佐世保高専「スタートアップ研修」でeスポーツを活用。教育効果とコミュニケーション活性化を実感
佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)は、1962年に国立高等専門学校の第一期校として、加えて当時九州地区で唯一の高専として設立され、60年以上の歴史と伝統を築かれています。
2024年3月、同校で行われた「スタートアップ研修」では、社会人になった際に必要なスキルを、学生がeスポーツを通して楽しみながら学ぶことを目的に、木村情報技術が提供する「eスポーツを活用したチームビルディング研修(eスポーツ研修)」を活用いただきました。
その背景や効果についてお伝えします。
導入の背景・導入の決め手
木村情報技術が提供するeスポーツ研修は、ビジネスにおいて重要な「結果を出す」ための強いチームの作り方を、eスポーツを通して学ぶ新しいプログラムです。
2023年冬、企業見学で木村情報技術に訪問された佐世保高専の先生と学生に、eスポーツ研修をご紹介する機会がありました。
この研修は企業向けではありますが、佐世保高専ではもともと起業家精神やアントレプレナーシップの教育が行われており、十分な教育効果が期待できると判断され、導入に至りました。
研修の概要
eスポーツ研修には、次の4つのプランがあります。
●「基礎・体験コース(4時間)」/新入社員向け または 部署単位向け
●「スタンダードコース(7時間)」/新入社員向け または 部署単位向け
今回は「基礎・体験コース」の「新入社員向け」を用いました。
研修では、座学やワークを通じてPDCAサイクルやコミュニケーションの基礎などを学び、その後ゲームで実践する流れを繰り返しました。
ゲームは1回あたり約10分と短時間なため、研修中にPDCAサイクルを繰り返し回すことができました。
ゲームにはMOBA(Multiplayer online battle arena)というジャンルのものを使用し、学生17人に加えコンピュータが操作するプレイヤー3機の計20人が、4チームに分かれ対戦しました。
佐世保工業高等専門学校 電子制御工学科 教授 坂口 彰浩様からのコメント
(1)「eスポーツ」と「教育」という意外な組み合わせへの期待
企業見学で木村情報技術を訪ねた際に、eスポーツ研修のことを知りました。
はじめは「ゲーム」と「教育」はベクトルが真逆で、相反するイメージがありました。しかし、木村情報技術のeスポーツ研修は新人研修などの企業研修で活用されていて、またゲームを通じPDCAサイクルやチームビルディングが学べることを知り、とても驚きました。
私が所属する電子制御工学科は、佐世保高専の中でも特に情報に関連した学科で、学生たちも普段から情報やゲームに親しんでいる子が多く在籍しています。
見学後、学生に「もしあの研修をするとしたら参加する?」と質問したところ、多くの学生が参加したいと答えました。
佐世保高専では、もともと起業家精神やアントレプレナーシップの教育を行っています。そのため、チームビルディングやPDCAサイクルに関する研修であっても、学生たちはきっとすんなり受け入れるだろうと思いました。
研修内容は社会人向けと聞きましたが、本校の学生に対しても十分な教育効果が期待できると考えました。
また、本校の取り組みは文科省の「高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業」に選定されており、その一環で「スタートアップ研修」として実施することにしました。
(2)「ゲームの腕前だけでは勝てない」研修の教育効果を実感
4時間の研修の中でPDCAサイクルやOODAループを学び、それをゲーム内ですぐに実行することで、学生たちには明らかな変化が見られ、教育効果を感じました。
研修前に、ゲーム内のレベル感がなるべく均等になるよう学生たちをチーム分けしましたが、比較的ゲームが得意なメンバーが集まったチームがありました。最初はそのチームが有利かと思われましたが、結果は意外なもので、ゲーム初心者が多かったチームが優勝しました。
この研修で試合の勝敗を分けたのはゲームの腕前ではなく、チーム内で自分の役割を果たし、チームとして協力して戦えたかどうかでした。
参加者の様子を見ていると、ゲームが得意なメンバーは、得意なだけについ自分のプレイ内容に意識が向く傾向があり、それがチームとしての結果には結び付きにくかった印象を受けました。
一方でゲーム初心者でも、研修で学んだことを活かしチームとして行動することで、チームに貢献でき、上位に入賞していました。
このことから、やはりこれは単なる「ゲーム大会」ではなく、「研修」だと実感しました。
(3)コミュニケーション活性化の効果
今回の研修には、春休みを利用して様々なクラスや学年の学生が集まりました。参加者の様子を見ていると、ゲームというツールを通じ、縦や横、斜めのつながりもうまく築けているようでした。
この研修を、入学直後の、例えばオリエンテーションの時期に行えば、学生同士がスムーズに打ち解けられるかもしれません。
この研修は、コミュニケーション活性化にも効果的だと感じました。
この研修結果を知った他の先生からは、「興味深い」「授業に取り入れてみたい」「教育効果が高まりそう」といった感想が聞かれました。
今回のようにeスポーツを活用した研修は初めてでしたが、今後は授業でも活用してみたいと考えています。
参加者アンケートの結果
NPSスコア「64.7」ポイントと高い満足度
ビジネススキルについての感想(参加者の感想より一部抜粋)
ゲームを通して、ビジネスや社会のことが楽しく学べた。
高専生が親しみやすいeスポーツを使い、ビジネスや社会で役立つ知識を体験できた。
研修で学んだPDCAサイクルやOODAループは、ビジネスだけでなく、ゲームやスポーツ、勉強などの課題解決の際にも役立つと感じた。
自分の役割について、今やるべきことをその場で判断し、すぐに行動に移すことができるようになった。
コミュニケーションについての感想(参加者の感想より一部抜粋)
面識のなかった学生ともコミュニケーションを取り、協力しながらゲームをすることで、楽しめた。
自分は集団になると無口になりがちだったが、共通のものをみんなで楽しむことで、学年や年齢の垣根を越えて、交流ができた。これは体験してみて欲しいと思った。
チームワークやコミュニケーション能力の上昇を実感した。
コミュニケーション能力が上がり、このことは学校生活でも活かせると思った。
「eスポーツを活用したチームビルディング研修」について
木村情報技術が提供する「eスポーツを活用したチームビルディング研修」は、ビジネスにおいて重要な「結果を出す」ための強いチームの作り方を、eスポーツを通して学ぶ新しいプログラムです。
eスポーツを活用し、戦略と戦術立案、その実践と振り返りのPDCAサイクルを、高速で実現し、短時間で反復経験できることで強いチーム作りを支援します。
2023年にサービスを開始し、これまで上場企業や自治体などに導入いただいています。
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