(令和5年9月議会予算委員会)市営バスを活用した若年層への支援
(要旨)市営バスを活用した若者への生活支援について質疑します。青森市は、特に若い世代の人口流出が著しく、一度青森市を出ていってしまうと戻ってこない状態が長く続いています。そもそも子供を産み育てる若年層の絶対数が少ない状態では、少子化対策を実施しても効果は限定的です。全ての分野で、若者が暮らしやすい街を目指していく必要があると考えます。令和4年度の市民意識調査では、10代後半と20代の市民は、青森市が「住みにくい」と思う理由の2番目としてバスや鉄道が利用しづらく、通勤・通学に不便であることをあげています。使いやすい路線やダイヤの検討とともに、運賃の面で若者の生活を支援していくという視点が必要ではないかと考えます。そこでお伺いします。市営バスの若者向けの生活支援につながる取り組みについてお示しください。
(交通部長答弁)
交通部では、若者を含む全ての利用者の利便性の向上を図るため、バスの利用の他Suicaとしても使用できる地域連携ICカード「AOPASS」や、スマートフォン等によりバスの運行状況が把握できる「バスロケーションシステム」、利用者が利用したいバス停の時刻表をリアルタイムでスマートフォン等に表示できる「あおもり マイ時刻表」の導入など、近年ICTを活用したサービスの提供に力を入れている。
また、若者向けの支援としては、特にバスの利用が多い高校生や大学生などの学生に向けて、令和4年3月5日からのAOPASSの導入に伴い、「3つの学生生活応援プラン」として、
〇一つには、記名式のAOPASSに学生用交通ポイントサービスの登録をした学生が、AOPASSでバスの運賃を支払った際に、毎回20パーセントのバス運賃の支払いに使用できる交通ポイントの進呈、
〇二つには、1か月、3か月、6か月、12か月の単位で販売している通学定期に加え、夏休み等に定期券を使用しない学生のニーズに合わせ、1学期、2学期、3学期、前期、後期の学期単位で購入いただける「学期定期」の新設、
〇三つには、定期券を御利用の方が、定期券の区間外を土日祝日などの休日に1回100円で乗車いただける「エコ100」サービスの提供
を実施している。
(再質問1)まず、若年層を対象とした市営バスの割引などのサービス、現在実施しているのは全て学生向けであるというご答弁でした。また、バス運賃の20%のポイント進呈「学生用交通ポイントサービス」以外は定期券を持っている学生が対象ということになります。定期券を持っている学生は、普段バスを利用しているので、バス利用に馴染みがあると考えられます。そこで、さらに休日に定期以外の路線を利用してもらうようなサービス「エコ100」もバスの利用拡大という意味では合理的とは考えます。
しかし、もう一歩踏み込んだ若者への生活支援を市営バスを通じてぜひ実施していただきたいと考えます。昨今、若年層の過処分所得の低迷が問題となっております。実際、社会保障費などの増加により、20代の過処分所得は、1996年よりも低い状態が現在まで一貫して続いております。20代は、学校を卒業して、社会に出て働きはじめ、結婚を考える年代です。この年代が、気軽に外出して色々なところに遊びに行けるようになれば、青森市の活力の向上にもなりますし、ひいては少子化対策にもつながるのではと考えます。バスで出かけるメリットとして、例えばお酒も気軽に飲めますし、消費額の拡大にもつながるのではないでしょうか。そこで、学生だけでなく、広く若者を対象とした運賃の割引制度を導入してはどうかと考えますが、市の見解をお示しください。
(交通部長答弁)
若者を対象とした運賃の割引については、バス事業者が独自に特定の年齢層に対して割引を行うことが、道路運送法第9条第6項第2号「特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするもの」に該当するとの国の見解が示されている。
このことから、交通部としては、若者を対象とした割引制度の実施は難しいものと考えている。
(再質疑2)
