教育の質の向上にはまずは教職員の確保を 深掘り学校教育(第5回)
「仕事を減らす」ことは、人材確保と並んで学校の働き方改革の重要な手段です。
一方で、今までやってきたことを止めることには、学校の先生と先生の間での合意形成、学校と保護者や地域との合意形成に非常に時間がかかるのではないでしょうか。
・「すべては子供たちのためにやっていることだから、無駄な業務などない」という先生の思い
まず、学校の先生は、「今やっていることは子どもたちのために必要なことだ」という思いが強くあると感じます。行事にしても、部活動にしても「先日の運動会では子どもたちが・・・」「〇〇部が県大会で優勝して・・・」など心から嬉しそうにお話しされる先生の方がたくさんいらっしゃいます。
・共働きや核家族化で、保護者の学校に求める役割は増大
保護者が学校に求める役割も、共働き、核家族が多くなる中で、小さくなることはありません。
例えば行事を簡素化するとなった場合、一部の保護者からは、子供たちのためになっていたのに、今年の先生はやる気がないなどと指摘する保護者の方が出ることが予想されます。
・上からの業務見直しの指導では、学校の仕事は減らない
例えば、下図のように、文部科学省は、学校業務の中で見直しを進めていくべきものを具体的に3類型14種類示しています。その中に基本的には学校居合業務として、地域の見回り、学内の見回り等が挙げられています。
これに関しては、教育委員会も私の一般質問の際に学校が担うべきでない業務として、保護者、PTAや地域が担うと答弁をしています
しかし、実際には多くの学校で先生が学区内の見回りを随時行っています。例えば、先日、青森市内の市街地に野生の猿が出現したことがありました。この際には、学校の先生が学校内を見回りをする措置が、多くの学校でとられていました。
また、学区の神社で宵宮(夕方から夜にかけて行われる神社の縁日)が行われる際には、学校の先生はPTAと一緒に巡回をしています。
もちろんこれはPTAで行っていることなので、先生方は「自主的に」行っていると言う位置づけなのでしょう。
これらの例を見ても、たとえ教育委員会がこの業務は学校でやらなくてもいいですよ、と各学校を指導したところで、なかなか仕事の洗い直し業務の負担の軽減が進むといった状況ではないことがわかります。
・結論 学校の業務洗い直しは必要不可欠だが時間がかかる
このように、学校の業務の洗い直しは、学校の先生の間での意識の変革、そして学校等保護者や地域の間での合意形成といったハードルを乗り越えて、初めて実現できます。
大変な労力がなければ進まない業務の洗い直しは、こちらの記事でも述べたよう に教職員に余白がなければできません。よってまずは学校現場に対する人手を少しでも確保することが必要と考えます。
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