(令和5年9月議会予算委員会)青森市総合計画策定事業について
(要旨)青森市総合計画策定事業について質疑します。総合計画はまちづくりの最上位指針であり、企業でいうと中期経営計画にあたる非常に重要なものです。元々総合計画は1969年(昭和44年)の地方自治法改正をきっかけに全国の市町村で策定されるようになったもので、右肩上がりの時代に増えていく予算をどのように配分するかを決めることが目的でした。しかし、現在、地方自治体を取り巻く状況は様変わりしております。財源も不足、多様化する業務に対して職員も不足、また人口減少に代表されるような、単純に予算をかけたり、ハコモノを作ったりしただけでは解決できない問題が拡大・深刻化しています。こうした状況の中で、公益財団法人日本都市センターが2020年に発行した「 ネクストステージの総合計画に向けて」では、現状の総合計画の課題を次のように指摘しています。①自治体の独自の政策を前提にして策定することに意味があるが、多くの自治体で同じような内容になっている。②抽象的・総花的な内容であり、具体性が乏しく形骸化している。
つまり、従来の総合計画の延長線上では今後の課題に対処するのは難しいということです。この総合計画は、2011 年の地方自治法の改正により策定の義務付けが無くなっております。その中でも、予算や人員、時間をかけて策定をする以上は、青森市を取り巻くさまざまな課題を解決するための実効性を持ったものにしていただきたいと考えます。
そこで質疑します。今年度は、現在の青森市総合計画の前期基本計画の最終年度となっています。本定例会には、補正予算案として、青森市総合計画策定事業、補正予算額160万5千円が提出されております。これは、西市長の就任に伴い、新しい総合計画を策定する事業であるということでよろしいか、お伺いします。
(企画部長答弁)
まち創りの最上位指針である現青森市総合計画は、まちづくりを総合的、計画的に進めるための指針となり、10年後の将来を見据えたまちづくりの方向性を示した基本構想と、基本構想に基づく具体的な取組を示した基本計画で構成されており、目標年次を令和10年度とした基本構想を平成30年12月に議会の議決を頂き、その構想に基づいた前期基本計画の計画期間は令和元年度から令和5年度までの5か年となっている。
これまで、現総合計画に基づき、様々な事務事業に取り組んできたところであるが、西市長就任に伴い、「市民力+民間力 AOMORI次なる舞台へ」のスローガンのもと、「みんなで未来を育てるまち」青森市を創造していくため、「仕事をつくる」、「人をまもり・そだてる」、「まちをデザインする」の3つの柱に基づき、様々な政策に取り組んでいくこととしており、その着実な実現に向け、新たに基本構想とそれに基づく基本計画を策定することとし、関連予算について、本定例会に提案しているところ。
関連予算について御審議の上、御議決いただけたら、令和6年度を始期とする新総合計画の策定に向け、速やかに作業を進めてまいりたい。
(再質疑1)西市長就任に伴い、新しい総合計画を策定するとのご答弁でした。そして、その中身は市長の選挙公約を基礎として作られるものと、受け止めました。
総合計画策定によって、西市長を先頭に青森市が何をしたいのか、何をするのかを、市民が具体的に理解できるようにしていただきたいと思います。
では再質疑します。総合計画策定に向けた流れをお示しください。
(企画部長答弁)
青森市総合計画の策定に当たっては、青森市総合計画審議会条例に基づき、青森市の総合的なまちづくりに関する計画及び市政振興に関する事項について、調査及び審議するため、青森市総合計画審議会を置くこととしている。
同審議会は市長からの新たな基本構想、基本計画の諮問を受け、答申を行うことになるが、市長公約である「みんなで未来を育てるまち」青森市の創造へ向け、幅広く審議していただくこととなるため、委員については、学識経験者や、産業や観光、子育て、スポーツ、市民協働といった各分野における関係団体から推薦のあった者等のほか、公募による者を加えた20人程度を予定している。
今後の総合計画策定の流れであるが、本定例会に提案している関連予算が御議決いただければ、10月下旬に同審議会の組織会、第1回総会を開催、同日に、「仕事をつくる」、「人をまもり・そだてる」、「まちをデザインする」の3つの分野で分科会を立ち上げ、年度内に複数回の分科会を開催し、同審議会より今年度中を目途に基本構想について答申していただくことを想定している。
その後、新年度に入ってからは、答申された内容を踏まえた素案について地域説明会等を実施し、市民から広く御意見を頂戴した上で、基本構想(案)として取りまとめをし、令和6年第2回定例会において、議案提出し、御審議をお願いしたいと考えている。
御議決いただければ、その後、同審議会より基本構想を踏まえた前期基本計画について答申していただき、その答申された内容を踏まえた素案について、「わたしの意見提案制度」を実施した上で、令和6年9月に前期基本計画を決定したいと考えている。
(再質疑2)新しい総合計画策定にあたっては、審議会で審議をしたり、市民の意見を聞きながら進めていくとのご答弁でした。次に、補正予算額160万5千円の内訳をお示しください。
(企画部長答弁)
本定例会に提案している青森市総合計画策定事業の補正予算案1,605千円の内訳については、青森市総合計画審議会の委員報酬・委員費用弁償が890千円、会議開催に係る会場使用料が503千円、会議開催案内等の郵便料が70千円、その他、事務用品費等の消耗品費が142千円となっている。
(要望)ありがとうございました。主に、計画策定にあたっての審議会に関する経費とのご答弁でした。それでは、新しい総合計画に期待するところを要望させていただきます。
青森市を取り巻くさまざまな課題、とりわけ人口減少問題を解決するための実効性を持ったものにしていただきたいと考えます。青森市の人口減少を阻止するためには、若い世代や子育て世代にとって魅力的な街となり、今青森市に住んでいる若い世代や子育て世代に青森市に住み続けてもらうとともに、県外からのUターン、Iターンでの移住を増加させることが重要と考えます。そのためには人々を惹きつけるような、「青森市だけ」の独自性が必要です。
青森市には、縄文遺跡、ねぶた、八甲田といった、青森市にしかない特徴が多くあります。こうした歴史風土を踏まえた、青森市だからこそできる政策を強く打ち出した総合計画を目指していただくようお願いします。