法令により、特定者に対する割引は難しいとのことでした。しかし、市営バスでは、70歳以上の高齢者の方、障害者の方、小学生以下の児童を対象とした運賃割引や無料乗車措置を実施しているところかと思います。これは「福祉負担金」という形で、運賃の一部又は全部を市等が負担することによって実現しているところとお聞きしております。そこでお伺いします。一般会計から市営バス等に関する企業会計である「青森市自動車運送事業会計」に繰り入れている福祉負担金の令和4年度決算における金額をお示しください。
(交通部長答弁)
高齢者等の支援に対する福祉負担金については、交通部が行う割引には当たるものではなく、福祉施策の一環として高齢者や障がい者、小学生等が市営バスを利用した際に、運賃の一部又は全部を市等が負担するというものである。
高齢者等の福祉負担金の令和4年度の決算額内訳については、
〇70歳以上の方が低額で乗車できる、70歳以上高齢者の市営バス福祉乗車証の利用に対する負担金は、3億266万4,509円
〇市内に居住する身体障害者手帳や愛護手帳、精神障害者保健福祉手帳を所持している方やその付き添いの方が無料で乗車できる、障がい者の市営バス福祉乗車証の利用に対する負担金は、1億63万855円、
〇市内に居住する小学生以下の児童が無料で乗車できる、小学生以下児童の市営バス乗車に対する負担金は、284万9,819円、
〇そのほか、今別町に居住する70歳以上の高齢者や障がい者が無料で乗車できる、高齢者等の市営バス福祉乗車証の利用に対する料金は36万8,640円、
合計4億651万3,823円となっている。
(要望)
市営バスをはじめとする公共交通機関は、交通弱者である高齢者の方や、障害者の方のなどの交通手段確保という役割を担っていますので、約4億円という予算を一般会計から措置しているところと受け止めました。
また、この仕組みと同様に、一般会計からの繰入によって、運賃を市が負担する形であれば、若者を対象とした運賃の割引措置は可能であると考えます。
そこで、一定の期間、例えば冬期間の休日に限定して、20代は市営バス無料、のような取組を要望致します。普段自家用車を使用していても「無料」であればバスを利用する方が多くいらっしゃるのではないかと思います。70歳以上の方は青森市に6万8683人いらっしゃいますが、20代は三分の一以下の2万991人と、なっていますので、期間限定とすれば多額の予算は要さないものと考えます。
先ほどもご紹介しました市民意識調査では、10代後半と20代において、青森市が「住みにくい」と思う理由の1番目は買い物や娯楽などの場が十分でないこと、となっています。しかし、毎週末何かしら、市内でお祭りやイベントは開催されています。イベントそのものを若い方にとってより魅力的なものにすることも当然必要です。しかし、若年層にとって、イベントに参加して楽しむ前にバス代やガソリン代、駐車場代がかかる、という形には非常に抵抗感があると考えます。
例えば、青森駅周辺のイベントに行くとなると、2時間以上滞在すると駐車場代が1000円近く掛かりますし、当然ガソリン代もかかります。じゃあ、市営バスで、となると、例えば、南佃から青森駅までが片道310円、西武市民センターからだと360円、戸山や横内ですと片道400円以上になりますので、往復すると結局600円から800円以上必要です。金額からすると大したことないように思えるのですが、若い世代は、娯楽を楽しむ際に、まず無料でやってみて、楽しければお金を払う、という形に慣れています。例えば、スマートフォンで遊ぶソーシャルゲーム、ほとんどのゲームが、ただプレイする、遊ぶだけなら無料です。もっと楽しみたい人だけが課金、お金を払うというような構造になっています。つまり、たとえ数百円であっても、行ったことのない、楽しめるかどうか分からないイベントに最初にお金をかけて行く、という行動は若年層にとって慣れない形なのではないでしょうか。それなら、家でゲームしてた方がいいや、スマホで動画見てればいいや、となってしまうわけです。
若い世代に対してだからこそ、街に出るきっかけとして、市営バスを利用するきっかけとして、「無料」が必要と考えます。若い世代への生活支援や、若い世代が街に繰り出すことで、街全体を活気づけるために、ぜひ市営バスの若い世代への割引や無料などの制度導入の検討を要望して、この項を終わります。