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八甲田山中でのクマ被害の対応検証


1.登山道の入山規制を9/14・9/21に解除へ

9/4の一般質問でも取り上げた八甲田山中でのクマ被害と登山道の入山規制について

9/14(土)に
①八甲田ゴードライン−赤倉岳-井戸岳-大岳
②八甲田ゴードライン-毛無岱(宮様コース)
③大岳−毛無岱−酸ヶ湯
④八甲田温泉−赤倉岳 を解除

9/21(土)に
①酸ヶ湯−仙人岱−小岳-高田大岳-谷地温泉
②仙人岱−大岳
③箒場-雛岳-小岳鞍部

を規制解除と県が発表しました。

八甲田登山道の規制解除スケジュール

 6/25のクマによる死亡事故以降、北八甲田の登山道は全域で入山規制が続いていました。

 今回の事故がおきたのは、登山道ではなく、登山道から外れた山の中でした。人が歩くために整備をされた登山道と、登山道を外れた山の中では、熊による事故に遭う確率は大きく異なると考えます。
 今般登山道の規制が秋の紅葉シーズンを前に解除される予定となったことはは、場所によってリスクが異なることを踏まえた適切な対応だと考えます。

 また、入山規制は八甲田の宿泊施設や食事処、ガイドの方などの事業者の方へ経済的にも大きな影響を及ぼしていました。
 
 環境省の調査によると、北八甲田の登山道への入山者の人数は、十和田八幡平国立公園の中で最も多く、観光に果たす役割も大変大きなものがあります。
 また、市民県民の森林に親しむ場としても重要であり、安全を確保した上で、早急な規制解除が求められていました。

 関係者の皆様や、市の担当部署の方々のご努力に敬意を表します。


※入山できるのは登山道だけ※

登山道は9/14,9/21に解除予定ですが、
「国立公園特別保護地区内(地図の赤いところ)ではタケノコやキノコ等の植物の採取が禁止」
されています。
あくまで入山できるのはは登山道のみです。

環境省ホームページより。地図の濃いオレンジ色が特別保護地区
八甲田の風景


 一方で今後、クマを始めとする野生鳥獣による被害は、増加すると考えられています。今回の対応をしっかりと検証することも必要です。


2.市は「初動対応に課題、マニュアル見直す」と答弁


(木村淳司)
青森市において、熊が出没したり、クマによる被害が発生した場合は、
「青森市熊の出没に関する対応マニュアル」
に基づき対応するものと承知しております。
そこで質問します。このマニュアルの概要と、今回の事案を踏まえた課題をお示しください。

(環境部長答弁)
…(前略)…
今般の八甲田地区の被害を踏まえた課題としては、現に人身被害が発生した際の初動対応における連絡体制や行動手順のフロー等が整備されていないことが課題と捉えており、今後、当該課題について整理、検証し、マニュアルの見直しを進めてまいる。

令和6年9月4日 青森市議会 一般質問

 今回のクマによる事故が発生した場合の、課題をふまえてマニュアルを見直すという答弁でした。これはぜひ進めていただきたいと思います。


3.マニュアルの作成は、市だけではなく、関係機関を含めた協議会で


 一方で、八甲田で今回のようなクマによる事故が発生した場合、
国立公園を管轄する環境省、
国有林を管理する林野庁、
そして登山道の大部分を管理する青森県庁、
さらには遭難者の救助にあたる警察や消防、
加えて猟友会など、関係機関が多岐に渡ります。
 
    よって、マニュアルの作成にあたっては、市だけではなく、関係機関を含めて協議会を立ち上げるといった、取り組みも検討するべきです。
 
 その協議会で作成するマニュアルに盛り込む内容としては、例えば以下のようなものが考えられます。
・対応のリーダーシップは、どの機関が取るのか、
・加害グマを特定するためのDNAを採取するまでの流れ
といったものです。


4.安全確保と登山道の利用とのバランスをとるのは、最終的には登山者自身

 登山道であっても山に入る以上、クマによる、事故の可能性はゼロにはなりません。その可能性を出来る限り減らす、あるいは場所によって異なる危険性を評価する仕組みが、今後は必要と考えます。

 専門家などの意見を聞きながら、関係機関で協議をし、
クマの目撃→クマによるケガ被害→クマによる死亡事案のような事案の段階に応じて、注意喚起→入山禁止と、対応の段階も分けること、
 また、事案の発生場所により入山規制の区域をあらかじめ決めることも考えられます。
 
 事前にこうした対応を決定しておけば、万が一事故が発生した場合にも、クマによる事故に対する安全確保と、登山道の利用とのバランスを適切にとることができると考えます。
 
 登山にあたってのリスクは、あくまで登山をする方自身に、登山にはリスクがあること、そのリスクは登山者自身の責任で引き受けることを理解してもらい、対策を取ってもらうことが必要です。
 八甲田で登山をされる方々に、熊に対する対策をご自身でしっかりと取っていただくように周知をすることも今後の課題です。


楽しい登山には、自分自身での備えが必要です


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