?」って思ってたよ。
でも、5人じゃなくなったときもあったから。
いろいろあって、いま5人でここに立ててる。この5人でよかった。
全員がセンターになって帰ってくる、つったろ?
あのとき「嘘つき」みたいな顔してたべ?
後輩の面倒見てるって感覚はないんですよね。
昔から、気づいたら小さい子が身の回りに集まってきてて、
いっしょに楽しんでる、って感覚でいます。
中島のことをバカにしていいのは俺だけだ。
俺はずっと、オマエのことが羨ましかった。
最後の二つ、ヤバない?
どういうことかっていうと、風磨と健人はデビュー当時からのシンメ(※ダンスにおいて対称の位置を占める相方。二人一組として扱われがち)であり、強烈にお互いの存在を意識し続けるライバル同士であったのだ。デビュー前は仲良く手紙の送り合いっこなどをしていたのに、デビューして三人体制になった辺りからはいっさい喋らないという不仲な間柄に。
しかし、互いに意識し過ぎているが故の硬直であり、ほんとうは雪解けのきっかけを探していた。
それが雪解けしたのが2016年8月25日、通称「8.25事件」であった。中島健人のソロコンサートに、山下智久に連れられた菊池風磨がやってきたのだ。これまで、中島健人のやることを鼻で笑っていたかのような態度であった風磨が、初めてソロコンサートを訪れたのだ。そこで彼は言う。
「行くきっかけがなかなかなかったんですけど、やっぱり、相棒のライブなんで。……来れてよかったです」
これに対し、完全に動揺した健人が、動揺を抑えられないまま、ちょっと涙ぐみながら、言う。
「あっ……あ、ありがとう、来てくれて」
「こちらこそ。見させてくれて、ありがとう」
これこそが、世界に名高きふまけんである。
こうして彼らは、ジャニーズ屈指のバカップルとして再誕した。近年は顕著にデレるようになった風磨が、健人との距離を詰めすぎるせいで、ファンの心臓がこれ以上持たないとまで言われている。
いまや「ふまけん」と言ったらジャニーズの歴史に残る最強のバディとして、知らぬものがないレベルになっている。オッサンからしても、彼らの関係性、その経過については、あまりにも少年漫画っぽすぎるため興奮が止まない。
ちなみに、一時期はかなりスカしていた嫌な野郎だったのだが、さいきんはSexy Zoneの誰よりもおちゃらけ、誰よりも身体を張ることでも名を馳せてきている。なかでも、近年ドッキリ番組で彼のSexy Zoneが狙い撃ちにされがちなのが、ファンは大好きである。
けっきょく長くなっちゃった。
④松島聡 ~グループ内の良心にして小動物~
みんな大好きソちゃんである。
Sexy Zone好きなひとで、彼を嫌いなひとは存在しない。いや、全人類のなかに、彼を嫌うようなひとは存在しない。それぐらいの愛されキャラであり、小動物である。
もともとはちいさなおさるとして生を享け、静岡と富士山の愛に包まれながら純粋まっすぐに育てられてきたのだが、逆境をバネに爆イケ化。
つよつよかっこよキラキラアイドルとして輪廻転生を遂げた。
しかし、いまでも無邪気さを残しているせいで、ファンは大人の色気に対するドキドキと無邪気な小動物っぽさへのときめきとの狭間で、感情の乱高下に苦しめられている。罪な男なのである。
パフォーマンスにおいては上記のような小悪魔的性質を備えているが、人間性はというとまさにポンコツである。
無知。あまりにも無知。
俳句を読めと言われれば「ギャーアァ ワアアアギャー ギャーアァ」という奇声としか思えないものを提出してくるし、Sexy Zoneを四字熟語で表わせと言われれば「五大枠」という四字でも熟語でもないものを回答する。
バカすぎる……! 学がなさすぎる……!(by 菊池風磨)
そしてひとたびバラエティ番組に出ようものなら、狩野英孝レベルで神に愛された笑いを巻き起こす。これはもう観ないと分からないので、あらゆる手段を使ってどうにか観てほしい。
かわいさと笑いの渦のなかで、きみは幸福な死を迎えることだろう。
あと、復帰おめでとうね!!!!!!!!!
⑤マリウス葉 ~天使ちゃんから大人の男へ~
もとは天使であった。
まぎれもなく、天使であった。
デビュー当時のビジュアルを観ていただきたい。こんなにかわいらしい少年がこの世に存在したことがあっただろうか?
それが、まさかこんなにかっこいい紳士になってしまうとは……。
世の中って分からないもんである。
ちなみに聡ちゃんの公認彼女であり、残念ながらファンのみんながいくら松島聡との恋を妄想しても、彼と手を組んでいるのがマリウスであることは覆しがたい。妄想にも限界はあるのだ。
ちなみにマリウスとの恋ならばワンチャンある。
しかしその場合は、デートに聡ちゃんを連れてきてしまうことを許容しなくてはいけない。愛とは寛容である。
ところで話は変わるが、下記のリンク先と画像をよく見ていただきたい。
これマリウスやんけ……(歓喜)
というわけで
おいでよ、Sexyの沼。
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