より良く結果を出せる組織を育てるには
前回含め2回、「人を効果的に(気持ちよく)動かし、成果を上げる組織・マネージメント」について、お伝えしました。
印刷業界は常に技術革新と隣り合わせで進化してきました。
特に、1990年代から日本の印刷業は業務プロセスをデジタル技術に置き換え、改善する 「デジタル化:Digitization」を行ってきました。
しかし、業務プロセスの置き換えに過ぎず、新たなビジネスモデルを創出し、事業化に成功したのは、少数の企業だけでした。
現在の、DX・CX(コーポレート・トランスフォーメーション)でも、同様の現象が起きていると思います。日本の印刷業界のデジタル化は、90年代が主流になり、欧米からの影響がスタートでした。その欧米においてDXに積極的に取り組み、成果を上げて成功している企業の共通点は、「デジタル改革をどう進めて行くのか」ではなく、「新しいビジョンに向かって、DX(変革)に強い組織をどう作るか」を意識している、とのこと。
マッキンゼー&カンパニーがグローバル企業の経営者2,135名を対象に行ったインタビューでは、デジタル変革で大きな壁になったのは「技術不足」ではなく、圧倒的に「人と組織(文化・人材・組織)」が大多数を占めているとのこと。「人と組織(文化・人材・組織)」をそのままに、デジタル技術での業務プロセスの置き換えでは上手くいかないという事になります。
「共通の目的」ミッション・ビジョン・KGI・KPI といった、目標設定に伴う指標等があり、「チームの成功循環モデル」の「声掛け・話を聴く」を基本に「関係の質」を上げるためにも、マネージすることが、やはり大切になります。
「グッドサイクル」と「バッドサイクル」を簡単に伝えると・・・まずは、お互いを尊重し、相手の価値観や性質を理解して良質な関係を築くことで、ポジティブな循環のサイクルが生まれることに気づいてください。
バッドサイクルは「結果」から始まるのに対して、グッドサイクルは
「関係」から始まります。
バッドサイクル
1.結果の質: 成果が上がらない
上司: 資料請求の問い合わせの数が伸びていない、むしろ減っているようだがどうなっているんだ!
部下:「すみません。」
2.関係の質:対立、押し付け、命令
上司: 先月今月と、PV数も伸びていないようだし、どういう事なんだ!
部下: 数字(PV・問い合わせ・資料請求)の事しか言われないし・・相談もできないな・・・関係部署に問い合わせしたけど、まだ回答こないな。
3.思考の質:受け身、創造性の低下
部下:(要求したデータも来ないし、依頼はしているし、ボールは投げたんだから、相手の責任!? 催促してもうるさがられるし、来るまで待ってればいいや。ある情報だけでいいか・・・)
4.行動の質:自発性の低下、消極的
(関係部署から『一言』あったようだし… 積極的に情報を取る(取材する)と、むしろ反感もあったり…『忙しい』とか)とりあえず、積極的に動くと反感などネガティブなことがあるので、言われたこと、現有の情報だけで回して行っても、数字(PV・問い合わせ・資料請求)も大きく落ちたりしないと思うし、文句も言われないし。言われたことを表面上で回していこう。
特に自発的な努力をする気は起きない。
5.結果の質:さらに成果は上がらない
部下:「……。」モチベーションもさらに下がる。バッドサイクル
特に、目標・達成率等と数値化できる職場や組織、新たな商品・サービスを開発する職場/組織は「マネージメント次第」で陥りがちなバッドサイクル!
グッドサイクルでは
1. 関係の質:お互いを尊重し、一緒に考える
上司: ○○君はうちの製品について、部内で最も理解が深いし、ターゲット市場についての見聞も人一倍あると思うよ。更に、報告書のドキュメントに上手くまとめて内容もわかりやすいよ。今度、インバウンドマーケティングに力を入れていくので、ブログを書く内容・ストーリーを考えてもらえないかい。任せるので、やってみないかい?
部下:「ありがとうございます。色々と見て頂いていたんですね、やってみます。」
2. 思考の質:気づき、当事者意識、面白い
部下: (部長は見てくれていたんだな。自分の強みも活かせるし、面白そうだし、チャンスだ!!)
3.行動の質: 自発的に行動、チャレンジする
部下: 製品の開発部門に詳細情報のデータを送ってもらい、製品のユーザを担当に紹介してもらい、意見を聞いてみよう。ブログに載せて、興味を引く情報のアイデアが出るかも。
4. 結果の質: 成果が得られる、実感する
部下: 更に詳しい情報を見て理解すると、アピールする製品の良さが増えた。また、ユーザに意見を聞いて、製品の良さがさらに増え、深まった。その内容をブログに載せることで、閲覧数も増え、資料請求も増加した。
5.関係の質:信頼関係がさらに高まる
部下: 「ブログのPVも増加し、資料請求も益々上がっています。担当させて頂き、ありがとうございます。」
上司: やはり○○君は適任だったな。これからもPV 数アップを頼むよ!
■ まとめ
「関係の質」から始まる → グッドサイクル
「結果の質」から始まる → バッドサイクル
まずは、「関係の質」向上に努めましょう。