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結局は設定厨なのか~ゲームデザイン事始め④~

前職の会社員時代、スタッフと二人三脚で、とあるゲームの設定作業に取り組み、そのうち年表がスプレッドシートにして1000行を超えてしまったことがあった。しかもシナリオがタイムリープして周回ごとに少しずつ異なる体験を重ねていくという仕様なものだから、そのゲームのシナリオプロットを練る際は、常に1000行の年表を脇に見ながらの作業となった。少しでも設定の移動が生じると影響の及ぶ範囲が広く閉口したものだ。
ちょうどその頃、面接で応対した応募者の方が、日本人なら誰でも知っている超有名コンテンツについて年表整理のタスクを実施してみれば、TV版アニメや映画版アニメなどで矛盾ギリギリの設定が散見されたというお話を伺い、我が身を顧み、早めの設定作業がいかに大切であるかと思い知らされた。そういう整理、地味で辛い作業ではあるのだが。
今作『クーロンズリゾーム』でも、先述の膨大な年表や設定からいくつかを拝借している。ちなみに「設定」というのは、いくらドキュメントをしたためても、考えをまとめただけの資料と見なされ知的財産権は発生しない。それは企画書でも同じことで、「思想や感情を創作的に表現」した著作物ではない。だからといって扱いを疎かにすると、先の例のように「矛盾ギリ」が生じて冷や汗をかくことになるから悩ましい。
結局、「1000行年表」のゲームは日の目を見ることはなかったが、おかげさまで「設定力」については随分と鍛えられたと思う。「リゾーム」には物理学や医学の設定が薄く備わるのだが、それとて「1000行年表」の設定が生きているからだ。ただし「リゾーム」の制作はインディーズ環境で取り組むわけだから、「抑えろ→自分」と自重しているのは言うまでもない。せめても、と「1701年 プロイセン王立錬金術アカデミー設立」を「リゾーム年表」の1行目に置いた。なんか「プロイセン」とか「王立」とか、言いたいだけの感もあるが、そもそも設定とはそういう類いのものだろう。ただし、そこに終始していると「設定厨」になってしまうわけで、その線引は大変難しい。
──などと頭の隅に据えつつも、結局は好きなことから順に決めていく、これでいいと思う。後でさんざん苦心しながら点と点とを繋げるようにすれば、それがシナリオヒントにもなるわけだ。
などと言いつつ──さて、どうすれば「プロイセン」と「九龍城」が繋がるのか?そこが「シナリオ経験25年」の腕の見せ所なのだと、自分に言い聞かせているわけだけれども。

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