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WBC 2023を終えて、

今月から始まったワールド・ベースボール・クラシックも1次リーグが終わって、韓国の成績は2勝2敗でグループ3位となり、残念ながらここで敗退となりました。
あまり良い結果とは言えませんが、とりあえずここまで戦った選手・スタッフ達にお疲れ様と言いたいです。

彼らは休む間もなくそれぞれのチームに戻って、僕もスプリングトレーニングが行われているアリゾナに帰ります。短い間でしたが国際試合で感じた点をいくつかまとめてみました。

1.選手のコンディション管理

野球はシーズンは長く試合数も多いので、常に100%の状態を維持するのはほぼ不可能なスポーツです。特にWBCの行われる3月は本来なら春季キャンプの時期で、ほとんどの選手が7〜8割の状態でキャンプ地にやってきます。今回韓国代表は2月の半ばからアリゾナ州でキャンプを行っていたのですが、今年のアリゾナは例年以上に寒く慣れない気候と時差も重なってのトレーニングだったので、選手たちも思った以上に苦労を強いられました。僕はメディカルとしていかに選手のコンディションを向上させるかを改めて色々考えさせれました。

2.韓国の”トレーナー”の定義

僕はアメリカの大学で学位をベースにCertified Athletic Trainer(ATC)という国家資格を取ってホワイトソックスで働いています。今回の代表チームには韓国から3人トレーナーが来ていました。初日に色々情報交換する中で分かったことは、韓国では公式のトレーナーの資格はなく(社団法人の資格はあるらしい)、KBOで働いているトレーナーの方々はほとんどが体育大学で取った学位をベースとして働いているということです。その仕事内容は治療、コンディショニング、リハビリ、練習の手伝いなどとマイナーリーグのトレーナーとは異なる幅の広さでした。アメリカではATCもDry Needlingという資格を取れば鍼が打てますが、韓国では鍼は韓医学のドクターしか打てないというのも少し驚きました。治療は9割近くがマッサージでモダリティは超音波やマイクロウェーブなどアメリカのPTクリニックにあるものと同じでした。

3.一試合の重要さ

こういった国際大会では一試合の結果がとても重要になってきます。1次リーグは4試合しかしないので、初戦のオーストラリア戦に負けた事がその後の選手のモチベーションに影響を与えたことは言うまでもありません。野球はサッカーやバスケのように勝率が高くなくてもワールド・シリーズで優勝できてしまうスポーツなので、選手たちは絶対に勝たなければならないというプレッシャーを常に感じながらプレーする必要があります。今回の韓国代表はベテランと若手の混同チームで、若い選手たちは心理的にかなり厳しかったと思います。次回のWBCまで今回の経験を糧に更に成長してくれることを願っています。

主に僕の仕事はメジャーリーグから来ている選手2人のケアでしたが、せっかくの機会なので他の選手のケアも手伝わせてもらいました。日、英、韓国語が話せるので、言語の面でも選手やスタッフを役に立てたのが嬉しかったです。個人的には歴代最強と言われている日本代表の試合(選手の応援歌も含め)をダグアウトから観られたこと、KBOのトレナー界と繋がりができたことなどメリットを上げればキリがありませんが、これも全て僕がWBCで働くのを許可してくれたホワイトソックスの球団職員のおかげです。なので今回得た経験を元にしっかり恩返ししていきたいと思います。

それでは、

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