人材確保のため、任用制度のより柔軟な運用が必要 深掘り学校教育(第3回)
6月議会の一般質問では、学校現場に対して少しでも人材を確保するために、県や市でできることはなにか、を焦点に質問しました。
質問の中で明らかになったのは、教職員の人事を司る、県の人事制度をより柔軟に運用することで、学校現場の人手不足が少しでも解消するのではないかと言うことです
青森県の教員採用試験の倍率は、特に小学校において非常に低倍率になっています。よって、正規の先生の採用を増やす事は非常に難しい状況です。
また、市町村立小中学校であっても教職員の給与は、国が3分の1、県が3分の2で負担しています。国の定める教職員定数によって予算が決まっている面もあります。
よって現実的には県の方針だけで一気に採用枠を広げ、教職員の定員数を拡大することは、莫大な金額の予算が必要です。
・教員の欠員補充に関する規則を柔軟な運用が必要
病気などで正規雇用の先生が欠員した場合は、フルタイムの臨時の先生を雇用することは困難です。
仕事の内容や勤務時間は正規の先生と変わらないにもかかわらず、非正規雇用となり、待遇に格差が生じることも要因の一つです。
例えば定年退職された先生に、「欠員が生じたので、フルタイムで学校にきてくれませんか。学級担任や学校行事の担当もお願いしたいです。しかし、待遇は新任の先生以下の非正規雇用になってしまいますが、なんとか頼みます」という言っても、ほとんどの方は「もう燃え尽きました。しばらくはゆっくりしたいです。」と断るのではないでしょうか。
よって、欠員の補充はフルタイムではなく、パートタイム勤務の先生でになっていくのが現実的です。
一方で、欠員の補充にあたっての制度運用は非常に硬直的で、改善の余地があります。
どういう意味の答弁かというと
①昨年度までは、制度上、正規の先生1人が欠員となった場合、フルタイムで勤務してくれる臨時の先生が見つからなければ、全く補充ができなかった。
②今年度からは、正規の先生1人が欠員となった枠に、フルタイムの臨時講師の先生が見つからなければ、週に15.5hまで勤務するパートタイムの先生1人を当てることも可能になった
③よって、正規の先生1人が欠員となった場合に、パートタイムの先生、2人以上を補充することはできない。
正規の先生1人が欠員となった場合に、パートタイムの先生1人では、完全に欠員が補充されているとはいえません。パートタイムの先生は、週に15.5hまでの勤務です。これは、フルタイムの先生1人の勤務時間の、「半分以下」です。
つまり、数字上の欠員(教員の未配置)以上に、教員の人手不足が起こっていると考えられます。
第一歩、柔軟な制度運用が進んだことは市の教育委員会の県への要望活動の成果と思いますし、知事の教育へのテコ入れの成果でもあると考えます。
ただ、学校現場の多忙化解消のためには、さらに柔軟な任用が必要です。
・スクールサポートスタッフの制度運用について
教職員の負担軽減としてもう一つ、重要なのが、学校の事務作業などの補助を行うスクールサポートスタッフ(SSS)です。
SSSに関しても、校長先生主導の柔軟な運用を求める声が聞かれました。
また、今年度からSSSの勤務形態は
昨年度まで
4月から翌年の3月までの1年間、1日(開校日)3時間
→
今年度から
5月から10月、1日6時間の任用となり、年度初めの4月や冬の間はスクールサポートスタッフが不在となる
この変更に対しても、学校現場からは
①年度はじめや年度末の事務作業の多い時にSSSがいてほしい
②1日6時間働きたい方は、通年での雇用を希望する場合が多く、そうした意味のミスマッチが起きて、かえって人員の確保が難しくなっている
などの声がありました。
柔軟な教職員の任用の必要性は、青森市教育委員会も議会答弁の中で認めています。
学校現場への人材確保を、実際にどうやって進めていくかは、非常に難しい問題です。
教職員の任命や人事をを司るのは市立小中学校であっても県であることや、任命の制度が複雑なこと、そして世の中全体がそもそも人手不足であることなどから、一挙に解決するような魔法の杖はありません。
しかし、状況を改善するために県や市のレベルでできることを確実に実行していくために、今後とも活動してまいります。