絵が描けない子供だった人へ。(或いは「ひとりだけ出来ない」と苦しんでいる人へ)
絵を描くことが苦手だ。
自由に伸び伸び描けばいいのよと幼稚園の先生は言ったけれど、教室の後ろに貼り出されると聞いてクレヨンを持てなくなった。
絵を描くのが苦手だった。
正解が分からない、決まった楽譜もない。
真っ白な紙が恐怖だった。
困る先生を前に、申し訳なさに息を詰まらせながら、それでも描くことが出来なかった。
家で、チラシの裏にお花を描く。その隣に自分を描く。きっと誰もがやったことだ。
それを見て、兄が笑う。
「下手くそ」
こんなことはきっと何処の家庭にもあることだ。