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美食貧乏

実家が貧乏だ。しかも百姓の倅である。
婚活市場においてここまで不良債権を背負った人間もなかなかいまい。

こんな業を背負ってしまってはいるが、わりといい家庭環境だったと思う。
理由は食だ。

父方の実家は、米という日本の主食を育てているにもかかわらず全くといっていいほど食に興味がない家系だった。
適当に余った土地で野菜やら椎茸やらを栽培してそれらが食卓の中心だった。
しかも祖母は絶望的に料理が下手でほぼ味のない料理を繰り出してくるので、大抵のものが美味しく感じられるようになった。祖父は祖父で野生過ぎる人だったため、公園で釣ってきたブラックバスやブルーギルをワイルドに焼き上げて一緒に食べたのが懐かしい。
おかげさまで人里で食べられる食事の大半は美味しいと思える味覚を手に入れた。

一方、母方はというと貧乏なくせに飯に金を使いまくる家系だった。
おそらくエンゲル係数がバグレベルに高い。
特に死んだ祖母と叔母が狂っている。

戦時中かと見紛うようなボロボロの家に住んでいるのにわりと高級な魚や肉なんかをよく食べさせてもらった。
おかげさまで上手い料理の違いも分かる味覚も手に入れた。

※今思えば祖父が顔の広い人だったので貰い物もあったのかもしれない。
当の本人(祖父)は余り食に興味のない人だったため、メインの肉や魚を食べている記憶がない。いつも煮付けなどを早々にかっくらって養命酒と赤ワインをちびちび飲んでいるような人だった。
両家のじいちゃんっ子だったのでその話しもまたの機会にしたいと思う。

そんな家庭環境で超絶お得な味覚を手に入れることができた。
なんでも美味しく食べられる上にちゃんと味も分かる。飯の食わせがいがある男、それが私だ。

この記事を読んでいただいた方から食事のお誘いが来るのも時間の問題だ。困ったものである。スケジュールは空けて待機しておこう。

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