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「蝶々の里帰り」メイキング

この主人公の泉には、モデルがいます。本当に悲しいことに、彼女は三十歳でなくなってしまった。私はその訃報を聞いた時、病床にいたのでお通夜にもお葬式にも出ることができませんでした。

半年ほど経って、イギリス人の男性から突然メールをもらいました。亡くなった彼女の恋人だった人でした。詳細を知らない私は、彼の心のケアもできず、慰めのことばと悲しみの共感しか返信できませんでした。

また半年ほど経った日に、彼女のお母さまから電話をもらいました。そして、蝶々の話を聞いたのです。巡り会う蝶々に縋り付くように想いを託すご家族が切なくて、そんなこともあるよなぁと2時間近くお話を伺いました。

それから十数年経った私は、死んだ人は、蝶々に姿を変えてやって来てくれると信じないではいられないほど、複数の大切な友人を失くしました。モデルの彼女以外の部分は全くのフィクションですが、遺されたご家族への共感を、やっと形にすることができました。

今は、彼らにこれをお伝えしたものか、あまりにフィクション部分が多いので見当違いなのか、ちょっと迷っています。